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■吸引1時間に1分間必要な鈴花ちゃん

 「兄妹と一緒の保育園に」 東大和市「受け入れ難しい」

生まれつき気道がふさがりやすい病気で手術を受け、痰や唾液の吸引が欠かせない女の子がいる。東大和市に住む青木鈴花ちゃん(4)。元気に跳びまわり、夏には幼児教室で健常児に交じって、ひらがなや数字を教わった。言葉も随分なめらかに出るようになった。だが、市は普通保育園への受け入れに消極的だ。母のだえ子さん(36)は「子どもはいろんな可能性を持っている。障害のあるなしにかかわらず、可能性を引き出すチャンスを与えてほしい」と願っている。(芳垣文子)

鈴花ちゃんは00年9月、1425cの極小未熟児で生まれた。気管の入り口の組織が弱く、空気を吸う時にふさがって呼吸しにくくなる「喉頭軟化症」という病気だった。1歳2ヶ月で気管切開手術を受け、のどの付け根からカニューレ(管)を挿入した。退院後1ヶ月たったころ、たえ子さんは医師に告げられた。「言葉を発することはできないかもしれない。長期戦を覚悟してください」

トレーニング

たえ子さんは「なんとか普通の子と同じように育てたい」と思った。その日の夜から、お風呂での発声練習を始めた。「あーあーあーって言ってごらん」。切開した部分から息がもれないように、発声の時には指でふさぐ。最初はうまくいかなかったが、少しずつ声が出せるようになった。咀嚼の訓練もした。軟らかい物ばかりに慣れていたため、魚などは1時間も2時間も口に入れていた。「かみかみはこうだよね」。たえ子さんは鈴花ちゃんの口に自分の手を入れ、「痕がつくくらい、かんでごらん」と教えた。今では魚もきれいに食べられるし、好き嫌いもない。トイレや着替えも厳しくしつけた。それでも今も、気管内に唾液や痰が詰まらないようにする「吸引」の作業は欠かせない。のどの穴からチューブを挿入し、吸引器で吸い取る。作業は1時間に1回くらい、1分ほどかかる。体調が良ければ、2時間に1回程度のこともある。昨年6月から、就学前の障害児が通う「市立やまとあけぼの学園」に通っている。吸引は、同園の看護師が受け持っている。園長先生ら周りの大人の言うことはきちんと理解でき、運動機能にも問題はない。

主治医 後押し

武蔵村山市にある東京小児療育病院の主治医、椎木俊秀医師は「呼吸の問題を除き、知的にも順調に発達している。受け入れ態勢が整うなら、健常児と一緒の教育が極めて有効」と診断する。たえ子さんは今年2月ごろから、兄の崇としちゃん(5)と妹の千紘ちゃん(3)が通う普通保育園に一緒に行かせたいと、東大和市へ働きかけを始めた。だが、同市は「吸引」を理由に受け入れに否定的だ。吸引は医療行為のため、基本的に医師や看護師、家族にしか認められていない。同市内には保育園が15園あり、2園を除いて看護師が1人ずついるが、特定の乳幼児のケアを前提に配置されているわけではないという。市児童福祉課は「園全体の命を預かる立場として、緊急事態にも対応しなければならない。常時医療的措置が必要な乳幼児は集団保育にはなじまず、受け入れは難しい」と説明する。それでもたえ子さんは「常に付きっきりが必要なわけではなく、必要な時の吸引がお願いできれば」と訴える。崇としちゃんから尋ねられたことがあった。「鈴花がゼコゼコ言うからみんな嫌がるのかな」「そんなことないよ。ママが今、市の人たちに一生懸命お願いしているからね」たえ子さんはこの春、市議会に陳情するため「鈴花の願い」と題する文章も作った。(抜粋)≪私もお兄ちゃんと妹と一緒に保育園へ行きたい。吸引以外のことは全部自分でやらなきゃ駄目だってママが言うの。だからわたし頑張ったよ。今はまだ上手に吸引ができないけど、自分でできるように頑張るよ。吸引だけ助けてください。お願いします≫