小説「フェレオスト王国」


ココ遥か宇宙の彼方。遠い惑星から一船の宇宙船が、宇宙空間を飛行していた。
船内には二人の宇宙人らしき人影がある。順調に進んでいたが、思わぬアクシデントに見舞われた。
宇宙空間はチリやゴミがあり時には、それが事故に繋がる事もあるのだ。
何度も前方を確認しながら軌道修正をする。自動から手動に切り替え今は、とても危険な状態と言ってもいいくらいだ。前方から飛んできた何らかの破片を避け切ろうとしたが、間に合わず後部に激突し燃料タンクがやられてしまう。メーターの針は徐々に下がっていく。このままでの飛行は難しく近くの惑星に降りるしかない。
『仕方ない、近くの惑星に着陸する。』
探知機みたいな物で近くにある惑星を探し、惑星の位置を確認しコンピュータにインプットする。
インプットした数字を目標にし、残り少ない燃料で無事に惑星に着陸する事が出来た。
一安心する二人。外に出る前にその惑星の大気を確認してから外へ出た。
二人の目に飛び込んできた物は美しい自然だった。
大地、森林、湖、そして新鮮な空気。(まるで地球と同じなのだ。)
二人はあまりの綺麗さに驚く。いままでに見た事が無いからだ。
その美しさに見とれている場合では無かった。
宇宙船を直さなくてはならない。特に燃料タンクを。
その為には惑星の住人を探さなくてはいけない。
歩いて行こうとしたが周りの気配、臭いから先は長いと判り浮遊術みたいな物を使い、空を飛んでいった。
だいたい10分頃経った頃に何かが見えて来た。
二人はその前で降りる。それは金属で出来た看板。
”フェレオスト王国”そう書かれてあった。
そして二人はそこから歩いていき、じきにそこの住人である者に出くわす。
住人は二人を見て驚きもしない。自然に挨拶を交わされた。
それもその筈だ。宇宙人の容姿は銀色の長髪、瞳の色はブラウン。
夜になるとグリーンに変わる。そして、二つの手と足。
惑星の住人は人間そのもの。違うのは髪の色と瞳の色。
二人は快く受け入れられホッとするのもつかの間周りが、騒ぎ出した。
人々の前に4,5頭の馬が現れた。そして、1頭の馬から血が滴り落ちていた。死体を運んでいる為だ。
「皆の者、よく聞け。森へは行ってはならぬ。森への外出は禁止をした筈だ。」
一人の若者が群集に言う。
先頭に立っている若者は、皆から隊長と慕われており陛下の近衛(このえ)をしている。
皆、騎士の格好をしており色の違うマントを羽織っている。
勿論、聖剣(けん)も持っている。そして、隊長・リュウは群集の中にいる見掛けない二人が視界に入った。
「おい!お前等、何処の者だ?!」
と、言うなりリュウは二人をひっとらえる。
逃げる暇も無い程、彼等の動きは速かった。
宇宙人と死体を城へ連れて帰った。

<城内>
死体は近衛の下っ端が、処理(火葬して灰を川に流す事)する。
中庭では王女・カーラと王子・イアスは神聖魔法の使い手・ランマから手解きを受けていた。
覚えの早いイアスとカーラ。それだけなら未だしも二人は、折角覚えた魔法で
「魔物を倒しに行くぞ!!」
と、意気込む。
聖剣を手にして、いざ出陣と威勢良く駆け出すがランマに止められる。
「駄目です!!」
「何故だ?!攻撃系の魔法覚えたんだ。出来るだろうが!!」
そう言いながらイアスはランマに聖剣を突き付ける。
「そうよ。完璧に出来るわ!!」
と、カーラも賛同する。
「未だ無理です。」
と、言うランマを蹴り倒して行こうとしたが駄目だった。
見えない透明の壁に激突してのびてしまう。
ランマが一瞬にして作り出した物だ。
心で念じた物も、実現化出来る能力も持ち合わせている。
一方、リュウは連れて来た二人を王の前に差し出す。
「この者達は、何者だ?!」
「どうやら、他の惑星から来たもようです。」
リュウが王の問いに答える。
「何しに来た?!お前等の目的は何だ?!」
怪訝そうな顔をする王。
二人はずっと黙ったままだ。話している言葉が判らない訳ではない。
話している意味は判っている。意を決した二人は・・・・・。
「私の名前はユージン。隣がルーイ。ここに来た理由は宇宙船を直したくて・・・」
と、この惑星に不時着した事を話す。
「出来たら部品を分けて頂きたいと思いまして。」
謙遜な態度で接するユージン。
彼の態度が良かったのか王は
「よかろう、何でも持ってゆくがいい。確か、使い古した宇宙船があった筈だが・・・・。」
そう言ってくれたのだ。
胸を撫で下ろす二人。これで自分達の惑星へ帰れるのだから。

