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1912年、帝国陸軍対降魔部隊結成。星龍計画、後のミカサ建造計画によって帝都の地脈が乱され、地上に降魔が出現するようになったことがきっかけであった。米田が自らを隊長とし、集めた人員は米田を入れて4人。それぞれ、二剣二刀を受け継ぐ者たちである。
「……山崎。どうかしたのか?」
ノックに答えると扉が開き、少佐である山崎が顔を見せた。一馬が目配せをすると、小さく失礼します、と言って山崎が室内に入ってくる。絨毯が敷かれ、窓際に机の置かれたそこは、山崎の部屋と大差ない作りだ。
「…………どうして、拒まないのですか」
一馬は、山崎がわざと書類を撒き散らしたのだということに気づく。机の上には、彼の愛する妻と娘の写真が置かれていたからだ。
「……哀れんでいるのでしょう、私を」
その静かな口調とは裏腹に、山崎の表情は歪んでいる。酷く怒っているような、ともすれば泣き出しそうな、そんな顔だった。見上げる一馬は、何も言わない。
「……そうやって受け入れることこそが拒絶だと、思い知らされる……」
ならば、自分はどうしたらいいのだ、と一馬は思う。思い悩む姿を知るからこそ、自分は受け入れこそすれ、拒絶などできるはずもないのだ。望むならば与えよう、自分が彼にしてやれることをしてやろうと、思うことは間違いなのかもしれない。だが。
「………わたし、は……お前を……大切に、思っている………」
抱きしめれば、呼吸が止まるほどの力で抱き返されて、殴ることなどできるわけがない。それは、一馬の甘さだ。周囲から冷たい視線を浴び、それでも人々のために人外のものと戦い続ける日々、そのつらさを共有する仲間なのだ。自分に思いを寄せる、親子ほどに年の離れた若い仲間を、冷たく突き放すことなど一馬にはできなかった。 |