強制執行をうたった詩・
『鉄鎖』

阿部浩己教授の鑑定書(居住権の教科書)

居住権のゲートの
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居住権弁護団による最終準備書面

                             2001年9月1日
                             熊野勝之弁護士 試訳
社会権委員会
第26(特別)会期
2001.8.13−31
 
    規約第16、17条に基づく締約国政府提出報告書の検討
 
      経済的・社会的及び文化的権利委員会の最終見解
 
                 日 本
 
1 経済的・社会的及び文化的権利委員会は、経済的・社会的及び文化的権利に関す
る国際規約の実施につての日本政府第2回定期報告書を2001年8月21日に開かれた
第42、43会議において検討し、同月30日に開かれた第56会議において以下の最終
見解を採択した。
 
               A.序
 
2 委員会は、節2回政府報告書を、委員会のガイドラインに一般的に従っているも
のとして歓迎する。
 
               B.積極的側面
 
3〜9(略)
               C.主たる懸念事項
 
10 季員会は、政府が、規約の条項の多くと同一内容が憲法中に表明されているにも
かかわらず、規約の条項に国内法において満足しうる方法で効力を与えていないこと
を懸念する。委員会は、規約の条項が立法、政策形成過程で十分に考慮されていない
こと、立法、行政上の提案において、或いは、議会の討論において希にしか言及され
ないことを懸念する。委員会は、さらに、裁判所が、規約のどの条項も直接的効力を
有しないという誤った根拠に立って、判決等に際し規約を参照しないという事実に懸
念を表明する。
 
11.12(略)
 
13 委員会は、日本におけるマイノリティー・グループ、特に、被差別部落、沖縄、
原住アイヌ、在日コリアンに対する、特に雇用・居住・教育分野における、法律上・
事実上の根強い差別を懸念している。
 
14〜26(略)
 
27 委員会は、阪神淡路大震災後、兵庫県により大きな再定住計画が充てられ、実施
されたが、常に、最も影響を受ける人々との適切な協議がなされず、現在もなされて
いないこと、その結果、多くの独居老人が、彼らにとって全くなじみのない環境の中
で、ほとんど、或いは、全く個人的な関心を払われることなく現在生活をしているこ
とを憂慮している。自分の家族を失っ・た人々に、ほとんど、或いは、全く精神的、
心理的治療が提供されていないことは明らかである。60才を越える再安住した震災
被災者が、コミュニティを欠き、病院、訪問看護へのアクセスを欠いている。
 
28 委員会は、阪神淡路大震災の貧しい人々が、再建口ーンの支払いが溢々困難にな
っている事実に憂慮を持って注目している。中には、住宅再建ができず既存のローン
の支払いのため、資産の売却を余儀なくされている人もいる。
 
29 委員会は、全国的、特に大阪釜ヶ崎地区の多数のホームレスの存在を憂慮してい
る。更に、委員会は、政府がホームレス問題に立ち向かう包括的な計画を持っていな
いことを憂慮している。
 
30 委員会は、強制立ち退き、特に、仮住まいのホームレス、ウトロ地区に長期にわ
たり住宅を持っている人々に対する強制立ち退きを憂慮している。この点に関して、
委員会は、特に、仮処分手続法の下で、裁判所により簡易な手続きで理由を附される
ことなく仮の立ち退き命令が出されることを憂慮している。即ち、執行停止が認めら
れず、上訴の権利が無意味ならしめされ、結果において、仮の立ち退き命令を恒久的
な立ち退き命令に変容するものであり、委員会が一般的意見4、7で確立したガイド
ラインに違反する。
 
31.32(略)
 
               E.示唆と勧告
 
33 委員会は、日本政府に対し、規約から生じる法的義務との対比で、政府の立場を
見直すこと、規約の条項が、実務において、直接適用可能なものとして解釈されるよ
うになることを強く勧告する。このことは、一般的意見13、14を含め、当委員会
の一般的意見において概括的に説明している通りであり、少なくとも核となる義務と
の関連において妥当するものである。更に政府は、環境影響評価に匹敵する「人権影
響評価」及び他の手法を導入し、規約の条項が、立法・行政の政策及び決定過程にお
いて取り入れられることを確保すべきである。
 
34(略)
 
35 委員会は、裁判官、検察官、弁護士が規約についての知識、自覚、適用を改善で
きるよう人権教育・訓練のプログラムを改善するよう勧告する.
 
37〜39(略)
 
40 委員会は、日本政府がウトロ地区に住むコリアンと目下協議中であることに注目
しつつ、彼らの未解決の状況に鉱み、日本政府に対し以下のことを勧告する、.即ち、
政府が、被差別部落、沖縄、先住のアイヌを含む日本社会のすべての少数グループに
対する法律上・事実上の差別に立ち向かう必要な手投を今後もとり続けること、特に、
雇用、居住、教育の分野でそれらがなされることを勧めるものである。
 
41〜53(略).
 
54 委員会は、日本政府が兵庫県に対し、コミュニティー・サービス、特に、高齢、
障害のある人々に対するそれを、向上させ拡張させるよう支援することを勧告する。
 
55 委員会は、日本政府が規約第11条の義務に沿って、速やかに効果的な方法によ
り、貧しい喪災被災者が、被災住宅再建のため住宅金融公庫、或いは、銀行から受け
た融資による負債を支払えるよう支援し、毎月の借入金返済のため自己の住宅を売却
せざるを得なくなることを避けられるようにすることを勧告する。
 
56 委員会は、日‘本政府に対し独自に及び由治体と共同して、日本におけるホーム
レスの広がりと原因を探る調査を実施することを強く勧告する。政府は、生活保獲法
のような既存の法律の完全な適用を確保する適切な手投を執り、ホームレスが適切な
生活水準を確保できるようにすべきである。
 
57 委員会は、日本政府がすべての立ち退き命令、特に、仮処分命令による立ち退き
が、委員会が一般的意見4、7で詳述したガイドラインに一致することを確保する是
正措置をとることを勧告する。
 
58〜61(略)
 
62 委員会は、政府が当委員会の最終見解を広く社会の全ての層に知らしめること、
これを実施するためにとった全ての措置を委員会へ報告することを勧告する。委員会
は、政府が、第3回定期報告書を準備する初期の段階でNGO、その他の社会の構成
員と協議することを勧める。
 
63 最後に、委員会は日本政府が第3回定期報告書を2006年6月30日までに提出す
ること、報告書中に今回の最終見解に盛られた勧告を実施するためにとられた措置に
関する詳細な情報を含まれることを求める。
                                   (以上)
■共生舎&共生舎映画&自宅の強制執行を前にドアに鎖で身体を縛り付ける『わんちゃん先生』こと中村秀樹監督
■映画『TRUE CRIME』より
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