| 30.落ちた? |
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「プール、この本を俺の手から落としてみろ。」 ウォメはそう言って本棚から一冊の本を手に取り、その手をプールの方に伸ばした。 「なんだそれ?なんだよいきなり。」 「いいから。」 「・・・?」 プールはよく分からないまま、言われた通りにウォメの手の上にある本を落とそうと、手を伸ばした。すると、 ひょい すかっ 「!?」 ウォメは本を引いた。その本を落とそうとしたプールの手は空ぶった。 「なななななんで引くんだよ!」 「ほら落としてみろ。」 「〜〜!?」 おっさんは何考えてんだ?とりあえず分からないが落とそうと試みた。が、 ひょい すかっ ひょい すかっ 何度やってもウォメは手を引く。プールはなかなか落とせずにいた。 ウォメは相変わらず無表情であり、だんだんとプールも馬鹿にされている気分になってきた。 「このーっ」 ばっ すかっ ばっ すかっ 「おーおーやってんねぇ。せいぜい恥さらすなよー。」 二人の横を通りかかったケタンが笑いながら言った。 そしてリオウも通りかかった。 「おっ!おおっ!何やってんの!楽しそうだな俺もMAZETE!!」 「おらリオウ片付け終わってねえぞ。」 「ちぇ。ちぇ。ちぇ。」 ケタンに言われてリオウはしぶしぶその場を去った。 プールはしだいに息が上がってきた。 変わってウォメは涼しい顔をしている。もしくは楽しんでいるような。 「くそおぉぉぉおっさんわけわかんねえぇぇぇぇ!!」 “わけわかんねえ”とか言いながら、自分の方がわけ分からなくなってしまっている。 プールは半ばヤケになって、そう叫びながら手を本の方へと伸ばした。そのとき、 ![]() 「・・・あり?」 本がウォメの手から落ちた。 落ちた拍子に本に付いていたホコリがぼわっと舞った。 一瞬、プールは何がどうなったのかよく分からなかった。というか一瞬が過ぎてもよく分からなかった。 もちろん、ウォメがよけなかったのでもよけ損ねたのでもない。 「・・・なんだよおっさん、ちゃんと持てよ。」 「いや。俺は落としてはいない。」 「・・・勝手に・・・落ちた?」 「違うな。お前が落とした。」 「は?え?でも俺触ってないぞ!?」 「プール。それが“アギー”だ。」 ウォメは最後まで涼しい顔をしながら言った。 |