39.カエルのお仕事

プールが今まで生きてきた生涯の中でカエルの使い道といったら、食用か薬の材料でしかなかった。
そんなカエルが役目を果たす?そんなの見たことも聞いたこともない。

「そのカエルはリデリアで繁殖されている。もとはシマルダンというごく普通のカエルだが、リデリアの奴等に手を加えられ、溜まり場の原力が放つエネルギーを察知することができる。」

プールはその言葉を聞いて愕然とした。

「あれがシマルダン?!シマルダンっていったら澄んだビリジアンの色だろう!?」

プールが驚くのも無理はない。プールが見たあのカエルの体は黄疸だらけで、ビリジアン色のかけらも無かった。

「手を加えられ変化してしまったのだろう。それだけ自然の摂理に逆らい壊しているということだな。」
「サイマグネットの研究といい・・・あいつらは自然をなんだと思ってんだ・・・!」
「憤るのは後だ。今は話を聞け。」

ウォメはいつになく冷静だった。
だが怒りを心に潜め必死で押え込んでいるようにも見えなくはなかった。
プールも落ち着きまた話を聞いた。

「まずリデリアは莫大な量のカエルを地上に放つ。するとカエルは溜まり場へと行く。一つの溜まり場に一匹のカエルだ。同じ場所に複数は行かない。溜まり場に着いたカエルはその溜まり場の場所を、体に埋め込まれた機械に記憶する。それでリデリアにとって溜まり場の"場所発見"は完了。あとはその場所を記憶しているカエルの回収だ。」
「襲撃の時に持ち帰るんだよな?カエルに発信機でもつけて回収するのか?」
「リデリアがそんな腑抜けであれば俺達がカエルを駆除するのがどんなに楽なことか。」

ウォメのその言葉はプールが腑抜けだと言っているようなものだった。
プールは裏にトゲのあるその言葉に少しうっとなった。

「ひとつひとつ自ら回収していたのでは夜が明けてさらに日が暮れてしまう。」
「じゃ・じゃあどうするんだ・・・?」

説明のために図や文字が書かれた紙を見ていたプールは、顔を上げてウォメの方を見た。

「呼ぶのだ。」

先ほどから説明をしていたウォメの鉛筆を持った手が止まった。

「よっ、呼ぶ?」
「そうだ。呼ぶ。リデリアはカエルのみ感じることのできる電波を発信し、カエルから帰ってくるよう仕向ける。」
「なんだそりゃぁ。カエルはもう操り人形だ。」
「それはいい喩だなプール。」

ウォメはリデリアを嘲るかのように言った。
そしてプールの中でリデリアはどんどん大きなものへとなってゆく。

「リデリアのアンテナ一点から放たれる電波を感じ、その一点へと集まる膨大な量のカエルを、昔初めて目の当たりにした時は、見れたもんじゃなかった。嘔吐感を覚えたな。」

そう言っているウォメの目の先には窓があった。
そのさらに先には、無いリデリアを見ているのだろう。遠い目をしていた。

空は、まだ青々としていた。


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