時は同じく・・・。魔族の動きが活発化になっていた。
その証拠に数人の死体が、立て続いて発見されているからだ。
王達は何食わぬ顔で見過ごしている訳ではない。
何も出来ない状態に苛立ちを隠せなかった。
どうすればいいのか、家臣達と相談してはいるのだが・・・。
今は、ランマの指導でカーラとイアスに神聖魔法を覚えさせている。
近衛には、神聖魔法が掛かった聖剣で戦って貰っている。
相手・魔族は魔術を使う為、素手では敵わない。こちらも魔法を覚えるしかないのだ。
そして、同時に能力を持つ者も受け入れていた。

真っ暗な森に響き渡る。けたたましい鳥の泣き声。
誰も近寄らない。密かに蠢く魔物達。ずっと、フェレオスト王国を監視している。
太陽が沈めば、より一層に森は静寂になる。
暗闇に紛れて魔物達が動き出す。魔術を使って住人に化け住人を誘い出す。
そうして何人も犠牲になっていった。

『フェレオスト王国を我々の物に!!』
歓声を上げる魔物達。
『フェレオスト王国の者は全て殺せ。好きな様に暴れろ。』
と、デューゼル王が言う。
そう言われ魔物達は動き出す。ぞろぞろと要塞から出て行き王国へ向かう。
そうとは知らない王達は、部屋でのんびりと寛いでいた。
リュウ隊長も別館にある自分専用の部屋にいた。
ランマはカーラとイアスに魔法を教えている。攻撃系、比喩系、保守系。
後、一番使いたくないが、自滅系の魔法も教えていた。
「これだけは、絶対何があっても使わないで下さい。絶体絶命の危機に陥った時だけ、使える魔法だから。間違って使ったら自分の命も落としかねない。いいですね。絶対使わないで下さい。」
と、何回も念を押す。
うんざりした顔をするカーラとイアス。
「判ったから、もうよい。」
そう言うカーラ。だが・・・、ランマは本当かなと疑いの眼差し。

「た・・・大変ですっ!!陛下!!」
真っ青な顔をした家臣が、一人王の前に現れた。
「何事だ?!」
「それが・・・。魔物達が王国に現れて暴れております。多数の死者、負傷者出ておりまして大変な状況に・・・・。」
「何っ!!!」
王もまた青褪める。
いずれ、予想してた事になるのではないと思っていたが、こんなに早くなるとは思ってもいなかった。
早急に家臣を集め、近衛も魔法の使い手も王女と王子も城の中へ。
魔物達が暴れ出した事を知るとカーラとイアスは、倒しに行くと言い出す。
「勝てる見込みはあるのか?!」
と、王がランマを見て言う。
「未だ判りません・・・。教えたばかりでして・・・、何とも言えません。」
と、曖昧な返事をしてしまう。
考え込む王。それよりも早く倒しに行きたいイアス達。
「こうしてる間にも被害が大きくなるばかりだわ!!一刻も早く救いにいかないと!!魔物達が暴れているのよ!!」
と、カーラが言う。
「待ってられるか!!」
と、イアスも言い城から出て行ってしまう。
カーラも兄の後を追い、そして、已む無くリュウ隊長等もカーラ達の元へ。
ランマと数人の魔法の使い手等も城外へ。

恐ろしい形相をして襲い掛かる魔物達。
無惨に転がっている血塗れの死体。頭が無い死体や胴体が半分しか無い死体、噛み砕かれている死体。
ほとんど低級の魔物達の仕業だ。
中級の魔物から魔術を使う様になる。
中級の魔物ならランマは、簡単に倒せるが上級の魔物とはほぼ互角。
リュウ隊長達も中級の魔物は相手に出来るが、上級の魔物は聖剣で倒しても致命傷にはならない。
ホンの掠り傷程度にすぎないのだ。
威勢良く聖剣を振り翳す。一斬りで魔物を倒して行く。
数が多く一匹二匹倒しても、次々に魔物が襲い掛かって来る。
ランマ達は魔法で一掃しても変わらず。次々と魔物は出て来る。
一応、城内だけは結界で守られている。魔物は中には入って来れない。
圧倒的に魔物達の方が有利である。
低級魔物をランマと魔法の使い手・ガイナとの一突きの魔法で一掃する。
それでも未だ、中級の魔物と上級の魔物が残っているのだから。
もはや、街は見る形も無い。廃墟と化しつつある。
逃げ延びれた者達は城内へ。外は魔物とイアス達だけだ。
ユージンとルーイも城内。闘いには参加していなかった。

