小説「ヴァンプハンター 〜Love&Peace〜 後編」
6日の朝。 明美が亡くなったと知らされる。 悲しみを隠せないれいな達。 大下刑事が言うには、奇妙な死に方だと。 体内の血が無くなっており首を絞めた痕、首筋に残っている二つの痣。街路樹に激突した時に付いた軽い怪我は、問題無くてもおかしい死に方をしていたと話す。 他殺の可能性もあると――。 犯人を探し出すとれいな。悲しみと犯人への怒りがこみあげる。 その晩の葬式に参列したれいな達。 慎吾達も仕事の合間に来て焼香をあげに来ていた。 その日は店を休みにして、ずっと明美の側にいた・・・。 店を休みにしたのは一日だけ。何時までも休みにしていたって仕方ない。落ち込んでいたって仕方ないのだ。 7日のは店を開けた。 れいなは、一番怪しいのは雪子だと疑いの目を向ける。 ガイナに対しても疑いを。 まだ悲しみを吹っ切れず仕事に身が入らない。 一日ボーっとしてる者もいた。 客もあまり来なく顔なじみばかり。いつもなら0時に閉店だが今日は、1時間半早く閉めた。10時半過ぎ。 拓哉達も帰り店に居るのは、昌美、ガイナ。雪子も居る。 昌美が一人になるのを待っていた。 自然現象には勝てない。 「ちょっとお手洗いへ。」 と、ガイナは昌美の側を離れた。 そして、その時に雪が昌美の側に来たのだ。 何時もなられいなが助けてくれるが、今日に限ってれいなは別の仕事で渋谷へ行っているのだ。 「そんなに嫌わなくてもいいじゃない?」 雪子は、そう言いながら昌美を壁際に追い詰める。 彼女の指先は、昌美の顔から首筋を這い回る。 「怖がらなくていいわよ。危害を加えるつもりはないから・・・・・。 大人しくしていればだけどねぇ・・・・・・。」 何か嫌な予感を感じ昌美は、逃げようとしたがダメだった。 腕を強く捕まれ逃げれずにいたのだ。 「痛い!離して下さい!!」 「・・・・大丈夫よ、大人しくしなさい。」 雪子は、更に強く力をいれ首筋に噛み付こうとした時だ。 ガイナが現れ銃を手にしていた。 「彼女から離れろ。」 そう言って引き金に指を置く。 「撃てる物なら撃ってみなさいよ。次の瞬間この女死んでるから。」 牙を出したままそう答えた。 昌美はそれを見てゾッとする。 嫌っ・・・昌美は、自力で逃げ出そうとする。 雪子から昌美の身体が離れた瞬間にガイナは、雪子の胸を狙って引き金を引いた。その衝撃で雪子は飛ばされるが平気な顔をしている。弾は、貫通せず体内に残っている。 出血し痛そうに見えるが本人は、ぴんぴんしている。 痛みを感じていない。血を見て雪子は 「いい度胸してるわ、この私を撃つなんて・・・・。あいつが言ってたヴァンプハンターって貴方の事ね。覚えてなさい、この貸しは高くつくわよ。」 と、雪子は店から出て行った。 昌美はその場に座り込む。 ガイナは昌美の側に駆け寄り抱き起こそうとしたが拒否される。 「ヴァンプハンターって何?・・・なんで、銃なんか持ってるの・・・。」 涙流しながらガイナに反発する。 「・・・・・・・・・・・・・全部話すから。だから・・・・・・・・・落ち着いて。ずっと黙ってて悪かった・・・・。」 昌美を宥め落ち着いてから全てを話した。 自分はヴァンプハンターで吸血鬼を倒しに来たと。 海外だけでなく日本にも吸血鬼はいて、人間の血を吸いながら生きてる事。そして、今まで起きた事件は、全員ヴァンパイアで自分が殺した事。これも全て人間を守る為。 また雪子もヴァンプパイアで、ずっと昌美の血を狙っている事も話す。撃たれただけじゃ死なない。ヴァンパイアは後7人。 闇の王、ヴァンプのボスが日本へ来たからガイナも日本へ来た事も話した。奴等の狙いは仲間を増やす事。 昌美は、ガイナの話を聞いて呆然。 ヴァンパイアが居る事が信じられなかった。 「そんなの信じられない。吸血鬼がいるなんて・・・・・。」 「本当だ、嘘じゃない。さっきだって俺が助けてなければ君は死んでたよ・・・。あの女の顔を見ただろう。牙も・・・・・・。人間とはっきり違う。並外れた能力を持っているんだ。嘘は言わないよ。