小説「ヴァンパイア・ウォーズ シリーズパート1」

ほんの軽い気持ちで出した葉書が、当選し招待状が送られて来た。
初めは昌未は行く気は無かったが、母や妹に煽られ結局行く事になる。
SMAPとファンの集い。こんな企画は金輪際無いだろう。最初で最後のファンの集い。それも豪華客船で行われる。
不安も少しあるが、彼等に会えるのが凄く楽しみになってきた。

当日。彼等SMAPとファン50名を乗せた豪華客船は、10時に出港し港を後にする。
船内では音楽が流れ、テーブルにはご馳走が並べて置かれてある。
始まって一時間は、それぞれ簡単な自己紹介をしてゲームへと移る。
だが、昌未は自己紹介でとんだ失敗を。第一印象で良くない印象を与えてしまった。
それは消極的な性格のせい。大人しく自分の思った事や意見を押し通す程、強くない。気が弱い方。その上、口下手で上手く気持ちを伝えられないのだ。
拓哉に見落とされて、ガックリ肩を落とす。自分が悪いのだから。
皆はゲームを楽しんでいるが、昌未は一人隅っこで座っていた。
ファンの娘(こ)達も昌未に対して冷たい態度を。

楽しいファンの集いを殺人劇に変えたのは、漂流者を助けてからだ。
12時過ぎくらいに、何日も海の上を漂ってたと云う男達を助け、船に乗せた。
その直後から、さっきまで良い天気だった空が、暗雲に染まり雨が降り始めていた。灰色の空模様。
誰も歓迎せず、食べ物を渡した途端、噛り付く。テーブルに置かれた御馳走を全部、男二人で平らげた。元気になった二人は。
「気にせずに続けていいよ。」
と、言うがゲームをする気になれなかった。
正広と拓哉が気を取り直し、二人を気にしないようにと言い無理にでもゲームを続けさせた。
一人は長髪で背が高く、青い瞳を持ちスラっとした顔立ち。かなりの美形でもある。もう一人も背が高く短髪。同じ青い瞳を持ち、二人共日本人じゃなく外国人。
二人は一人で居る昌未に近づき話し掛ける。
「何故一緒にゲームやらないの?」
と、聞かれ昌未は無視を。
「無視する事ないだろう。ん?」
と、昌未の顔を自分の方へ向けさせた。
さっきまでの瞳とはかなり違ってる。怖いくらいに輝き、まるでやっと見つけた餌を見つけたように昌未を見つめる。
そして、昌未は彼を見て一瞬怯える。彼の中に何かを感じ離れようとした。
「何故逃げる?!」
両腕を痛いくらいに掴み迫ってくる。
「ファンの娘に手を出すのはやめてくれないか?」
と、正広が助けに来た。
二人の男から、昌未を引き離し連れてゆく。
「一人で居るからこうなるんだよ。」
と、昌未にそう言った。
正広に助けられて安心するけど、周りの女の子達は”助けられていいよなぁ〜羨ましい〜”っと、軽く嫉妬していた。
だいぶ時間が経ち、一人の女性がトイレへ行ったきり戻ってこない。その女友達が
「戻ってこないんです・・・。」
と、騒ぎ出し皆で探した結果、彼女は変わり果てた姿になってキャビンで発見された。
皆が最初に疑ったのは、やはり見知らぬ二人の男。
けど、彼等は、
「証拠も無しに疑わないでくれ。」
と、言いその上
「助けて貰った君達を殺す必要あるのかい?」
とも、言って来たのだ。
納得しざるおえない。けど、
「片付けを手伝ってくれ。」と、男三人で後始末をした。
犯人探しをせず。かと言って集いを中断する訳にもいかなく続ける事に。だが、それが不味かった。間違いだった。又、犠牲者が出たのだ。
数時間で五人も変死体で見つかる。やはり怪しいのは男二人。そう睨んだ拓哉達は、ゲームを止めフリータイムに入らせる。
男二人・カイルとレナンは女達に近づく。
拓哉達は遠めから二人を見張っていた。
カイルは女を口説き落とし、キャビンへと連れて行った。レナンも同じ事をし、キャビンへと女と一緒に入って行った。
