CAPP
レオと一緒に参加しているCAPP活動についてご紹介します。
CAPP(Companion Animal Partnership Program)活動とは、動物との触れ合いを通して、人の精神的・身体的な向上や治療、または教育に活かすAAA(Animal Asisted Activity)の一つで、動物と共に様々な施設を訪問する活動のことです。専門医や専門家が主導して行うものではなく、その多くがボランティアによるものです。また、CA(コンパニオン・アニマル)とは、人と共生している動物の中で、より人に身近な存在(=「家族」「仲間」「伴侶」などと位置づけられる)である動物を、ペットの枠を超え、社会的な一員として認識するという意味を込めた呼び方です。
「動物と触れ合うことで本当に何かが変わるのか?」と疑問を投げかける方も少なくはないとは思います。確かに、「こういう理由で効果が...」なんてはっきりとしたことが学術的に証明されていないことも事実です。でも、実際に効果が認められてきているのです。ちょっと考えてもみてください。例えば、子犬や子猫を見て「かわいいなぁー」とちょっとでも思った憶えはありませんか?それでは、なぜそう思えるのでしょう?その心のメカニズムを解明するのは非常に困難ですが、少なくとも悪影響を与えられたとは決して思わないでしょう。むしろ、良い方向に働いたと思う方が妥当だとは思えないでしょうか。一時期‘癒し’という言葉が流行っていましたが、癒されたと感じることは既に心の中で何かが変わった事なのだと思います。
偉そうなことを言っていますが、我々もこの活動に参加するまで、内容や活動状況などについては、全くと言っていいほど知識を持っていませんでした。そんなある日、レオが子犬の時から親しくして頂いていたリュウママから、老人ホームでのCAPP活動を勧められました。既にリュウママとリュウくん(←FRIENDSを参照して下さい)は以前から活動に参加されているベテランで、レオの成長と性格を踏まえた上で「レオなら大丈夫だと思うから参加してみない?」と誘って頂いたのが最初のきっかけです。
誘って頂いてとても感謝した反面、正直本当に大丈夫なのかという不安から、しばらく踏ん切りがつかなかったように(今思えば)記憶しています。当時、人に対するレオの対応を見ていると、初めての人には多少警戒する(=どういう人なのか、よく観察してから接するという意味)部分があったので、お年寄りの方々にうまく受け入れて頂けるだろうかと思ったのです。少なくとも、人に対して攻撃的な姿勢をとることはありませんでした(もちろん今もなし)ので、連れて行くこと自体には心配はありませんでしたが、レオがどの程度ストレスを感じるかということも、すぐに参加できなかった理由の一つでした。
我々も、ボランティア活動には機会があれば参加したいと常日頃から思ってはいたものの、「どうすれば?」という暗中模索状態のまま、具体的な行動をとれずに過ごしていました。そんな時に、CAPP活動への参加という機会に恵まれたのは幸いでした。色々な不安からなかなか参加に踏み出せずにいましたが、「どんな形であれ、レオの出来る範囲内で何らかのお役に立てれば」という思いが最後に背中を押してくれました。もちろん、レオの精神・健康状態を第一に考えての決断であることは言うまでもありません。
とは言え、レオがCAPP活動に参加できるかどうかは、活動を主催する団体の責任者(JAHA会員病院の獣医)の判断に一任されます。やはり、慣れない環境に身を投じると、様々な問題が生じる可能性があるからです。飼い主の犬に対する気持ちや思いだけでは参加は出来ません(→気になる方は、JAHAのHPにセルフチェックリストがありますので、一度確認してみてはいかがでしょうか?)。訪問先でのトラブルを回避するために、他の犬達との相性や慣れない環境での行動観察など、一度責任者に実際に見て頂き、判断を仰ぐ必要性があります。
レオの場合は、実際の活動時に見学という形で連れて行き、レオの反応を見て判断して頂きました。我々も不安な気持ちで、先生の判断が下されるのを待っていましたが、なんとか結果はOK。あとで、聞いた話ですが、ボーダーコリーは狼の血を濃く受け継いでいるので、比較的難しい犬種の一つで、より厳しい見極めが必要なのだそうです(ここに限らず、色んなところで言われていますが...)。何はともあれ、ここからレオのCAPP活動が始まりました。(活動開始以降、レオに精神的・身体的な問題は生じていません)
CAPPについての基本理念や取り組み内容については、JAHAのHP(http://www.jaha.or.jp/new/jahatop2.html)をご覧下さい。ここでは、より具体的なイメージを持って頂けるように、実際にレオが参加しているCAPP活動の内容をご紹介します。
活動は原則1回/月(真夏を除きます)、土曜日に行います。前日または前々日にはレオのシャンプーを済ませておきます(ちなみに、リュウくんはトリミングで綺麗にシャンプー&カットされてきます)。衛生的なケアはもちろんですが、犬の病気や健康管理にも十分な配慮が必要とされます。人畜感染症の伝染防止等の観点からも、CAPP活動に参加できる動物の種類には基準が存在したりします(詳しくは、JAHAのHPをご覧下さい)。
準備が整った犬猫とその飼い主達は、老人ホームへ活動当日の昼過ぎに集合し、事前ミーティングをまず控え室で行います。ここでは、当日の注意事項の確認や新規メンバーの紹介、そして当日の犬猫の担当決めを実施します。参加するメンバーが少なく、または、多頭飼いの方が複数いらっしゃると(ex.先生は犬猫数匹を常に連れてきます)、人間と犬猫が一対一にならないので、手の空いたメンバーが他の犬猫の担当になる必要があるからです。我々は当初2人(やす&とも)で参加していましたが、他の犬猫の担当になったやすorともの事をレオが活動中にあまりにも気にするため、お年寄りとの触れ合いがままならないことがありましたので、最近は我々のどちらか一人が参加するというパターンで臨んでいます(→ルルが来てからは、専らとも&レオで参加しています)。
さて、このミーティングの段階で、既に30名前後のお年寄りの方々が、室内の小ホールで普通の椅子や車椅子に座った状態で輪になってお待ちしています。そこへ、ミーティングを終えた我々メンバーが、レオをはじめとする犬や猫達と共に入場しつつ、お年寄りの方々の輪の中心に入っていき、いよいよ活動がスタートです。活動時間は毎回およそ45分間。その間、各メンバーは犬猫と共に輪の内側を回りながら、お年寄りひとりひとりと会話を楽しんだり、実際に抱いたり撫でて頂いたり、簡単な芸を披露したりして、触れ合いの場を皆で自由に構成しながら行動します。
具体的にレオがどのように活動しているかを簡単に紹介すると...
