| 20.正常な人間 |
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(狂った・・・?ってどうゆうことだ?) 「ああ、その話をするにはまずサイマグネットのことを説明しないといかんな。」 叫んだケタンをなだめるようにウォメは言った。 ケタンは再び座った。 「プール。”サイマグネット”とゆう言葉の意味を知っているか?」 ”サイマグネット” プールは思った。そういえば機関室でケタンに会ったとき、ケタンが、サイマグネットはお見通しとか言ってたな。持ち歩けるのはケタンだけだ、とかなんとかとも。何のことかさっぱりだ。 「いや・・・。わからない。」 「いいか。サイマグネットは、何千年も昔からある。あらゆる所にある。」 「な、なんぜんねん・・・。」 「地面にも、空にも、機械にも。そして人間の体の中にも。プール、お前のからだの中にもだ。」 「何!?俺の体!?」 わけのわからない物がお前のからだの中にあるなどと言われてプールは困惑した。一体俺の中に何があるってゆうんだ。 「ではまず、サイマグネットの一例を見せてやろう。ケタン。」 「ああ はいはい。」 ウォメに呼ばれたケタンはかったるそうに返事をして立ちあがった。そしてウォメは棚から透明なガラスのコップを一つ取り出しケタンへ突きつけた。 「水だ。」 「めんどくさいなぁ〜。」 ケタンはしぶしぶウォメからコップを受け取った。 そしてコップを上から片手で持ち、目を閉じて何やら集中した。 次の瞬間、 「!」 「いいか、これがサイマグネットだ。」 コップの中に水が入った。 ”これが”などと言われてもさっぱりわからない。 先ほどのコップは空だった。だがケタンが手に持ち、一瞬の間で何もない所からコップの中に水が現われた。ケタンの手から、水が出たとも言える。 「み、水が・・・;」 「あーあーこれぐらいで驚いてんじゃねーよ。これだから無知な奴は。」 目をまん丸にしているプールを見て、ケタンは馬鹿にする様に笑をうかべながら言った。 そして水の入ったコップをウォメに返した。 するとウォメは、腕を伸ばしてそのコップを持った。 パン!! 「あっあぶなっ!!」 コップが割れた。床にはガラスの破片と入っていた水が散乱していた。 「これもサイマグネットだ。ちなみに力ずくで割ったのではないぞ。」 そんなこと言われなくても分かるくらい、確かに先ほどウォメはコップをそっと持っていた。ウォメはしゃがんで、手袋を取り散らばったガラスの上に手をかざした。 すると散乱したガラスが小刻みに揺れ、手の下に集まり始めた。そして透明がだんだんと銀色に光り、水銀の水たまりのように一つに集まった。 「・・・ガラスが鉄になった・・・?」 「ああ。鉄になった。これも、サイマグネットだ。」 手袋を取ったウォメの手を見てみると、同じように銀色に光っていた。 (あ!あれだ!リデリアの牢屋で見たあの手だ!) しだいにウォメのその手は肌色に戻っていった。 「とまぁこんなところだ。」 ![]() 「それはそうだろうな。じゃあもっと詳しく説明しよう。さてプール。カディラに来てから何か、感じないか?」 ウォメはテーブルについてプールの目を見ながら言った。 そういえば、何だろう。さっきからなんだかピリピリする。静電気かなんかだろうか? 「体が・・・ピリピリする。」 「よし。おまえも正常な人間だとゆうことだな。こっちへ来い。」 そう言ってウォメは少し歩いて、「AG86」と書かれた札が上にあるドアの前に立った。 |