拓哉達はそれぞれ尾行しキャビンの前に居る。
そして、意を決して中へ入ると、女はBedに倒れ隣にはレナンが座っている。
「ファンの娘に手を出すなと言っただろう!」
と、彼女の側へ行き揺り起こすが起きない。既に虫の息だった。
「やはりお前等だったんだな、殺したのは!何者だ?!何の恨みでこんな真似を・・・。」
「バレちゃしょうがないな。そうだよ。俺達が殺った。俺が三人でカイルが三人。これで満足か。それと、恨みなんてないよ。君達は餌だからね。」
レナンは澄ました顔で言う。平然としていた。
拓哉の方はいきりだっている。
「いったい何者だ!!」
「言ったって信用しないさ。お前等人間は単なる餌としか見ていない。」
外は大荒れ。強い風が吹き、雨はますます強くなっていき、船は少し程度だが、フラフラと揺れ始めている。拓哉は目をそらす事なくレナンを睨む。
「そんなに知りたいなら教えてやるよ。・・・・・ヴァンパイア。吸血鬼とでも言えば分かるかな。」
そう言われて半信半疑となる。
「そんなバカな。吸血鬼などこの世にいない筈。」
「ちゃんと目の前の男を見ろ。此処に居るだろうが。」
と、レナンは拓哉に襲い掛かった。
とても強い力で押さえ付けられしまう。
(・・・なんて力だ・・・・、強すぎる・・・。)
「ヴァンプの力を舐めるな。」
首筋に噛み付こうとする。
「吾郎、皆に伝えろ!!そして、逃げるんだ!・・・・・早く、みんなに・・・・。」
「分かった。」
吾郎はその場から逃げるように駆け足で皆の所へ行き、レナン達の事を言うが誰も信じてくれない。
一方、正広達もカイルの正体を知り襲われていた。同じように、剛と慎吾が皆の所へ来て伝えるが、誰も信じないのだ。
正広はあらゆる抵抗を試みたが、ヴァンプの力にかなわず。怪我を負わせても傷口は、すぐ消えやられてしまう。
そして、カイルの血が正広の口の中に一滴、滴り落ちた。まだ息のある正広は、血を飲み込んでしまう。
拓哉は何とかして逃げ出し、皆の所へ行ったが妙な雰囲気。
吾郎達とファンの娘のコ、レナン達が言い争いをしていた。
「何が吸血鬼よ。そんなのこの世に居る訳無いでしょ!吾郎ちゃん達の見間違いじゃないの?」
「本当だって!こいつ等が吸血鬼で、あの娘達を殺したんだよ!!」
そう何度も言っても信用しない。
「証拠も無しに疑うのは止めて欲しいねぇ。」
と、レナンが不敵な笑みを零して言う。
「何してる?!何故逃げないんだ?」
と、拓哉が言うが
「吸血鬼なんて馬鹿馬鹿しい。さぁ、続きをしましょう。」
っと、目当ての慎吾達を連れて散らばる。
ファンの娘達が信用しない上、協力もしてくれない。拓哉達は何の手立ても出来ない。
昌未は話の輪に入れず未だ一人で居る。そして、ファンの娘達の一人が、昌未が犯人じゃないのかと言い出したのがきっかけで、皆が口々に言って来たのだ。大人しく、誰とも話さない昌未に犯人だと決め付け迫る。
「ほんとは貴方が殺ったんじゃないの?大人しい振りして酷い事するわね。動機は何なのよ?恨み?それとも妬み?何とか言いなさいよ!貴方が犯人なんでしょう。」
酷い言われ方をし、昌未が反論しても彼女達は
「嘘つかないで本当の事言いなさいよ!」
っと、言わせようとするが、昌未は口を噤んでしまう。
そして、昌未を庇ったのはレナン達だった。
「何の証拠も無しに疑うのは可哀相だよ。」
「でも・・・・・・・・。」
「俺には犯人に見えないな。大人しいだけじゃ殺しは出来ないよ。さぁ・・・。」
と、言い皆を散らばらさせた。
「泣かなくても大丈夫だよ。」
っと、レナンは半泣きになっている昌未の肩を優しく抱こうとするが、昌未はレナンの手を振り払い船内から駆け足で出て行く。一人キャビンの方へと向かって行った。
