21.「AG86」

「ぅわっ!なんだこりゃ・・・!」

プールはたじろいで、腕で顔をかばった。
ウォメがあのドアをあけたとたんものすごい風が吹いてきた。さっきから感じていたピリピリが10倍にも1000倍にも感じられた。体中にしびれがはしる。橙色の閃光がまぶしいぐらいにほとばしっていた。
部屋の中には人の背丈ほどの高さの大きな丸い機械がでんとあった。ドアの上と同じように、「AG86」と書かれていた。閃光としびれの原因はこの機械にあるようだった。

「いいかプール、俺はお前が俺達と同じような能力を必要としているかいないかは尋ねんが、決して能力を持つ事を勧めてはいないぞ。それをふまえてこれから話す話をよく聞け。」

ウォメは部屋の中に入りながらプールに言った。ドアは開けたままにしておいた。

「今さっきお前に見せたように、サイマグネットとは俺達の持っている能力の事をいう。」
「ふんふん。さっきの水のやつだよな。」
「そして能力を使う人間をオーカーという。能力の種類は個人個人によって異なる。例えばアロエは気孔だし、俺は金属だ。能力が目覚めてみないとどんな種類かは分からん。」
「ケタンは水か?」
「いや、ケタンだけは例外だ。あいつは他人の能力を複製して使用できる。精度は多少劣るがな。腰に小ビンがいくつもストックしてあったろう。あれは複製した能力が詰まっている。」

プールはやっと納得がいった。機関室でトラインがケタンに言ってた、「サイマグネットを持ち歩けるのはお前だけ」という言葉。
「サイマグネットはお見通し」と言って3日前の手紙のことを知っていたのも、他の能力でプールを読み取ったからだろう。

「能力は、どうやって得るんだ?」
「AG86。これだ。」
ボン

ウォメは先ほどから轟音と眩い閃光を放っている機械をAG86と呼んで、それに手を置いた。置いたとたんウォメのその手を伝って電気のようなものがバリバリと鳴った。
プールはうぇっ?と声を上げ驚愕した。ウォメは、大丈夫なのか。感電しているのではないか。
おそるおそる、その機械に近づいてみた。

「おっと、絶対触るなよ、俺達に仲間入りだ。」
「え。」
「つまり、これに触れば一発でオーカーだ。アロエ達もこれに触ってオーカーになった。ただし、死ぬ奴もいる。」
「し、死・・・!?」
「ああ。触ったがオーカーにならずに死ぬ、そういう奴もいる。まあ90%の確率でなれるがな。」
「90%・・・。」
「AG86に触れば待っているのはか、サイマグネットの世界だ。」

ウォメはプールに重々しく言った。

プールは少し考えた。わずかだが死ぬ可能性があるにもかかわらず能力を必要とするのならば、それなりの理由があるはずだ。ウォメ達はなぜオーカーの道を選んだのだろうか。


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