現実に今、起こっているんだ。」 泣き止まない昌美を優しく抱きしめるガイナ。 「奴等から守るよ!絶対手出しさせない!!」 そう言うガイナ。 そして、丁度そこへれいなが帰って来て二人を見た。 「何してるのよっ・・・・・。」 ガイナから昌美を引き離し 「昌美に手を出さないで。」 と、冷たく言い放ち昌美を連れて家へ帰っていったのだ。 8日の日からガイナは店へ来なくなった。 ヴァンパイアのアジトを見つけたからだ。 昌美はガイナの事を心配していた。 姿を現さないガイナの事がずっと気になっていた。 ヴァンプのボス・リョウが、ガイナの前に現れ2度と仕事が出来ないようにしてやると対決する事になるが、相手はリョウだけでなく仲間もぞろぞろと集まって来た。 多勢に無勢。相手が大勢ではガイナに勝ち目は無い。 圧倒的にガイナの方が不利だ。 この勝負の結果は見えていた。 ボコボコにされる。ガイナが殴り返してもその何倍の能力でやられてしまう。口から血を吐き”まだだ”と立ち上がるが相手は嘲笑い彼の意識が無くなるまで暴力を続けた。 気を失い何時間か経つ。 時間は0時を過ぎており今日は、10日になっていた。 目を覚ましたガイナは、昌美がいる店へ向かって歩き出していた。ヨロヨロとした足取りで身体中が痛む。 一方。昌美達は、店の中を掃除し戸締りをしっかりして帰る所だった。れいなは、車を取りに行き昌美は、表の扉の鍵を閉め裏口の扉も閉める。 表通りまで車を走らせ店の前でれいなは待っていた。 昌美が車に近づき乗ろうとした時に、ガイナらしき姿を見つけ足が止まる。 「ガイナ・・・・・・?」 彼の方も昌美に気づき足が速くなり、昌美の胸に倒れ込むようにして倒れた。 昌美は、血だらけのガイナを抱き締める。 出血が酷く、もう全部の力を使い果たしたかのように意識が無い。 「ガイナ・・・・?どうしたの?何があったんですか? こんな酷い怪我をして・・・・・。」 心配で堪らない。 今まで何処で何をしていたのか分からないからだ。 「昌美どうしたのよ、さっさと乗りなさいよ。」 と、れいなが下りてきてガイナを見た。 「れいな・・・・。彼、息してないの・・・・。このままだと死んじゃう。」 そう昌美は泣きながら言う。 「瞳開けて・・・・。お願いだから起きて!私の事守ってくれるって言ったじゃない・・・・・・・・・。」 「・・・・・何時までそうしてる気なの?亮子の病院に運ぶから手伝いなさい。」 と、そう言いれいなは、ガイナを車に乗せて亮子の父がやっている木内クリニックへ運んだ。 病院に着きガイナは、担架に乗せられそのまま手術室へ運ばれる。医師が来るまで看護婦が応急処置と手術の準備をする。昌美達は、待合室でずっと待つ事に。 泣き崩れる昌美をれいなは慰める。 医師が来て手術は始まった。 瀕死の状態。内蔵は破裂し肋骨も折れている。 頭の方も怪我も手当てをした。 何時間の手術をし外は夜明け。太陽が昇り出していた。 手術室から医師が出て来て手術は成功。 医師から今、どんな状態か聞かされる。 絶対安静だと危ない状況は脱したが、今後も要注意だと言われる。完全に完治するまでは、退院させないつもりだ。 当然の事だが彼にとっては、やる事がやり寝てられない。 完治するまでは待てないのだ。 今は麻酔が良く効いていて眠っている。 昌美達も待合室の椅子の所で、いつの間にか眠っていた。 昼近くに目が覚めガイナの所へ行く昌美。 瀕死状態だったのにも関わらずガイナの体内の傷は、治り始めている。驚異的な回復力を見せ始めていた。 目を覚ましたガイナは、奴等を倒さないと起き上がろうとするが 「ダメ!絶対安静にしてなきゃダメ!!」 と、昌美に止められる。 「退いてくれ。」 「嫌!退かない!!危険な事はやめて・・・。もうヴァンプハンター なんてやめて・・・・・・。それで死んじゃったらどうするのよ・・・。」 昌美は泣きながら止める。 二人の話を聞いていたれいなは 「どう云う事なの?それにヴァンプハンターって何?」 ガイナ達にそう聞いてきた。 ガイナは、聞かれたらしょうがないとれいなにも全て話す。 