拓哉達は何も出来ずに居る。目の前に殺人鬼・吸血鬼が居るのに。
「木村君どうしたの?そんな怖い顔してないで一緒に遊びましょうよ!」
と、拓哉のファンの娘が、拓哉の手を掴むが思いっきり払いのけた。
「触るな。」
そう怒鳴って船内から出て行った。

起き出した正広は賑やかな方向へ行く途中、昌未とぶつかる。
「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか・・・?」
昌未は正広を見て、何故かゾッとする。
「怪我ありませんか?」
と、心配をするが正広の方が、昌未の腕を取り
「擦り傷出来てる。」
そう言って傷口を舐める。
「あの・・・・・平気だから離して下さい。」
強い力で腕を掴み離そうとしない。力任せに牙を傷口に刺し血を吸う。
「いたっ・・・・・。中居君やめて!嫌っ!!」
正広から離れようとするが・・・。
拓哉は戻ってこない正広をキャビンへと探しに来ていた。
人の気配に気づいた正広は、昌未を連れ部屋の中へ入る。
「やだっ・・・。中居君お願いだから離して!やっ!」
昌未をBedに突き放し覆い被さってくる。
血が欲しくて堪らない。まだ喉の渇きが潤んでいない。昌未の上に馬乗りになって服を引き裂いた。
「な、中居君?!何するの・・・・・。」
何も言わず唇を胸に這わせ来た。
「・・・・ん・・・・・やっ、やめてっ・・・。」
丁度、その部屋の前の廊下に拓哉が居た。
乱闘の痕を見つけ、血も廊下の絨毯に染み込んでいる。そして、まだ温かく近くに居そうな気がする拓哉。
目の前の扉を見つけ、微かに声が聞こえてくる。
「やっ・・・。中居君、やめてぇ・・・お願い・・・・・。」
耳を澄ますと泣き声が聞こえ、拓哉は思いっきり扉を開けた。
Bedには正広と昌未が横たわっていた。
「中居!お前何やってるんだっ!!」
昌未から正広を離すが
「邪魔するな。」
と、正広は拓哉に襲い掛かる。
腕力は今まで拓哉の方が上だったが、今は互角。
この際、第一印象など関係なくただ一人でも助けたいと思う拓哉。
二人の乱闘の間にも犠牲者は出る一方。レナン等は女が死ぬまで血を吸い続ける。50名も居たのに今では38名。彼等が船に乗り込んで2時間半で12名も殺されているのだ。中には変に思う人も居るが、口に出さないでいるだけ。
拓哉は正広を殴り付け眠らせた。
震えて怯えている昌未に上着を掛ける。そして、その部屋から昌未を連れ出し、別の部屋へ移し
「何があってもこの部屋から出るな。」
そう言って拓哉は皆の所へ。
昌未はそのまま泣き疲れ眠ってしまう。
戻ったのはいいが酷い有り様。拓哉が居なかった時間は20分程度。それもその筈だった。気を失ってた正広が目を覚まし、皆の所へ戻って来てファンの娘(こ)の一人を襲ったのがきっかけで、レナン達の事もヴァンパイアだとバレてしまったのだ。そして、ヴァンパイアと化した正広も喉を潤す為、血を求めるように。ヴァンパイアと知ったファンの娘達は逃げ、レナンに逆らった女は襲われ死体はそのまま。
拓哉が戻って来た船内は死体の山と血。そこらじゅうに血が飛び散っていた。こうして、豪華客船は戦場の地へと化していった。

レナン達とファンの娘達のかくれんぼ。見つかった者はその場で血を吸われ殺される。
吾郎達も逃げながら拓哉の事を探していた。
拓哉の事を探してる慎吾はカイルとばったり会い、ヴァンプの力で押さえ付けられてしまう。
「あの男と同じメンバーなんだろう。お前も仲間にしてやるよ。ヴァンプになる絶好のチャンスだぜ。永遠に死ななくて済む。」
と、首筋を噛み血を吸い、自分の血を飲ませて仲間にされてしまう。
慎吾の馬鹿力でもかなわない。それ程ヴァンプの力は強力。
ヴァンパイアと化した慎吾も正広と同じ行動を起こす。