「きゃああああ!!」
不意を付かれたカーラは上級の魔物に捕まってしまう。
「!!!」
一斉にカーラの方へ視線が注がれる。
リュウ達は少しずつ疲れ始めていた。
ランマ等も力の差に多少、怖気づく。
今のままでは絶対負ける。
一旦引き返した方が賢明な処置と云えた。
「カーラ!!」
イアスが向かって行こうとしたが、何か呪文を唱え始めた上級魔物の一人・カイルの周りにシールドが張られる。そして、そのシールドにイアスは跳ね返された。
シールドを張られては何も攻撃出来ない。不味い状況だ。
このまま引き下がるしかなかった・・・。
「絶対助けに行くからな!」
そう言ってイアス達は城へ戻る事に。

このままではとうてい魔物達には勝てない。
カーラを連れ去った魔物達は、要塞の中にある牢屋みたいな所にカーラを閉じ込めた。
カーラの叫び声は全く無意味だった。どんなに叫んでも部屋の中に響き渡るだけ。
魔物達が居る所までは、かなり距離があり叫び声を上げても聞こえないのだ。
「ああ、もう!!ムカつく――!!なんで、私がこんな目に遭うのよ!!」
と、壁にやつ当たりをするが聖剣が傷むだけ。
魔物達のボス・デューゼル王は、カイル達がやった事を誉める。
カーラがいれば我々に手を出せない。そして、奴等が乗り込んで来るのを待つ気でいた。
そこで、近衛や神聖魔法の使い手達を片付ければ後は、王達だけだ。
簡単に国を乗っ取る事が出来ると踏んでいた。

<城内>
イアス達はやり場の無い怒りをぶつけ合う。自分の不甲斐無さに腹を立てる者もいた。
王達は今の深刻な問題をどうするべきか悩んでいた。
彼等を見てたユージンとルーイは
「我々も力に成る事があれば出来る限りで闘いますよ。」
と、心強い事を言ってくれた。
右往左往するイアス。苛立ちを隠せない。カーラの事が心配で堪らないのだ。
「やっぱ、助けに行く!」
と、イアスは歩き出そうとするが・・・。
「駄目です。今のままでは返り討ちに遭うだけです。」
と、イアスの前にランマが立ちはだかる。
「この俺に歯向かう気か?!」
ランマに向かって剣を突き立てた。
「そこを退け。退かなければ殺す・・・。」
そう言う。ランマを睨み付ける瞳は本気だ。本気でランマを殺す気でいる。
睨み付けられてランマも睨み返す。両者一歩も譲らない。その様子を見てたリュウは
「内輪もめはやめろ!!」
と、仲裁に入るが二人共聞き入れない。
聖剣を突き付けたまま下ろそうとしないイアス。
ランマも、後に下がる気はない。
「いい加減にしろっ!!」
と、二人を引き離したリュウ。
「糞っ!!」
イアスは気にいらなく聖剣を投げ落とす。
苛立っているのはイアスだけではない。皆も同じ気持ちなのだが・・・・・。
ランマの言う通り今、魔物を倒しに行っても返り討ちになるだけなのだ。
だが、このままではカーラは魔物達に殺されてしまう。
返り討ちになると、分かっていても行くしかないのだ。
近衛はリュウ隊長を含めて闘えるのは、約150名程度。魔法の使い手・ランマを含めて20名程度。
イアス、そして、ユージンとルーイ。死を覚悟して戦いに臨(のぞ)んだ。

魔物達の罠にわざとハマった。
勝てない戦いだとしても僅かな希望に望みを掛けたい。
奇跡に掛けたい気持ちで一杯だった。
ルーイとユージンは、とてつもなく強く秘めた能力を持っていた。
低級の魔物は、ランマとガイナとトーワの一突きの魔法で一掃し。
残りを中級と上級の魔物だけにしてしまう。
魔法が使えない近衛達は、聖剣で立ち向かうがやられてしまう者もいた。
上級の魔物には太刀打ち出来ない。半分程倒してもまだ、半分いるのだ。