昌美に話した時のように。だが、当然の如くれいなは、そんな話信じられないと言い 「居るって言うなら証拠見せて!」 と、言って来たのだ。 昌美はガイナの身の回りの世話をする。 病院と仕事場を往復する毎日。 そして、れいなに証拠を見せる時がやってきた。 雪子が舞い戻って来たのだ。諦めた訳じゃない。 昌美の血を吸いたくて堪らないのだ。 何時ものように3時頃に病院へ。その日はれいなも来ていた。 昌美の事狙い尾(つ)けてきている雪子。 ガイナの病室の近くに潜んでいる。 花瓶の水を替えてくると昌美は、洗面所へ。 すぐ近くに雪子が居るなんて知らない。 病室にはれいなとガイナだけ。 しばらくして花瓶の割れる音が響いて来た。 何事だと、れいな達は急いで洗面所へ駆け付ける。 「昌美??!!」 洗面所の中を見るとあの女が、昌美を床に押し倒して首筋に噛み付こうとしている所だった。 雪子を蹴り飛ばしれいなは、昌美を助ける。 そして、ガイナはこの場で雪子を倒す事に。 蹴り飛ばされた雪子をガイナは、逃げられない様押し付け落ちている花瓶の破片を手に持つ心臓に突き刺す。 「ギャアァァァ・・・・。」 おぞましい顔をし牙を出したままガイナを襲おうとしたが首を捕まれそのまま首の骨を折られた。 「この女がそうさ。ずっと昌美の血を狙っていたんだ。」 洗面所のカーテン開け窓を開けると西日が行きこの身体を照らし出した。 すると雪子の身体は、変形しながら溶けてゆき、気持ち悪いくらいに死臭が酷かった。 こんな場面を見てれいなは、信用する事にし彼に協力する事にもした。 本当なら安静だが勝手に退院する。 医師はダメだと言ったが聞かず、その代り亮子が付き添う事になる。亮子も医師の免許持っており父親の病院で働いている。 れいなは、少人数では勝ち目は無いと思い人手を増やす事にする。れいなだけ店へ戻り昌美達は、亮子の運転でれいなの家にさっきに行っていた。 店には何時もの連中。れいなは彼等に本当の事は言わず 「サバイバルゲームやるんだけど誰か来ない?」 と、皆に聞いた。 ザバイバルゲーム・・・・そう思う拓哉達。 「面白そうだから行く!!」 と、真っ先に手を上げたのは慎吾。 「本物の銃を使ってやるんだけど。ドラマや映画みたいで面白いわよ!相手はたったの7人だけ。凄い面白いわよ!!」 と、付け加えてれいなは言った。 本物の銃ねぇ・・・・面白そうだなぁ・・・・・ 「俺達も行く!」 と。サバイバルゲームに参加したのは、拓哉、慎吾、隆一、真矢、スギゾー、GLAYの4人。 ヴァンパイア退治に皆で出向いたのだ。 サバイバルゲームに参加する皆は、れいなの家へ集まっている。 あとは、れいなを待つのみ。 銃とかを調達しに行ってるのだ。 何処からかと疑問が浮ぶがれいなは、 「内緒♪」 と、言って教えてくれなかった。 約20分後に、れいなは皆の前に現れて 「仕度出来たから行くわよ!!」 と、皆をワゴン車に乗せる。 助手席にはガイナが座る。 奴等のアジトを知ってるのはガイナだけだから、ガイナが奴等のアジトまで案内したのだ。 白い建物が見えその前に車を止める。 そして、沢山の銃を見せ 「どれでも好きな物を選んで。」 と、れいなが楽しげに言う。 「相手はたったの7人だけど強いからね。吸血鬼みたいだからすぐ分かる。弾は一人百発ずつ。心臓を狙って撃って。それでも死ななかったら首の骨を狙って撃てばいいから♪」 説明しながら建物の中へ入って行った。 亮子と昌美だけ車に残っていたが、一人の男が車に忍び寄り亮子を気絶させて昌美だけをさらっていった。 建物の中では、雑魚相手に拓哉達が戦っている。 相手が本物の吸血鬼とは知らずに。 着実に一人ずつ倒して行く。途中ハプニングもあった。 後ろから近づいてきた味方を撃ちそうになったのだ。 途中で会いお互い何人倒したのか聞く。 「俺らは、二人やっつけたけど河村さん達は?」 「二人やっつけた。」 と、隆一が言う。 「後三人かぁ・・・・。お互い頑張ろうな!」 そう拓哉が言い再び違う道を見つけ倒しに行く。 ガイナは、ボスのリョウを探していた。 