26.船酔い

第二機関室へ来た二人は、止まっているプロペラを回すスイッチを入れるために部屋の隅へ走った。プロペラは以前と同じで端の一つしか回っておらず、それだけでもものすごい轟音が聞こえた。

ケタンは、部屋の隅の金属の戸を乱暴に開けた。戸を繋いでいる蝶番がさびて今にもちぎれそうだった。中にはプラスチックのスイッチがたくさん並んでいた。おそらく全てプロペラのスイッチだろう。

「よしプール!まずは、このスイッチを全部オンにする!」

プールにそう言って一緒にスイッチをオンにしていった。
プロペラの音はものすごくて、叫ぶぐらい大声で話さなければ相手に聞こえない。二人の、スイッチを上げるカチカチという音も全部かき消されていた。

「なあケタン!この残りのプロペラ全部回すのか!?」
「そうだよ!そうでもしなきゃ一気に何キロも上まで行けない!」

まじかよ。とプールは思った。一個だけでもこんなにすごい音なのに、全部回ったら俺の耳は一体どうなるんだろう。
そんなことを思っているうちにスイッチがすべて入り、並んでいるプロペラがゆっくりと回り出した。

ウィィーーーン
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!


だんだんと回転が速くなるにつれて音も大きくなっていった。お腹に音が響いてびりびりしてきた。ううっ気持ち悪い。さっきの方が何倍もましだ。

その轟音に負けないくらい大きな声でケタンが言った。

「ほらいくぞ急げ!これでこの仕事は終わりだよ!」
「えっもういいのか?」
「いいんだよ!それにお前慣れてないだろ。こんな所に長時間いたら船酔いしたみたいに気持ち悪くなるぞ!」

たしかに。お腹にびりびりきて変な感じだ。だがプールは既にもう気分が悪くなっていた。


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