23.赤い警告

コックピットのある第一機関室では(プロペラとエンジンがあるのは第二機関室)、トラインがシグマの手伝いを終えてお茶を汲みに来ていた。

まったくシグマのヒゲは痛いよ。」

ブーッブーッ

何か、鳴っている。
トラインがその音に気づいたのは、ポットにお湯を入れ、アルミのコップを手に持ったときだった。
どこだ。どこで鳴ってる。何の音だ。背中が何かに引っ張られたようにつっている。
トラインはコップを持ったまま一人できょろきょろと辺りを見まわした。空気がぴんと張り詰めたように緊張している。
トラインは操縦輪や操縦席の辺りを見た。そしてその目下に入ったのは、モニターに表示され警告音と共に点滅している赤い文字。

”D A N G E R”

その瞬間、トラインの背中に何十匹もの虫が這ったかのような寒気が走った。手からはコップがすり落ちてカランと乾いた音を立てて転がった。


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