キルシュバウムメイデン4

 「ん、痛……」
「我慢しろ……痛いの、平気なんだろ?」

パニエを捲り上げ、包帯をほどいて傷を消毒する。黒いスカートに隠された真っ白な脚と赤い傷口に、加山はくらくらとめまいがしてきそうな気分だった。肌は白くてすべすべで、男なら生えていてしかるべき体毛の類もほとんど見当たらず、まったくもって声の低い女性なのだと思いたくもなる。けれど、首の傷の手当をしようとはだけたドレスの胸元には、女性らしい膨らみはまったくないのだった。

「……おまえ、本当に男か?」
「み、見ればわかるでしょう?っていうか、必要以上に見ないでよ……」
「ったく、謎の怪我の手当て代だ。ちょっとくらい見せろ」
「う……」

人の素肌に触れるのは、相手が同性であろうともどきどきするものだ。決して太くない首には引っ掻いたような傷が幾筋か走っている。既に乾いている傷を指でなぞると、痛むのか大神がぴくりと身体を震わせた。

「……痛いか?」
「は、はい……でも、痛いのは……平気」
「痛いのが平気?どういうことなんだ。痛いんだろ?」
「そりゃ………、っ、あんまり、触らないで……っ」

手当てを終えた包帯の上から脚を強めに掴んでみると、大神が身をすくめて抵抗する。心なしか呼吸が乱れ、頬も上気しているように見えた。その様子があまりにも色っぽいので、加山はふと妙な気分になる。

「……なに、なにこれ。痛いの、気持ちいいんだ?おまえ」
「ちがっ……!やぁ、だめ、そんなぁ……っ!」

ふわふわと大神を隠すスカートとパニエを捲り上げると、意外にシンプルな下着の中で大神のそこが屹立しているのがはっきりとわかった。すると、突然白い内股に傷ができ、すうと赤い血が一筋流れる。

「あれ?今、オレ、何かした?なんか傷が増えたんだけど」
「わかんなっ……やだ、もう離してっ………」
「だめだって。傷の手当てしなきゃだろ?」
「な…………っ、や、やめて………っ!」

大きく開かせた大神の内股に顔を埋めると、加山はいきなりぺろりとこぼれ落ちる血液を舐め取った。そのまま傷に舌を這わせ、ざりざりと乱暴に傷を舐めてみる。

「やぁ、痛っ……痛いよう……っあ、……っ」

口の中に広がる血の味が、妙に甘ったるく感じられるのはなぜだろう。ぽろぽろと涙をこぼしながら、大神が喘いでいる。できたばかりの傷口をいじられれば相当に痛いはずなのだろうが、もがいて逃げるようなことはせず、むしろ加山の髪をつかんですがり付いているような様子だ。震える脚を押さえつけて傷を舐めまわせば、快楽を感じているとしか思えないため息が加山の頭上から聞こえた。

「あっ、あ………もう、だめ………だめぇっ!」

短く叫ぶと、大神は自分の股間を押さえてがくがくと震える。その痙攣から数秒遅れて、下着の隙間からとろりと白い体液が流れ出すのが見えた。

「……み、見な……い、で……っ……」

大神が顔を真っ赤にしたまま、快楽の余韻に震える下半身を必死に手で覆い隠す。加山は、大神の脚を押さえつけたままその奇妙な絶頂に見入っていた。いくら局部に近い位置だからって、傷口を舐められて射精する男がいるだろうか。

「……おまえがドールである理由って、これのことだったんだなぁ」

畳を汚した白い体液と濡れて光る赤い傷口、そして身体を震わせるゴスロリ青年。すべてがものすごく奇妙だと、加山は思った。


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