ちらっちらっと姿を現しそれを追いかけて屋上へ。 「姿を見せろ!!」 リョウに対してそう叫ぶ。 だが、姿を現したのは昌美だった。 そして、その後ろにリョウが居る。 テル達が後の二人を倒しこれで無事に終る。 全員一回に集まりこれで全部終ったと帰ろうと車の所へ来たが亮子が倒れていたのだ。 「亮子?!どうしたの?」 「・・・・っう・・・・・、れいな・・・・・」 「昌美は?」 「・・・・男が来て・・・・連れて行かれた・・・・・。れいなごめん。」 そうすまなそうに言う亮子。 「木村君達は先に帰っていいよ!明日仕事あるでしょ?」 と、れいなは拓哉達に言うが 「でもさ、俺等がいないと・・・・」 「大丈夫。ガイナがいるから。」 そう言って拓哉達を先に強引に帰らせた。 れいなと亮子は、建物の中を探しながら屋上へ行く。 ガイナとリョウ。ずっと睨み付けたままその場を動かない。 お互い隙を狙っていた。 屋上に着いた二人は、そっとドラを開けて周りを見渡すと三人の姿が見えた。二人は、リョウの後ろの方へ行きれいながリョウの肩を狙って銃を構え狙いを定めて撃ったのだ。 けれど、れいなが撃った弾は肩をそれただけ。 その銃声をき気リョウは、昌美から手を離す。 手を離したその時をガイナは、狙ってリョウの身体目掛けて何発も撃つ。そして、血を流したままのリョウから殴りにかかってきた。二人は昌美を助け出しガイナとリョウの対決。 決着を付ける時が来たのだ。 ガイナは怪我の痛みを抑えながらリョウを倒す。 何発か殴り付けるが自分もやられる。 また傷口が完治していなかった為、出血が酷い。 リョウの首を掴むが上手くいかない。 側に近づいた時に全ての弾を使い果たす。 だが、首の骨を折らなくてもリョウは、屋上から飛び落ちたのだ。 正確には、ガイナが突き落とした。 屋上から落ちた時に地面に激突。このときに首の骨を折りあえなく死亡。念の為心臓に杭を刺し太陽の下に放置して完全に溶けるのを確認してから、その場を後にしたのだった・・・。 ガイナは、傷が完治するまでれいなの家に厄介になる事に。 本来なら病院へ戻るのだが、ガイナが 「病院は嫌だ。」 と、すねたからだ。 そして、昌美もれいなの家に居る。 彼の世話をしていた。昌美を見ててガイナは気持ちを察知し傷が治ったら国へ帰ると言い出したのだ。 「どうしてなの・・・・・・、急にそんな事言うなんて・・・・・。」 「ずっと前から決めていた。全てが終ったら国へ帰ると。君には悪い事したと思ってる、すまない。」 と、ガイナに謝られる。 昌美はいつの間にかガイナの事好きになっていたのだ。 けど、もうガイナの側に居られないと分かりショックを隠せなかった。 「君に相応しい人が今に現れるよ。」 そう言われ昌美は、悲しくなり涙が出てくる。 泣き出す昌美を優しく抱き締め、そして唇を重ねた。 昌美にとって彼は、初めて本気で好きになった人だった。 一週間後。 完全に傷は治りガイナは、国へ帰って行った。 寂しそうな昌美を見てれいな達は、昌美が彼の事好きになったのが手に取るように分かりれいな達も切なくなる。 「昌美・・・・、元気だしなさいよ。もう二度と逢えないわけじゃないんだし・・・。」 「もう・・・日本には戻ってこないって・・・・・そう言ったの・・・・。」 と、再び泣き出す。 空港で見送り店に着くまでずっと泣いていた。 店内では、拓哉達が盛り上がっていた。 そして、亮子が見せに入ってくるなりHAPPYBIRTHDAYソングを合唱する。 「今日、亮子の誕生日だろう!!」 と、拓哉が言う。 「あ・・・・そっかぁ・・・忘れていたわ・・・・。」 少し照れ隠ししながら亮子が言った。 れいな達にも白ワインが注がれたワイングラスを持たせて乾杯をする。そして 「HAPPYBIRTHDAY!!!」 掛け声と共に、音楽が流れ出し楽しいBIRTHDAYパーティが始まった。 この時ばかりは昌美も泣き止み笑顔を見せていた。 −END−
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