絵画館 − 夢 −


「夜更けの街角」

夜更けの街角

いつもと同じような一日が いつもと同じように終わろうとしている頃 不思議な笛の音が聞こえてきます 窓をあけると 笛を吹いているのはピエロ 泣き疲れた少女は ピエロの笛の音に魅せられ 恐る恐る夜の街に飛び出します するとそこには もうひとつの世界が待っています 信じられないほど美しい 夢の世界・・・ 「夢の花車」

夢の花車

「さあ、おいで  僕が夜の街を案内してあげるよ」 ピエロはやさしく手を差し伸べました 少女はためらいましたが、 思い切って、その手を握りました ピエロと手をつなぐと 身体が軽くなり 宙に舞い上がりました 夜空を駆けのぼると 少女がひとり泣いていた家も 小さくなっていきます 少女が胸に抱いていた悲しみも 小さく小さくなっていきます 家々の灯りは やがて色とりどりにちりばめられた 夜空の星のように小さくなって 遠くで煌きます 世界がこんなに美しいなんて・・・ ピエロの手を握りしめ 感動に胸を振るわせる少女 すると月灯りのなか 花車を押した妖精が現れました 色とりどりの美しい花たち・・・ 妖精が笛を吹くと 心が洗われるような美しい音色とともに 七色の星屑が飛び出し 花たちはさらに輝きを増します 「あれは夢の花 枕もとに置くと 悲しい夢が幸せな夢に変わるんだよ」 とピエロが教えてくれました 妖精は今夜も 悲しい夢に泣きぬれている少女たちの枕もとに 夢の花を届けに出かけるのです 「悲しいときは眠ってごらん  悲しい夢を幸せな夢に変えてあげるから  涙をふきとばして 笑顔を思い出させてあげるから  疲れた心を包んで やさしく癒してあげるから・・」 妖精の笛の音にあわせて どこからか、そんな歌声が響いてきます うっとりとして歌声に耳を傾けながら 少女は心の中で祈っていました 「夢なら、いつまでも覚めませんように・・・」 「虹の時間」

虹の時間

虹の時間をご存知ですか? 夜明け前のほんのひととき 空が虹色に染まる瞬間を 夢の世界に別れを告げ 現実の世界へと戻っていく時間 人々の願いごとに やさしく耳を傾けながら 夜空で瞬いていた星たちも消え 空はやがて昇り来る 朝陽を迎える仕度をします 不思議な魔法の杖で たくさんの願いを叶えてくれた魔女も 箒にまたがり 虹色の空を飛んで帰っていきます 「君も、もう帰らなければ・・・」 ピエロがせつな気な顔で言いました 「帰りたくない・・・  いつまでもあなたと一緒にいたい・・・」 少女はポロポロと涙をこぼしながら言いました ピエロはちょっと困った顔をして それから、少女をやさしく抱きしめて言いました 「泣かないで・・・  またすぐに会えるから・・・  夜の窓を開いて  勇気を出して飛び出せば  君はいつでもここに来ることできる  僕はいつでもここにいるよ・・・」 少女はピエロに送られて 夜明けの街に降り立ちました 虹色の空高く ひとり帰っていくピエロを 少女はせつない想いで いつまでもいつまでも見送っていました 虹の時間が過ぎ 街では、いつもと同じような一日が いつもと同じように始まろうとしています


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BGM: "Dream" Debussy