一回生き血を吸えば、味を覚え何度も繰り返せば、だんだんと口が肥え美味しい血を求めるようになる。
運良く慎吾に会う。ヴァンプになった事を知らず、助けを求めると逆に血を吸われ殺されてしまう。側にいたもう一人のファンの娘は逃げ出すが、捕まり慎吾の餌食に。
拓哉の行く所来る所死体が転がっている。
だいぶ数も減ってきている。昌未を含めても10人程しか生きているが、殺されるのは時間の問題。
拓哉は吾郎と剛に甲板で会い、どうしたらいいのか相談する。
「なんかの本で読んだ事あるよ。吸血鬼を倒す方法。一般的には大蒜や聖水が弱点だろう。杭や先が尖ってる物で心臓を一突きにすれば殺せるらしい。」
そう話す吾郎。
「それやるしかないな・・・・。」
と、拓哉は先が尖ってる物を探しに行く。けど、剛が引き止め
「あ、気をつけた方がいいよ。中居君もそうだけど慎吾まで仲間に。・・・・・俺、見ちゃったんだ・・・、慎吾がファンの娘を殺してる所・・・・。」
と、見た事を話し注意した方がいいよ、とも拓哉に伝えた。
拓哉は分かった!と一人で探しに行ったのだ。
吾郎と剛は歩き疲れ一番奥の部屋へ入って休憩する。
Bedに横になろうとした吾郎はびっくりする。昌未が眠っていたからだ。もしかして死んでるのかと思い、生きてるか確認をしてホッとする。
先が尖ってる物を見つけて奴等を探し出し、時期にカイルとばったり会った。カイルの方から襲い掛かり、拓哉は必死に抵抗し何とかして、カイルの心臓を一突きし刺し殺したのはいいが、返り血をだいぶ浴び怪我も負う。そして、カイルが死んだ事により、正広と慎吾は、元の人間に戻っていった。カイルの血が、正広達の体内から消滅した為だ。正気に戻った二人は、自分の腕の中でファンの娘が死んでいてびっくりする。今まで何をやってたのかさえも覚えていない。カイルの呪縛が解け自由に。
拓哉はもう一本役に立ちそうな先が尖った物を探す。
レナンは最後の一人を殺して昌未を探し始めた。この船に居る者全て殺す、カイルの仇を討つと復讐心で一杯。カイルが死んだ事を肌で感じていたのだ。
元に戻った二人は拓哉達を探す。船内を歩けば死体が目に付く。見るに耐えない状況。
慎吾はそのまま廊下を真っ直ぐ歩いていったら正広に会い喜ぶ。
「慎吾、お前無事なのか?」
「うん!中居君こそ・・・。元に戻ったのか?」
「何言ってるんだ・・・・・?それより木村達を探さないとな。」
そう言って一緒に探し始める。
船内を歩き探すが誰にも会わない。会うのは死体だけ。拓哉達と会う事もなくキャビンへ戻る。疲れていて休もうと部屋へ入るが、血と死体が視界に入る。一番奥の左側の部屋に決め、二人は入ってびっくりした。探してた吾郎達がいたのだから。けど、吾郎達は警戒する。まだヴァンプのままだと思っているから。
「こっち来るな!」
「何言ってるんだよ!吾郎も剛も!いったい何がどうなってるんだ?船の中は血と死体だらけ。何が起こったんだ?教えろよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・何も覚えてないのか?」
不安そうに吾郎が言う。
「あぁ。あの男に襲われたのは覚えているが、その先から全然覚えてない。」
「分かった。全部話すけど、俺が今から言う事信じろよ、疑うな。」
そう言って吾郎は今まで合った事全部話す。床に座り込み、正広達が人を殺した事も。今、拓哉がレナンを探してる事も。案の定正広達は、
「そんなの嘘だろう〜〜〜〜。」と、疑う。
「言う前に信じろって言っただろう。本当に起きた事だよ・・・。」
「・・・・・分かった、信じる。」
一応、納得する二人。けど、自分が人を殺したとは思えない。その事だけは信じたくなかったのだ。
その一方、拓哉はレナンとぶつかりそのまま乱闘へ変わる。