バッサリとルーイの腕を折ってしまうが、ルーイ自身は痛みなど感じていなく自らの手でちぎってしまう。
緑色の血が流れ出る。
目を閉じ精神集中させると、いままで何も無かった肩から新しい腕が再生し始めた。
最初に骨組みが出来、次に細胞の塊が溢れ出て来て肉体の腕の形に成って行く。
その光景は、あまりにもグロテスクだった。
見ていた近衛の一人が、泡吹いて倒れてしまったのだから。
そして、半分程の魔物をユージンとルーイが、すぐに片付けますと言い近衛やランマ達の一番前に出て二人は、何かを唱え始めた。
すると、二人の掌の上には、丸い霊玉みたいな物が浮いていた。
見る見るうちに大きくなり、指先一本でその玉を浮かしている。
唱え終えるとユージンとルーイは、お互い目を合わせ頷きその霊玉を魔物達に向かって放った。
そして、その玉に当たった魔物達は、叫び声を上げながら溶けていく。
玉の中に引き込まれドロドロと溶け出して行ったのだ。
掠っただけでもその部分だけ溶けてしまう。
物凄い破壊力を持ったその霊玉は、上級の魔物達も巻き添えにして跡形も無く消し去ってしまった。
今の攻撃で魔物達の数は激減している。
人数的に言えば、魔物達の方が不利だが未だ余裕がある様だった。
残った上級の魔物相手に、ランマ達が戦っていた。
だが、苦戦を強いられる。近衛やリュウ隊長も聖剣で戦うが掠り傷程度で、反対に近衛の方がやられてしまう。強い上に魔力を使うからかなわないのだ。

「糞っ!!!」
このままではやられてしまう・・・・。
弱音を吐いてしまうリュウ隊長。
ユージンとルーイも同じ攻撃をしたいが、未だ出来ない状態だった。
一回霊玉の攻撃をしてしまうと、かなりの疲労が出てしまうと云う欠点があるのだから。
肉体的にもなかり疲労困憊していた。
お互いしばしの休憩を取るが、魔物達の攻撃で休憩している暇も無かった。

「こんなにてこずるとは思っても見なかったな。」
「ああ。でも、未だボスのデューゼル王がいる・・・。なんとかしなければ・・・・・・。」
顔合わせるホンの一瞬で、リュウ隊長とランマは会話を交す。
此処で力尽きるのは早いのだ。
デューゼル王は、上級の魔物以上に魔力を持っており強い。
仕方なくリュウ隊長は、ユージンとルーイに同じ攻撃をして欲しいと頼む。
このまま全滅するのは不味いからだ。カーラ王女も救えなくなる。
「頼む、又同じ攻撃を・・・・・・・。」
「だが、我々にも力の限界が・・・・・。」
「無理は承知です。そこを何とか・・・・お願いします。」
そう言われユージンは考え込む。
「出来ない事は無い。だが、もうちょっと時間をくれ。」
と、返事をした。
リュウは二人に期待をし望みを託す。
ユージンは、ルーイの元へ行き同じ攻撃が出来るか聞く。
「多分な・・・。自信は無いが・・・・。」
「そうか、やるしかないな。」
と、言い再び二人は唱え始め霊玉を作り出す。
先程と同じくらいのサイズとはいかないが、霊玉を指先に乗せ上級の魔物目掛けて放ったのだ。
霊玉は、魔物を包み込み溶け出して行く。
玉の中に引き込まれ者も溶け出し、辺り一帯はドロドロの沼状態だ。死臭もし臭い。
魔物は一匹も残らず全員跡形も無く溶けた。後は、ボス・デューゼル王だけだ。
ランマや他の使い手もまだまだ余裕がある。力は、未だ残っている。
さらに奥に進むと広い部屋が、あり誰も居なかった。
そして、更に奥に進むと牢屋みたいな物があり中には、カーラが眠っていた。
「カーラ!!起きろ!!!」
「王女、起きて下さい。助けに来ました。」
イアス達の声に反応したカーラは目覚める。
「ん・・・・・、どうしたの?」
と、半分寝惚けている。
「カーラ!!寝惚けてるな!助けに来たんだよ!!!」
カーラは、状況を把握し、
「早くここから出してよぉ!!!」
と、怒鳴り付ける。
聖剣で鍵を壊し牢屋からカーラを出した。
「助かったわ、ありがとう。」
そうお礼を言う。
「さ、ここから出よう。」
要塞から抜け出したリュウ達は腑に落ちない。
デューゼル王の姿が見えないからだ。
何か嫌な物を感じたイアス。
まぁ、とにかくイアス達は城へ戻る事にした。

デューゼル王、彼にとってユージンとルーイの攻撃は誤算だった。上手く行く筈だったのに・・・。
「糞っ!!!」
仕方ない・・・、自らの手で王やお前達を始末してやる。
そう、心の中で言いデューゼル王は城へ乗り込んだ。
結界を壊し城の中へ入り、家臣やメイドを皆殺しにしていく。
王と妃を追い詰め、妃だけを吊るし上げた。
「殺すのは簡単だ。」
と、デューゼル王は妃を痛め付ける。
嬲り殺されるのは最も屈辱的な事だ。
城の前に来たランマは結界が壊れている事を知る。
「!! ・・・・・・・・・・・・まさか。」
「どうした?ランマ・・・・?」
「デューゼル王が此処に居るかも知れない・・・・。」
「!!?」
同時に思った事は同じだ。
王達が危ないと―――。

