34.モニターの二人

二人はかれこれ数時間戦い続けていた。だが相変わらずプールはケタンに押されていた。

「おい・・・。見ろよ。」

モニターを見ていたシグマがトラインに言った。

ケタンはプールの背後にまわり腕を掴み背負い投げをした。プールはすぐさま受け身をとり足から床についた。その隙を突いてケタンがプールの足を払い、次いで拳で攻撃してきた。


シグマの隣にいたトラインがモニターを覗き込んで言った。

なにがどうしたって?
「あいつ・・・。」
プールが何々?
「あいつ・・・ケタンの攻撃を防ぎ始めたぞ・・・。」




休むことなく連続で突進してくるケタンの攻撃を、プールは目で追いかろうじてすべてガードしていた。
離れたところからケタンがプールの足元に滑り込み、脇腹をドンと押されたプールはよろけたがケタンから目を離さなかった。そしてケタンが攻撃しようと腕をほんの少し動かした瞬間プールはその腕を掴み下へ引いた。腕を掴まれたケタンはもう片方の手でプールのその手を掴み、足を高く上げ、そしてその腕に向かって足を振り下ろした。

バッ
プールがその足をガードしようと、ケタンの腕を掴んでいる力を一瞬ゆるめたのをケタンは見逃さなかった。
振り下ろされたケタンの足は軌道を変え床につき、自由になった腕を大きく回してプールの肩を掴み、その背中を力強く押した。

「ぅわっ!」
ガンッ

プールは体が反転して壁に打ちつけられた。さすがに痛いが骨が折れるほどではない。おそらくケタンが力を抜いたのだろう。



あーあ。やられちゃったねー。
「わはは!あいつはまだまだこれからさぁ。」

モニターで観戦していた二人は笑いながら話した。



「やっぱりまだまだ甘ちゃんだな、お前。」
「くそー!」

打った背中をさすりながら起き上がるプールを見ながらケタンは笑いながらからかい、そして何かを考えていた。

・・・成長・・・しやがった。
「え?何?」

つぶやいたケタンの言葉がよく聞こえずプールは聞き返した。するとケタンは我にかえり言った。

「いや、なんでも。」
「・・・?」

まだ怪訝そうな顔をしているプールに向かってケタンは、

「今のお前の甘ちゃんぶりじゃあ一緒に仕事なんてできやしない。捕まってあの牢屋でおっちぬのが関の山だな。明日から毎日10時間特訓だ!」
「じっ、じゅうじかん!?」

うんざりしているプールをよそに、ケタンはいつものような皮肉げな笑みを浮かべ、その部屋を出ていった。プールはため息を漏らしながら、よろよろとその後について行った。
そしてその部屋は翌日まで再び何もない部屋となり、プールの特訓が始まった。


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