| 24.犠牲者 |
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そのころウォメはまだプールに「AG86」のある部屋でサイマグネットの説明をし続けていた。 「さて次は、敵、リデリアについてだが―」 「みン な 伏せろーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 プールがウォメに「うん。」と言おうとしたその時、トラインのその声を聞いて、ウォメとプールだけでなく他のメンバーも変事に気づいた。 「プール伏せろ!!!」 「なななななんだぁ!?いたい!」 二人はそこにあった大きな金属の台を横倒しにしてその影に伏せた。ウォメがプールの頭を強く押し下げたので、プールは頭をぶつけた。 ダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・! 伏せたすぐ後に、ものすごい銃声と共に赤くなった幾つもの銃弾や、割れた窓のガラスの破片が飛んできた。その一つがウォメの頬にかすって小さな傷を作った。 壁が破壊され砂ぼこりがたってどんどん視界が悪くなる。 砂ぼこりが口に入り、せき込みながらプールはウォメに聞く。 「ちょっ、おっさん!これ一体なんなんだ!?何が起きたんだ!?特訓!?」 「お遊びなどではない!リデリアだ!!」 「リデリア・・・ってあの、俺をかっさらった奴等か!?」 ウォメ達カディラと同じように街の人々から地上を追いやられた、赤い服を着た、プールを牢屋に入れた、あのリデリアがあんな遠くから攻撃してきてると言う。 おそらく連射式の大きな銃だろう。攻撃は未だ止まない。ウォメは爆音に負けないように大きな声でプールに話す。 「俺達カディラはいつもリデリアの作業の阻止をしているから、奴等は俺達が邪魔なのさ!だからこうやって俺達の浮いている位置を察知しては攻撃してくる!」 「リデリアの作業って何だ!?」 「ここいら一帯は岩砂漠ばかりの不毛地帯だろう!それはサイマグネットの原力のせいなんだ!数年前あるドームが爆発してその原力がこの地域一帯に散乱した!」 「あるドームってアイオンズドームのことか!?その事件なら聞いたことある!」 「ああそうだ!当時アイオンズドームではサイマグネットの研究がされていた!リデリアの奴等は何を考えているのか、夜に地上に降りて街の襲撃と共に、その散らばった原力を再び集め持ち帰って、アイオンズドームと同じようにサイマグネットの研究をしてやがる!」 そのアイオンズドームの事件は、プールがバス停でバスを待っているときに風に吹かれて飛んできた新聞に書いてあった事件のことだった。 数年前、敵リデリアの下の方にあるフレイムブリッド-------プールが初めにバスで来た、チアがいて収穫祭をやっていたあの街に、アイオンズドームという大きなドームがあり、そこではサイマグネットの研究がされていた。だがある日突然、そのドームが爆発した。おそらく、その研究を反対するフレイムブリッドの住人達のしわざと思われた。 「なんで研究がいけないんだ!?サイマグネットがあればいろんな事が出来るじゃないか!」 「外を見てわからんか!そのサイマグネットの原力が散乱したせいで木々が枯れてあんな状態になったのだぞ!奴等がサイマグネットの力を利用して何をたくらんでいるのか知らんが、そんなものの研究なんて危険過ぎる!!ドームの二の舞だ!だから俺達は阻止する!」 「じゃあ、なんでおっさん達はオーカーになったんだよ!それもあんな死ぬかもしれない不正な方法で!サイマグネットは危険だって分かってるんだろう!?」 その瞬間、ウォメは今までにないくらい悔しそうな顔をした。まるで自分の無力さを心から憎むかのように。 そして言った。 「リデリアの奴等は皆、正当な覚え方をしたオーカーだ!そいつらに対抗するためにはどうしても能力が必要だった!今すぐオーカーにならざるを得なかった!たとえ自分を犠牲にしても、たとえ死の危険があっても、AG86を使うしかなかった!時間がなかったんだ!!この土地は俺達が守る!!」 ”時間が、ない” こうしている間にも散乱したサイマグネットの原力のせいで土地が侵食され、植物がどんどん減っていっているのだった。 プールは、サイマグネットの能力の得かたの説明をしてるときにウォメが言っていたその言葉の意味がようやく分かった。 そうだ、時間がないんだ。 |