19.生きるため

「さて、次は襲撃の理由についてだが。」

ウォメはガラスのない窓の前に立った。窓からは登り始めた太陽と、どこまでも続く岩と砂漠が見えた。

「見ての通り、ここいら一体は一面砂漠の不毛な乾燥地帯だ。フレイムブリッドのような沃土がない限りは食物を耕作するのも不可能。」
「確かに畑なんて無理だよな・・・。この辺は緑なんて全然、まともな草一本生えてないのに、フレイムブリッドは木とかたくさんあったよな。」

プールはそう言いながらウォメの横に立って窓から外を見た。こうやってはるか上から地上を見下ろすと足がすくむ。うぁっと声を上げてプールはすぐ顔を引っ込めた。
そしてシグマが言った。

「フレイムブリッドの下にはな、水脈があると言われてんだ。そんでもって、その水脈は砂漠竜とかゆうバカでかい竜が守ってるんだと。だから水脈を掘ろうにも見つからねェ。」
『その竜を見たっつー奴なんてどこにもいないけどね〜。』

いつでも能天気なシグマとリオウによって、話が少しずれた。だがプールはいろんなことを知るのが好きだったので真剣に聞いていた。
ウォメが話を戻した。

「俺達だって人間だ。食べなければ死ぬ。生活だってある。だから街から食料や布や金属を盗る。それが襲撃に行く大きな理由だな。リデリアが襲撃に行くのも俺達カディラと同じ目的だ。」
「なんでだよ!それなら普通に地上に降りて普通にもらいに行けばいいじゃないか!どうして力で押え込むようなやり方をするんだ。それに、それに盗られた街の人たちの生活はどうなるんだ?」
「安心しろ。俺達カディラは必要最低限の物だけを盗っていく。それに襲撃の時は自分が攻撃されない限りは人は殺さない決まりだ。リデリアの奴はどうだか知らんがな。それに・・・」

ウォメは少し下を向いて間を置いた。そしてはき捨てるように言った。

「俺達オーカーを追いやったのは街の奴らだ。」
「!」
「リデリアだって同じように地上の人間を憎んでいる。・・・まあ、のちに詳しく話そう。」
「・・・よく、わかんないけど・・・その、ごめん・・・。」

プールは叫んだことを謝罪した。
そして、ふと思った。襲撃で、でオーカー達を見たときは、カディラの人間と赤い服のリデリアの兵士も争っていた。
地上の人々に同じように追いやられ、地上の人々に同じような憎しみを持っているのなら、なぜお互い争うのか。

「・・・なんでだ?なんで地上の人達だけじゃなくリデリアとも争うんだ?リデリアの奴らだって同じような境遇なんだろ?」

その瞬間ケタンが、座っていた大きなアルミ缶をガタッとならして立ち上がった。

「同じなんかじゃねぇ!誰があんな狂った奴らと!!」

プールは驚いて、ちっと舌打ちをして座りなおしたケタンの方に顔を向けた。

「狂っ・・・?」


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