リッチモンドはロンドン西の郊外に位置する、とてもお洒落な街です。もともとはシーンと呼ばれる土地でしたが、1501年にヘンリー7世によって宮殿を再建した時に、ヘンリーのノースヨークシャーの領土の名をとってリッチモンドと名づけられました。
今回はリッチモンド・ヒルから、リバーサイドを通って、リッチモンド宮殿跡地までご案内したいと思います。
まず、リッチモンド・ヒルですが、小高い丘の上にある高級住宅地として有名です。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの家があるのは特に有名で、18世紀にはロイヤル・アカデミー初代会長だったジョシュア・レイノルズも晩年の20年間ここに住んでました。リッチモンド・ヒルからのテームズ川の景色は最高で、19世紀の画家のターナーやコンスタブルもここで景色を描いています。静かに流れるテームズ川の向こうにトゥイッケナムの街とラグビー場が見え、川のこちらにはピータシャムの田園風景が広がります。
ここにはリッチモンド・ヒル・ホテルやリッチモンド・ゲート・ホテルなど宿泊施設もありますので、しばらく滞在されて、リッチモンド・パーク(2470エーカー)やテームズ川沿いの遊歩道を散策するのもいいと思います。
さて、街に向かって少し歩くと、テラス・ガーデンに出ます。市民の憩いのための公園で、一年中花が咲いています。公園の中にはコッテッジ風ティールームや、18世紀の川の神の彫刻があります。テラス・ガーデンを通って、丘からリバーサイドに降りることもできます。
川沿いの道は本当にきれいですが、満月の日の満ち潮の時間は、川の水があふれて道がなくなることもあります。川沿いには洒落たレストランや遊覧船乗り場などがあります。正面に見える橋が、1777年に造られたリッチモンド橋です。橋の向こうはトゥイッケナムの街で、このあたりは、フランス革命の後、難を逃れてきたフランス貴族が多く住んでいたところで、その中にはオルレアン公の一家や、ルイ・フィリップ(ルイ16世のいとこで、1830年から48までフランス国王。1848の2月革命で退位させられ再びリッチモンドに帰ってきた)なども含まれていました。
川沿いにはホワイト・ロッジというパブがあります。ここは川沿いの眺めがいいパブとして、散策の休息場所にに最適ですが、満ち潮のときは水があふれて外のベンチは使えなくなることがあります。
川から街の方に進みますと、リッチモンド・グリーン手前の住宅に「リッチモンド宮殿跡」というプレートがついています。ノルマン時代からマナーハウスがあった場所に14世紀にエドワード3世がここにシーン宮殿を造りました。1497年の火事の後、ヘンリー7世によって再建され、シーンはリッチモンドと改名されました。この宮殿はチューダー王家のお気に入りの城で、メアリー1世はここにハネムーンにきましたし、エリザベス1世はここで亡くなっています。エリザベス1世の後、スコットランドのジェームズ6世に次期イングランド国王になるという知らせを持って、家臣ロバート・カーリーが出発したのもここからでした。ピューリタン革命の際、この宮殿は破壊され、1650年にこの土地は売却され、普通の家が建つようになりました。もしずっと宮殿が建っていたら、ハンプトンコートにも負けない歴史を持っていたと思うと残念です。