「私は、パイオニア2に乗るよ」
まだ子供に見える少女は、両親をまっすぐに見つめて、言った。
それは、ひとつの決別だった−−−。
−−−ざわつくロビーの中で、少女は思い出す。
「いつも」が終わりを告げたあの日のことを。
あの生活から決別するということ。
それは、両親の寿命から考えて、もう二度と会えなくなることだろうとはわかっていた。
しかし、これを逃したら、時が動き出さないであろう事も知っていた。
だからこそ、両親も、何も言わず送り出したのであろう。
「−−−忘れない」
あの時の瞳。交わした言葉。みんな。
時が動き出したあの日のことを。
少女は、真新しいハンターズスーツに身を包んでいた。
輝くような、目に痛い緑色。
そう見えるのは、心が泣いているからだろうか?
パイオニア1には、軍関係者が多かったらしい。
それが順調にいっているので、パイオニア2の募集人員は、一般人枠を多く設けられていた。
−−−とは言っても、民間人がパイオニア2に乗る場合、軍や政府になんらかのコネがないと難しいのは確かだった。もしくは多額の賄賂を必要とした。
公然と行われていることで、賄賂と言っていいのかわからないが。登録費とでも言った方がいいのだろうか。
とにかく、たいした費用も出すことは出来ない。
残された手段は、ハンターズになることだった。
軍関係者が少ないことで、やっかいごとの解決が心配されていたらしい。
なので、民間人の中でもハンターをなりわいとする人は優遇されていた。
なにぶん、ろくな運動もしていなかったので、多少の心配はあったが。
どうにか大慌てでハンターズの資格をとり、そして運良くパイオニア2の乗船権を得ることが出来た(ハンターズ対象の抽選会があり、なんとそこで当選したのである)。
そうして、少女は、パイオニア2のロビーに立っていたのだった。
パイオニア2はフォーブから飛び立った。
−−−もう戻れない。
遠ざかるフォーブ。
その、かすかに残る碧と翠のきらめきに、両親を思いつつ。
パイオニア2は行く。
双葉色に芽吹いた、その少女を乗せて。