漫歩計の山行記録:幻の大仏鉄道を求めて
2008年1月27日

コース:
 JR加茂駅 --- 観音寺橋台 --- 鹿背山橋台 --- 鹿背山不動尊 --- 梶ヶ谷トンネル --- 赤橋 --- 州見台 --- 鹿谷トンネル --- 黒髪山トンネル跡 --- 大仏鉄道記念公園 --- ふなはし商店街 --- 近鉄奈良駅

 今から100年ほど前、奈良に「大仏鉄道」という名の鉄道があったそうです。ご存知でしょうか?

 明治32年(1900年)に開通して、わずか9年余りで廃止された大仏鉄道。ルートは現在のJR奈良駅から加茂駅(京都府加茂町)までの9.9kmで、今はJR関西本線(大和路線)が木津経由で両駅を結んでいますが、大仏鉄道は乗換なしで斜めに奈良と加茂を直結していました。
 今回は山ではなく里歩きで、その大仏鉄道の跡を加茂から逆に奈良へとたどります。

加茂駅前のモニュメント観音寺橋台
加茂駅前のモニュメント
観音寺橋台

 JR加茂駅南口を出ると、すぐ前に公園があり、その中に大仏鉄道のモニュメントがあります。なお、加茂駅には当時を偲べるランプ小屋も残っています。

 駅前からは、大仏鉄道の遺構保存などに努力されている「大仏鉄道研究会」のホームページからダウンロードした案内地図を片手に歩きます。JRの線路脇にある蒸気機関車を見て、一度線路の北側に出て泉川中学校の北側を回り込み、再び線路下をガードでくぐりますが、この「観音寺橋台」が最初の遺構。現在のJR大和路線と並んで、立派な石積みの橋脚(橋台)が残っています。当時は2本の線路が並んでいたのですね。案内板にあるとおり、上に線路を敷けば今でもそのまま使えそうです。

 線路に沿って気持ちのいい道が続きます。このあたりの里山の風景は日本の原風景のような感じで、横を蒸気機関車が通ってもさほど違和感がないかも。
 右に「鹿背山橋台」を見て、「グリーンハウス」という園芸店を過ぎ、さらに少し行った角を右に曲がると、鹿背山不動尊があります。小さいながらも雰囲気のいいお寺で、境内には手作りのベンチもあって昼食や休憩に最適です。ただしトイレはありません。

鹿背山不動尊梶ヶ谷トンネル
鹿背山不動尊
梶ヶ谷トンネル

 もとの分岐に戻り、美加の原ゴルフ場の前を過ぎてすぐに車道から左に降りると、「梶ヶ谷トンネル」があります。当時はこの上、すなわち今歩いていた細い車道が線路で、その線路が里道をまたいでいたわけですが、立派な石造りのトンネルを見れば、その当時の技術の高さが良く分かります。

 トンネルを通り抜け、田畑の間を抜けて再び線路下をくぐるところに「赤橋」があります。大仏鉄道の遺構の中でも最も代表的なもので、今も現役で上を車道が通っています。

左の車道が線路跡赤橋
左の車道が線路跡
赤橋

 再び線路跡の車道に上がり、蒸気機関車が走っていた情景を思い浮かべながらしばらく歩くと、突如大きな交差点に出ます。ここからは州見台(くにみだい)というニュータウンになります。なお、この交差点右に、井関川をまたいでいた当時の線路跡(築堤)があります。

 4車線の車道に沿って次の信号まで歩き、ここで左へ曲がるのですが、この信号を右に曲がるとすぐ右に英国風の喫茶店が見えます。「ティースコーネ」という名のこの喫茶店、実は私のお気に入りの店。2年前まで仕事でよく行った英国の雰囲気が味わえるし、スコーンや紅茶がおいしいのです。もちろん今日も立ち寄って紅茶とマフィン・スコーンのセットをいただきました。

 休憩のあとは車道を南へ歩き、スーパーマーケットやレストランのある交差点を過ぎ、「バベルの塔」と呼ばれる風変わりな水道塔を右に見て、小さな峠を越えると、奈良市に入ります。
 奈良側には残念ながらあまり遺構は残っていませんが、さらにしばらく車道に沿って歩き、ゴルフ練習場のある大きな交差点を渡ってすぐに右の小道を降りると、「鹿谷トンネル」と言う水路をまたぐトンネルを見ることが出来ます。水路は今も農業用水として使われています。
 このあたりでは線路跡が今は広い車道になっているのです。

 車道に戻ってさらに南へ歩き、信号を幾つか過ぎて、坂を登り詰めたところが「黒髪山トンネル」の跡です。

黒髪山トンネル跡大仏鉄道記念公園
黒髪山トンネル跡
大仏鉄道記念公園

 大仏鉄道は、勾配のきつい坂が多く、当時の蒸気機関車では登るのが大変だったようです。乗客が降りて押さなければならないようなこともあったらしく、平坦な軌道を走る木津経由の鉄道が開通すると利用客が激減し、わずか9年で廃止されてしまったのですが、この付近の坂の傾斜を見れば、さもありなんという感じがします。
 黒髪山トンネルは、鉄道が廃止されたあとも昭和31年(1956年)までは残っていたそうですが、車道拡幅の際に山を切り崩して現在の切通しになってしまったようです。今は切通しの車道の上のかなり高いところを、尾根を通る歩道橋が横切っています。

 廃止された奈良ドリームランド(遊園地)の前を過ぎ、左に鴻池球技場と池を見て、右へ曲がり、地図に従って消防署の前に出ます。この前の側溝にも当時の煉瓦積みの跡が残っているそうですが見過ごしてしまいました。

 さらに南へ、一条通を渡り、道が斜め右に曲がってすぐの小さな交差点に、大仏鉄道記念公園があります。この公園の北側付近に「大仏駅」があったのです。当時は周囲は田んぼの真ん中だったと思われますが、それでも大仏に一番近い駅ということで、開業当初は人気を博したとのことです。
 ここからは「ふなはし商店街」を抜けて、大宮通へ。右前方へ渡ればJR奈良駅、左へ曲がれば近鉄奈良駅です。

 今日のコースは全長約13km。距離は長いもののハイキングとしてはアップダウンは少ないし、特に前半は里山の景色が素晴らしい。後半は市街地ですが休憩スポットもあるので、歩き方としては加茂から奈良に向かって歩いたほうがいいような気がします。
 なお、大仏鉄道については、大仏鉄道研究会のホームページに詳しい情報があります。

 あなたも100年前の鉄道の跡をたどって、タイムスリップしてみませんか?


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