| 4.オーカー |
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流れ星かに思えた。空の上から下に向けて放っている特大の花火のようにも見えた。その光は空からどんどん降ってきて、ものすごい轟音と光と共に地上に落ちていった。 街の人は必死で逃げていた。あの落ちてくる光りはなんなのか、プールも何が何だか分からず頭の中がぐちゃぐちゃになっていたが、自分に落ち着けと何度も言い聞かせ周りをよく見てみた。何かがおかしかった。 人が、増えている。 街の人は沢山いたが普通に考えても、もう3ぶんの2の人は逃げ切っていてもおかしくないはずだ。でも減っていなかった。むしろ増えていた。 混乱していて幻覚を見ているのかと思ったが、よく見た。よく見た。よく見た。 (…人だ!降ってきているのは人だ!人間が落ちてきている!) 頭から真っさかさまに落ちてきて、地上に着く寸前に片手を伸ばして着地していた。あの爆音はそのとき手が地面についた音らしかった。 (あんな高い所から落ちてきて手ェ1本で着地できるものなのか!?) 降ってきて着地した人間は、家や店に入って物をあさったり、逃げ遅れた人やまだ逃げている人を追いかけて捕まえて、物を盗んでいった。中には落ちてきた人間同士で争っている者もいた。その様子はまるで戦争のようだった。 そのときプールはふと思った。チアは。チアは大丈夫だろうか。 日没前にわかれてそれ以後会っていなかった。まだ広場にいるのだろうか。それとももう宿にもどったのだろうか。 考えていると後ろからヒュン!とゆう音のすぐ後に爆発する音が聞こえてきた。 ドン!! 「うわっ!」 その爆風で、プールは3メートルほど吹っ飛んだ。プールの真後ろに人が落ちてきたのだ。だが爆発でたった砂ぼこりがまっていて、落ちてきた人間がよく見えなかった。 すぐ近くだったので、プールは襲われると思った。反射的に腰のナイフを抜いて、構えた。 砂ぼこりが消えて人間が見えてきた。その人間はプールと同い年か1つ下ぐらいのようだった。肩には猫を乗せていた。
(猫…!あの猫だ!) 肩に乗っていた猫は、プールがバス停で見た、左右の目の色が違う猫だった。 その人間はプールの方に向き、右手を出そうとした。プールはバッ!とまた構えた。その人間は攻撃はしなかった。だがその手にはあの時、あの時に消えたのと同じ種のカエルが握られていた。 そしてその人間はそのカエルをギュッと握り潰した。すると、 パン! 「!!」 カエルはあのバス停の時と同じように金色の粉になって消えた。 その人間はプールの驚いた顔を見て、馬鹿にしたようにニヤッと笑い、クルッと後ろを向いて走り出した。 (あいつ、何か知ってやがる!) そう思ったプールは走り出したその人間を追いかけた。空から降ってくる人間を避けて避けて追いかけていった。途中、他の降ってきた人間に襲われそうになったが、蹴りを食らわせ振り払った。 しばらく走るとあの人間はオレンジ頭の仲間と合流し、さらに走ってひとけのない細い路地に入った。そしてオレンジ頭の人間は言った。 「なぁケタン。あの追っかけてくる奴、誰だ?」 「知らないよ。カエル潰すの見せたら追っかけてきた。そんなにあのカエル欲しかったのかな。食えもしないし芸もできない。なーんにも役に立たねーカエルなのに。」 「このままだといろいろとヤバイんじゃねーのー?はやいとこまかねーと。」 「そうだね。でも面倒だなぁ。リオウ、あいつ足止めしてきてよ。」 ケタンと呼ばれた人間は走りながら、自分の肩に乗っている猫に言った。するとリオウと呼ばれたその猫は喋りだした。 『あ!?なんでだよ!俺だってめんどくせーよ!それに足止めしてたらケタン達とはなれちまうじゃねーか!足止めよりまこうぜ!まこうまこう!』 「まくより足止めの方がいいんだよ。それにお前の足なら少し離れたってすぐ追いつけるだろうが。猫だろお前。」 『かまぼこ。』 「あーはいはい。帰ったら食わせてやるから…」 『おっしゃァ!!』 かまぼこでつられたリオウは走っているケタンの肩からピョンと飛んで、着地した。そのすぐ後にプールが走ってきた。 リオウはプールの方に向いて睨んで、叫んだ。 『うるぁっ!』 ドン!! リオウの方からなにか気が向かってきた。 ゴゥッ! 「うわっ!!」 それはまるで風のようだった。だが風なんてものじゃなかった。プールは今いる場所から、一歩も動けなかった。動くことができなかった。1センチも進まなかった。 すると急に左の腕が激しく痛み出した。 「…っ!!?」 ものすごい痛みだった。腕がちぎれそうだった。 「うっ…!なん…だこれ…!」 あまりの痛さにプールはその場にひざをついてうずくまった。もはやケタン達を追うことすらできなかった。それを見たリオウは、ケタン達が走っていった方に向かって走り出していった。 「畜生…っ!」 |