ハッピーアフタークリスマス

こつんこつん、と窓硝子に何かがぶつかる音で目を覚ました。
ぼんやりとした頭でカーテンを開けると、そこには白い息を吐く怪しい男がいた。
おはよう、と口が動いて、朝の空気の中でにっこりと笑う男。
窓の外は雪景色だった。

「おはよう大神〜。いい朝だな!」
「……おはよう、どうしたんだこんな朝早くに……今何時だ?」

加山が連れてきた冷気に、ぶるりと身震いをひとつ。
まだ朝の7時前だった。

昨夜はクリスマス公演の後、女優たちと打ち上げパーティを兼ねたクリスマスパーティだった。
深夜まで騒ぎ、解散になってから倒れるようにベッドにもぐり込み、そのまま眠ってしまった。
今日は帝劇の休日である。

「なあ、雪を見に行こう。支度してくれよ」
「……こんな朝早くから?」
「たまにはわがまま、きいてくれたっていいだろう?」

仕方ないな、と苦笑しつつ身支度を整え、出掛けに洗面所で洗面。
液体でいるのが不思議なくらい、水道からの水が冷たい。



街はすべて雪化粧、すべてを白い雪が覆い尽くしている。
豪華なビルも、小さな民家も、大きな街路樹も小さな庭木も、雪はすべてに平等に降り積もっていた。
雪の朝はとても静かで、誰もいなくて、今世界には2人しかいないんじゃないかと錯覚しそうだった。

帝劇から歩いて5分程度の小さな公園で、加山が足を止める。
植木やベンチにほっこりと丸く積もる雪がとてもかわいらしくて、思わず笑みがこぼれた。

「どうしても、大神と雪見がしたかったんだ」

黒い外套を着た加山を後ろから抱きしめると、少し驚いたように身じろぐ。
そうして、加山のうなじに顔をうずめて、数秒間。

「……こうして、抱きしめるのはオレだけだって、約束してくれるか?」

その言葉に、抱きしめる腕の力を強めずにはいられない。

「勿論」

少しのためらいの後、短く重ねた唇の温かさ。



ハッピーアフタークリスマス。

モドル