この胸がちぎれそうなほど、赤くて、紅くて。
眼に染み入るや、赤き黄昏
ポチャーン、と勢いよく、音がした。
川沿いの道は、如何してこんなに人がいないんだろうと思うくらいに、皆無で。
ただ、俺はひとりでそこに立ち尽くしていた。
少し暑くなってきたとはいえ、まだまだ春。
夕方に吹く風が、冷たく、俺の肌をなぞっていった。
ゆれる、かみ。
其れが、すこしくすぐったくて。
まるで其れをふりはらうかの様に、頭を振った。
ポチャーン
そして音を立てて、水面に波紋が広がっていく。
無造作に握った石を、なんども、なんども、そこになげいれて。
まるで、其れは底なし沼のようだ、とおもった。
きっと本当は黒い何もない虚無の色で。
今は夕日に照らされているから、まだ赤々と輝いているのだと。
「・・・・・ハ。」
唐突に、そんな事を考えた自分が馬鹿らしくおもえた。
何を弱気になっているのだろう、と。
何を弱気になることがあるというんだ?
こんなにも全てはうまくいってるじゃねぇか。
何を、おそれるというのだろう?
自分の胸に潜む感情が理解できなくて。
ただいらだちににた感情が、頭を支配する。
「・・・・・・・っ!!!!!」
ただ、感情のままに殴りつけた。
しゃがみこみ、その自分の足元を。
途端、走る痛み。
当たり前か、こんな石がごろごろしてるようなところだから。
だが、なんだか其れすらもこっけいにみえてきて。
気持ちが悪かった。
この、胸に巣食う、気持ちが悪い感情。
痛みがその感情に勝ればいい、と願った。
全てを吐き出してしまえばいい、と思った。
そんなことなどできないと、こんなにも俺は理解しているのに。
今まで1人で立ってきたから。
今までずっと1人でたってきたから。
こんな感情、直ぐにでも消して、消して忘れて。
誰にも見せずに、さぁはやく殺して殺して殺して。
殺さなければ。
いままでさんざやってきたじゃないか、他人の弱味につけこむなどと。
いままでさんざやってきただろう、其れを利用するということを。
そう、他人につけこまれたくなかったら、その全てを他人にはさらしてはいけない。
だからうまくやってきただろう。
いままで誰にも見せずにやってきただろう。
全ては殺してきただろう?
自分のかすかな弱ささえ握りつぶして。
其れだというのに。
どうして、俺はこんなにも泣きたいと強く願ってるんだ?
本当は知っているくせに。
其れこそが俺の弱味だと知っているくせに。
其れすら俺は忘れようと消そうとし。
全てを元通りに。
他人を脅しそして使い、脅迫する。
いつもの、俺に、戻ろうとしている。
「・・・・・・つかれた。」
一言呟いて、俺は、その固い地面に寝そべった。
唯一つ、救いといえばその場には誰もいなかったということぐらいか。
否、既に俺はこの状況を恥ずかしいなんておもっちゃいねぇが。
「・・・・まぶしいじゃねーか、クソ。」
ふと見上げた空はもう、茜色に染まって。
眼に、染み入るその、紅の光。
思わず、手で、光を覆い隠した。
其れさえ突き通して俺の視界にはいる、光。
それがなぜか、暖かく感じて。
こんなにも、暖かい事が染み入ると。
どれだけ俺は気づかずにやり過ごしてきた?
必死になって、突き上げた腕で眼をおおう。
さらにもう片方の手で、其れを押さえつけて。
ただ、それだけの行為に。
こんなにも必死になる、自分がいる。
そう、そうでもしないと。
俺のこの腕は、どこにもない暖かさを探してしまいそうになる。
この腕が、指が、全身が、其れを求めて。
何かを、抱き締めたくて、けれども、切り捨てたくて。
たまらなくなる。
駆け抜けるのは、劈くような咆咾。
ただ、其れを口から漏れ出すまいとしたのはかすかな理性。
残ったのは、死ぬほど流れ出る涙と、それと。
千切れそうなほどの心の痛み。
俺を照らす黄昏が、染みて。
ほら、こんなにもわかっているじゃねぇか。
こんなにも、俺はしってんじゃねぇか。
”淋しい”んだ。
それから、眼をそむけようとばかり。
なにから逃げるかわからねぇ、けど。
俺は、ただ、自分の弱さを示すその感情から、逃げていて。
其れこそが己の弱さだ、と。
こんなにも、知っている。
放たれた腕は、まっすぐに天空を目指した。
そこに何もない、とわかっていても、空をたゆたわずにはいられなくて。
どうか、傍に。
誰に送るでもない、自己満足の、切望。
否、其れをかなえてくれるやつがいるのはしっている。
ただ、今は、まだ。
弱味を見せてしまうのは癪だ。
そうやって強がって。
俺は明日も、立ち尽くす。
唯、今は、この赤い黄昏が全てを隠してくれればいい、と。
とめどなく溢れる涙を、とめもせずに。
ぼそりと、”さみしい”と、呟いた。
20050514/はらっぱー
なーんかカプってとこまでいきませんでしたね。
なんかいまうちのヒル魔さんはお相手募集中みたいですYO。
ってかこれぜんぜんヒル魔じゃないかもですが我が家のヒル魔はこんなです。