プロポーズは?









挙式直前。アメフト部部室にて。ルール:惚気大歓迎。



「さて、では、泥門デビルバッツが独身連盟から脱退する前の最後の会合を行います!」

司会進行、瀧鈴音。
記者会見のノリである。鈴音の口調もちょっぴり芝居がかっている。

「それではまず、基本的なところからおさえていきます。お二人は相手のどのへんがお気に召したんですか?」

「ホホーウ、無難な質問だな。と同時にまるきり無意味な質問でもある」

「無意味??」

「ためしに尋いてみろ」

「じゃあ、まも姐は妖一兄のどういうところが好き?」

「すべてよ」

「・・・・・・」

「無意味だろーが」
そらみたことか、と言いたげな表情。


「じゃあ、妖一兄の方は?」

「へこまねえインタビューアーだな。前にも言ってるじゃねーか、好みは」

「使える女、でしょう?もっと詳しく、まも姐はどういう意味で使えるのがいい、とか」

「あらゆる意味で使い甲斐があるとこだな」

「あらゆる・・・意味?」

「そう、あっっらゆる意味でだ」


(オイ、それって、あーゆー意味とかそーゆー意味とかも含むのか)

(はぁ?わけわかんねえよ)


「気に入ったとこなぁ。他にあるとすりゃ、そーだな、かわいげの無えとこ」

「まあ、ひどい言われよう」

「なんだ?俺は褒めて言ってるんだぜ。勝負の世界じゃ、かわいげのある奴は成功できねえ」

「あら大変。それじゃ、ヒル魔君は成功できないかもしれないわ」

まもり、一本取った。





「じゃ、今までどういう付き合いしてきましたか〜?」

「いまさら説明することがあんのか?」

「そうね、見てのとおりだけれど?」

「ううん、でも、二人の口から聞きたいなって」

「そうだ!俺らもそれ聞いときたいぞ!」

「だいたい、確かに校内でも一緒にいるかも知れねえけど」

「いっつも喧嘩してるふうじゃねーかよ」

「うん、でも口論は趣味みたいなものだし、このひとのそれは愛情表現だから」

「うわあ・・・」

「まもり姉ちゃん、それ達観しすぎ・・・」

「すでに悟りの境地だな・・・」

「欠点も個性ってか?」

「いやもう、「口が悪い」ってのを「長所」のひとつに数えかねない・・・」



「では、お二人が正式に付き合い始めたのはいつから?」

「正式に・・・ってのは一体なんだ?正式に対して、略式とか非公式とかあんのか?」

「何月何日からっていうのはないわね」

「昨日まで他人でした、今日からお互い特別ですよろしくー・・・ってな記念日みてえなもんがあるとでも思ったか?」

「うん、ない」

「じゃあ、お二人の中でお互いをはっきり意識し始めた、とか、関係が決定的に変わったなぁっていう事件とかは?」

「ああ、うんうん、それは・・・ね」
まもり、視線でヒル魔に語る。

「変わったってったら、アレだろ」

「アレって、ソレのこと?」

「決まってんだろ。ありゃあ傑作だったな。いや、まさかテメーがあんな」

「もう!お互いさまでしょ。そっちこそああいうのって・・・」


(うわ、二人だけの暗号空間が始まっちまったぞ)
(つーか指示代名詞はよせー!)


「だいたいあんな、みんなの前で言っちゃうなんて、気付かれたらどうするつもりだったのよ!」

(みんなの前??みんなって俺らのことか?)

「いやー悪い悪い、テメーに伝えるので精一杯だったんでな」

「私が気付くって保証すらなかったわよ、あれは!」

「気付かなきゃ、それまでだ。けど気付かねえはずがねえと思ってたからな」

(気付く???いつのことなんだろ)
(わかんね)



「次!次の質問に行きましょう!ズバリ!プロポーズはどちらから?」
半ば強引に、司会が暗号空間をかき消した。

「プロポーズ・・・だぁ?」

「したっけ、そんなの」

「ええええ?」
「んな重要なことを、忘れるかー!?」

「覚えがねえ」

「わたしも」

「んなもん必要ねえし」

「ん、両思いなんだって気付いた瞬間、こうなるのは決まってたみたいなもんだし」

「はあ」
「ははあ」
「はははーぁ」

三兄弟、今回は変則。呆気にとられているのか、感心しているのか。

「まも姐は、ちゃんとしたプロポーズしてほしいとか思わなかったの?」

「うーんと・・・してほしい・・・けど忘れてた」

「忘れてたぁ?!」

「あー、親の了解とりつけるのに忙しくてな」

「そ、うちはけっこう簡単だったけど、ヒル魔君のほうが難関だったから」

「おう、激戦だったぜ。口論は数十回に及び、3度に1度は殴り合いに発展した挙句、敵がようやく実印持ち出してきたときは・・・」

「わー、わー!!その話はやめて!!」

(敵か)
(敵かよ)
(ああ、敵だぜ、父親ってやつは)
(十文字が言うと説得力あるなあ)


「別室に控えてたこいつが糞父親失格者に飛びついて、はしゃいでんだか号泣してんだかわからねえような大騒ぎに・・・」

「嘘よ!はしゃいでなんか!」

「ほうほう、泣いてたとは認めるわけだ」

「まぁまぁまもり姉ちゃん、おめでたい席なんだから」

「ヒル魔も、あんまり奥さんをいじめるなよ」







・・・・・・・・・・・・・・

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