大慌てで城の中へ入りイアス達の視界に入ったのは、無惨な格好の妃と王の姿、そして、デューゼル王だった。
「貴様!!!」
イアスがデューゼル王に切り掛かるが、あっさり避けられ逆に一発でやられてしまう。
「―――っつ。」
意識は有るものの戦いは出来ない状態に。
このままでは全員殺される―――。
そう脳裏に浮ぶ。何とか成らないか、良い法方を考えても浮ばない。
デューゼル王を倒すなんて無理な話だ。力の差があり過ぎる。
戦える気力や力はあるものの、相手がデューゼル王だ。
負けるのが目に見えていた。
それでも何とかしないと国は滅びてしまう。
ガイナが何かを閃きランマに耳打ちする。
「封印か、それはいけるかもしれない。」
笑みを零すとランマはリュウや近衛、他の者達に伝える。
封印の魔法ならやり方も知っている。
中から叩いても割れない頑丈な空き箱か何かを探させる。
デューゼル王に見つからないように。
そして、無理は承知で、同じ攻撃を出来ないかリュウはユージンに聞いた。
「・・・又か。多分、無理だ・・・・。力はあまり無い。」
「少しだけでいい。奴を怯(ひる)ませる程度で・・・・・。」
考え込むユージンは
「仕方ない・・・・・。でも、出来るかどうかは判らない。」
と、言う。
「それでは困る。少しだけでいいから・・・・・・・・・お願いだ。我々を助けてくれ。」
頭を下げられユージンは仕方ないと。
やる事にしてしまう。

城の事など気にせず、カーラや使い手達は魔法を使いデューゼル王を倒そうとするが、ことごとく避けられ致命傷さえならない。掠り傷を負わせる程度だった。
一人の近衛が持って来た物は、鉄で出来た花瓶みたいな物だった。
蓋も有り丈夫で何度叩いても割れない。これなら封印出来るとランマは喜ぶ。
皆、力を合わせてデューゼル王を倒す。
避けられても気にせずにいた。
次々と来る攻撃を交しながらデューゼル王は移動するが、反対に壁際に追い詰められた。逃げ場はない。
そして、ユージンとルーイの指先には霊玉が。深手を負う覚悟で前に出、デューゼル王の前に立ち塞がり霊玉を放ったと同時に、ルーイがデューゼル王の攻撃をまともに喰らってしまう。
「!!?」
デューゼル王の方もまともに喰らい身体は、溶け始めていた。
それから、追い討ちを掛けるようにリュウ隊長らは聖剣で切り裂き、ガイナ達の魔法で半分溶けているデューゼル王を鉄の花瓶みたいな箱に入れて、ランマが蓋をし封印となる呪文を唱え護符みたいな物で封じる。
それでも中でデューゼル王は生きていた。
けれど、完全にデューゼル王は溶けその中には、彼の魔力だけが残っていた。
そして、その花瓶みたいな物を地中深くに埋めた。もう二度と戻って来れないようにと。

深手を負ったルーイは再生出来ない。心臓が一部、破壊されていたのだ。
このままでは危ない。カーラが
「もし、良かったら私の比喩系の魔法で。貴方達に効くかどうかは判らないけど・・・・・・・。」
と、言い出した。
ランマはその言葉に呆然。出来るかどうか不安なのだ。
手の空いているガイナ達は王と妃、イアスの治療に専念していた。
完全に治るのには時間が掛かるけど。
ランマが見てる中、カーラはルーイの心臓の部分に掌を当て呪文を唱えながらゆっくり手を動かす。
微量ながらも効いてはいる。だが、まだまだだった。
やはり、彼等と人間とでは治り方の違いが出ていた。

そう、宇宙船を直してこの惑星から出ようとしたが、当分は出来なかった。
ルーイの身体が、完全に治るまでここにいる事にした。
その内に、ユージンは使い古した宇宙船から使える部分を貰い燃料タンクを直す。
宇宙船がちゃんと作動出来るかどうか、テストをして見事、完全に宇宙船を直す事が出来た。
それから、一ヵ月後。
ルーイの身体は完全に治った。
カーラ達や王に礼を言いユージンとルーイは惑星を後にしたのだった――――。

END

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