| 10.鉄の棒 |
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二人は、リデリアの人間に会わない様に遠回りして出口へ向かおうとした。 「なぁおっさん!さっき見張りのやつら打ってたよな。仕事中は人は殺さない決まりなんじゃないのか?」 「これは仕事ではない。」 「…そう。仕事じゃない、ねぇ。」 ウォメはプールに「ハゲ」とか「おっさん」などと散々言われている。 プールはウォメの言った言葉の意味を少し考えた。仕事じゃないならなんなんだ。 そして角を曲がろうとしたそのとき。 「うわ!!」 「わぁっ!!」 ドン! 人にぶつかった。同時に角から曲がってきたリデリアの人間だった。 「くそっ」 「あーらーらー…。」 「いたぞー!!こっちだ!」 「おい少年!ぼさっとしてるとまた牢屋の中に後戻りだぞ!」 「んなこといったってこの大人数じゃーしかもみんな銃もってるし…わ!」 ダダダダダ 相手は大人数で容赦なく撃ってきた。 二人はそれをよけるので手いっぱいで、なかなか前に進むことができない。 「ちくしょーナイフも没収されたし棒もないし…」 プールはどうすればいいのか分からなかった。するとウォメは牢屋の鉄格子を一本つかんでもぎ取った。そしてプールの方に投げた。 「少年!」 「うわ!?」 「使え!」 「あ、ああーどうも;あの牢屋はもう使えねーな;」 プールは、いきなりだったので驚きながらも、低く身を構え向かってくる弾をことごとく棒で防ぎながら素早く前に走っていった。 プールが一人のリデリアの男の前まで来るとその男は「わっ」と叫びながら銃をプールに向けて撃った。だがその瞬間プールはしゃがみ、棒で銃を押さえて銃口の向きを変え、棒をクルンとまわし顔面を殴った。弾は横にいた他の男にあたった。 「おい少年。この前の夜よりも動きが鈍いぞ。どうした。」 「棒が重いんだよ!いやありがたいけどさ;俺があの時使ってた棒は木だ。」 「なるほど。ところで、もうこれ以上ここで足止めをくらってても切りがない。行くぞ。」 「行くって…おいちょっと待て!!」 がしっ ウォメはプールを片手で抱きかかえ、ジャンプしてリデリアの人間達の上を飛び越えた。 「おーろーせ――――!」 「…軽いな。」 「うるせ!」 「まてこらー!」 出口が見えた。外は空だ。だがプールを抱えたウォメはそのまま突進していった。 「おい ちょっ…おいおいおいおい!」 「気にするな。」 「気にするさ!空だぞ!?落ちるぞ!?てゆうかおろせ!」 「ああ空だな。失神するなよ。」 「うわやめろ!まじで!おろせ!」 「無理だ。」 バッ! ウォメは出口から飛び出した。 外はすっかり夜が明け一面青く静かで、ただ聞こえるのは裏返ったプールの叫び声だけだった。 すると後ろから長いホースが飛んできた。そのホースはこの前の夜の時と同じように、ウォメの腰についている機械にガチャン、と音をたててくっついた。そしてウォメを、ホースが飛んできた方へ引っ張っていった。 そのホースはカディラから飛んできた物だった。 カディラの壁についたウォメは、窓のサンに乗った。いつもなら普通に床に着地できるはずだった。だが入ろうとした瞬間プールの持っていた鉄の棒が窓に入り切らずひっかかった。 「おわっ!」 グシャ! 「はーいおかえりんさい!!」 コンピューターでホースを操作していたシグマが、うるさいぐらいの大きな声で言った。 「…ただいま。」 「どうも…」 引っかかってこけて床に落ちた二人はとりあえず返事をしておいた。 |