なるべく押さえつけられないよう警戒しやろうとするが、レナンの方が一歩上手だった。
拓哉が持っている棒をへし折り、殴りつけられる。そのまま倒れレナンは、昌未の居場所を聞き出そうとする。
「彼女は何処に居る?」
「彼女・・・・・? 誰の事だ・・・・・?」
「・・・・昌未だよ。彼女は何処に隠した?」
「知らないな。・・・・・知ってても言う気はない。何故知りたがる?どうでもいい女だろうが・・・。」
「気に入ったからさ。最高の御馳走は一番最後に頂く。それが俺の主義さ。」
「俺は理由を聞いてるんだ・・・・。」
「一番美味しいのは処女の血。これで分かるだろ。昌未は何処に居る?」
黙ったまま。教える気など全く無い。
なかなか言わない拓哉にレナンは腹を立てる。
「最初から読心術を使えば良かったな。」
と、拓哉の心を読み取り居場所が分かる。
そして、レナンは拓哉の首筋に噛み付いた。
抵抗しても押さえつけられてしまいやられる。
「仲間と同じ末路を辿るか。」
わざと自分の腕を切り、血を拓哉のく血の中へ。
吐き出したが遅い。数滴飲み込んでしまったのだ。
レナンは昌未のが居る部屋へ向かうその途中。生きてる女を一人見つける。女の子の方はレナンを見て脅え逃げ出した。それが気に入らなかったのか、レナンは昌未の事を後回しにし、その女を追いかけて行った。そして、その間に拓哉は起き出し昌未の所へ行ったのだ。
フラフラの状態で辿り着き、扉を開け中へ入っていく。正広達は拓哉を見て変に思う。
「木村?どうした・・・・?あいつ等やっつけたんだろう。・・・・・・おい!何とか言えよ!」
正広は拓哉の腕を掴んだ拍子に、
「邪魔するな。」
と、突き放された。
「って・・・、何するんだ?!木村、お前・・・・何考えて。」
「うるさい!」
正広の言葉を遮るように怒鳴った。
拓哉は正広に暴力を降り気絶させる。
慎吾達に目もくれずBedで眠っている昌未の所に。布団を取って覆い被さり服に手をかけるが、丁度、昌未は目を覚ます。
「木村君・・・・何・・・・・?」
拓哉が上に乗ってて起き上がれない。
「木村君・・・・退いて欲しいんだけどぉ・・・・・・。」
Bedから下りたいのに拓哉が退いてくれず、昌未はどうしたらいいのか困る。
拓哉は起き上がろうとする昌未を押さえつけ首筋に唇を這わせる。
「やっ・・・・木村君離して!やだっ・・・・・。」
抵抗してもヴァンプになった拓哉の力にはかなわず。
「木村君やめてあげなよ!」
と、慎吾が昌未から拓哉を離そうとしても
「邪魔するとお前等もぶっ殺すぞ。」
そう言って慎吾を突き飛ばす。

「・・・・・っつ―――、・・・・木村の奴、何のつもりでこんな事・・・・・・。」
正広は気がつき起き上がる。
「あ、中居君大丈夫?」
剛が駆け寄り手を貸した。
どうしたらいいのか正広は考える。
一人の力が駄目なら四人がかりで拓哉を押さえ付ける。閃くが上手くいくか心配する。駄目で元々だと正広は、吾郎達に伝え四人がかりで拓哉を押さえ込む。そして、一人が何か縛る物を探し手足を縛り付けて動けないようにした。
「悪く思うな。木村が悪いんだからな。」
正広は拓哉にそう言う。
「大丈夫か?」
と、昌未に言うが、昌未の方は正広を見て脅える。
「多分この場所もバレてるだろうな。他の場所に隠れた方がいい。」
「そうだな。」
と、皆、吾郎の意見に賛成する。
正広は昌未の手を掴もうとすると
「やっ・・・・・。」
拒絶される。脅える昌未を見て
「俺、君に何かしたのか?覚えてないんだ・・・・・。あの男にやられてからの記憶が無いから。」
「大丈夫だよ。元の中居君に戻ったから。」
と、吾郎が、強引に手を掴みBedから降ろして、何処か違う場所を探す。
そして、レナンが昌未の所へ向かい始めていた。