- とにかく直接レオに触れて頂く
(希望される方にはレオの前足を膝にのせて差し上げ、より近い位置で触れて頂く)
- お年寄りに命令して頂いて、オテとオカワリをする
- ボールを投げて頂いて、レオがキャッチする
- 足の輪くぐりやタッチ(命令コマンドを参照)、スタンディングジャンプの披露
- 手にカスタネットを持ち、オテをさせる(でも、そぉーっとのせるのであまり音がしない)
他のメンバーも、様々な趣向を凝らして活動しています。犬に帽子をかぶらせたり、リボンを結んだりして、お茶目な感じを演出されるメンバーもいらっしゃいます。また、犬につないだロープを車椅子に座ったお年寄りの方が握り、犬が車椅子ごとお年寄りを引っ張りながらホーム内を巡回することも行っています。人と犬の距離を近づける意味のほかに、お年寄りの上半身のリハビリとなるからです。元々動物が苦手だったり自閉気味なお年寄りにも、そういった趣向で親しみを持って頂ければと考えて努力しているわけです。それでも、全てのお年寄りの方が動物好きという訳ではありません。レオの事を怖がってしまう方や「猫は好きだけど犬は嫌い」「大型犬よりも、手に抱ける小型犬がいい」とおっしゃるお年寄りも実際にはいらっしゃいます。それは仕方のないことで、押し付けではなく、お年寄りのご希望に沿った形で我々は接しなければなりません。ただ、そういった方々に対してもお力になれるように、工夫しながら努めていくことが大切なことだと思っています。
活動終了後は控え室に戻り、メンバー全員でその日の反省点や感想等を話し合い、今後の活動に生かすために議論を行うフィードバックミーティングを実施しています。ここでは、初めて参加されるメンバーや見学者、老人ホームの職員の方達からも積極的に感想や意見を頂き、活動中の良い点悪い点、改善案について積極的に意見交換を行っています。同時に、しつけの問題や法律関係、動物と人の生活論など、幅広い情報交換の場ともなっています。
参加メンバーは、レオのほかに、ビアデットコリー(リュウくん)やRレトリーバー、ビーグル、スピッツ、Mダックスフンド、柴...と様々な大中小型犬と猫が集まります。一度に何種類もの犬猫に会うことが出来るので、それだけでとても満足して頂ける動物好きなお年寄りの方々もいらっしゃいます。これまでにあまり動物と触れ合う機会が無かった方でも、最初は怖がってなかなか近づけなかったにも拘らず、実際に撫でたり抱いたりすることで次第に打ち解けられて、別れ際には「またね」と声をかけて頂けることもありました。我々の立場からは、どの程度効果があるのか、その場では計りかねるのですが、老人ホームの職員の方のお話では、
- 普段は無口であまり会話を交わさなかった方が、犬猫の話題でお年寄り同士・介護者と話が弾むようになった
- いつも厳しい表情の方が、非常に優しい顔つきに変わった
- CAPP活動の日を楽しみにして、普段の行動も活発化した
- 動物好きが増えた
と言うように、情緒の変化や雰囲気の改善につながる目立った効果(上述したことが全部ではありません)が、CAPP活動を通じて実際に得られているということです(CAPP活動の効果はJAHAのHPでも紹介されています)。レオは老人ホームへの訪問だけですが、病院やリハビリ施設等へのCAPP活動では、リハビリや治療補助としての効果(痴呆症や自閉症の改善など)もあるらしいとの報告もあります。動物との触れ合いが何らかの効果を生んでいることは間違いないことだと思います。実感があまりないのですが、そんな一端をレオが本当に担っているのだとしたら、我々としてはこの上ない幸せです。
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