動けないように縛り上げた筈なんだが、拓哉は何とかして解き正広達の後を追った。
あまり周りを見ないように歩く。それでも死体や血が眼に入ってしまう。廊下もキャビンも血塗れ。甲板には出れず船内だけ。まだ雨が降り続いている。操縦室も舵を誰も取っておらず、船はずっと流されっぱなし。時計の針は5時を回っていた。本当ならもう港に着いている筈。
正広達は、元凶のレナンと最も良くない場所で出会う。パーティ会場だ。又、此処で血を染める事に。
レナンの姿を見て足が止まる。レナンは足元を見るように。
「女を渡せば命は助けてやる。」
っと、言って来たのだ。
「5分時間をやる。女の命より自分達の命の方が大切だろう。ん?違うかー?」
そう言ってくるレナン。
どっちにせよレナンは全員殺す気でいる。又、正広達も殺されると分かっているから、どっちも選べない。
「渡す気など無い。どっちみち俺達全員殺すんだろうが。心にも無い事言うな。」
正広が後退りする。
だけど、正広達が出て来た所から拓哉が現れた。
前方にはレナン。後方にはヴァンパイアと化しら拓哉が居る。二人の目当ては昌未の血だ。後にも前にも行けない正広達。
「昌未をこっちに渡せ。」
と、拓哉は迫る。
レナンの方は主旨を変えて昌未に言い放つ。
「・・・・・昌未。この場で全員殺されたく無かったらこっちへ来い。もし断るならお前も一緒に殺すまでだ。昌未、君の態度次第だよ。さぁ、どうする?」
そう言われ昌未は悩む。
「行っちゃ駄目だ。」
と、吾郎が昌未の腕を掴んだ。
だが、このままでは埒があかない。昌未は悩んだ挙句覚悟を決める。正広達の前に出てレナンに言う。
「殺さないって約束して。」
「約束?」
「そうよ、約束して。皆を殺さないって。そうしたらそっちに行くから。」
昌未が、レナンに行ってる間、後ろでは拓哉が慎吾達を殴り気絶させる。正広にも殴り掛かり倒れる。昌未の側に倒れ込みと、その同時にレナンは
「分かった。殺さないと約束するからこっちへ来い。」
と、言ったのだ。
レナンの声を聞いた昌未は、行こうとするが、倒れた正広が気にかかり心配する。
「大丈夫・・・・?」
「俺に構わず逃げろ。木村の奴が・・・・。」
昌未が振り返ろうとする前に拓哉に捕まる。
「やっ・・・・離して!」
突き放そうとするがきつく捕まれ・・・・・・・・。拓哉は首筋に牙をあて刺し血を吸う。
「ひっ・・・・・・・?!」
レナンの目の前で拓哉は昌未を襲った。先に奪われレナンは腹を立てる。
昌未の元へ走って行き昌未から拓哉を突き放す。
「返して貰おうか、俺のモノだ。」
だが、拓哉は諦め悪く立ち向かう。
「俺が先に手を出したんだ。誰がお前に渡すものかっ!」
っと、取り合いになる。
昌未は放り出され、まだ気は失っていない。
正広は慎吾達を揺り起こし、レナンをやっつけるんだと言う。
そして、吾郎は先が尖った物を探して
「これで心臓を一突きにしろ。」
と、慎吾に渡す。
争っているレナンの背後に回り、四人がかりでレナンを押さえ込み慎吾が、レナンの上に乗り心臓目掛けて刺す。
拓哉はこれ幸いにと昌未の所へ行って血を吸おうとしたが、突然苦しみ出した。
レナンも苦しみながら死んでいった。
返り血をだいぶ浴びたが、そんな事は気にせずもう終わったんだと安心する正広達。
昌未の首筋には牙の跡が残ったまま。
拓哉は元に戻って時期に目を覚ました。
そして、吾郎は昌未の側へ行って
「もう大丈夫だよ。全て終わったんだ。」
そう言い優しく抱き締める。

何もかも終わったかのように見えた。
けれど、舵を誰も取っておらず船は・・・・・・。
ある島へ流されつつあった―――。

−END− 第一部完結

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