5.カディラのリーダー

「プール! プール!」

チアは人をよけながら一生懸命プールを探していた。彼女がいる広場はまだ乱闘が続いていてたくさんの人が倒れていたが、気絶している者がほとんどだった。
そのとき後ろから街の人が数人逃げてきて、チアの背中にドンとぶつかっていった。ぶつかった反動で彼女はしりもちをつき、ポケットに入っていた腕輪がコロンと地面に落ちた。

「いい腕輪だね。いただきっ」 ぱっ

どこからか向かってきた「上の人間」が、一瞬でその腕輪を盗んでいってしまった。

「だめ!それおじいちゃんの肩身なの!」

チアは必死で、腕輪を盗った長い金髪の女にしがみつきとり返そうとした。だが女はうるさいな、と言って振り払い、地面に突っ伏したチアに銃を向けた。チアは恐怖のあまり縮こまってしまった。

カン!

いきなり乾いた金属音が聞こえ、女の持っていた銃は数メートル向こうに飛ばされた。銃にはナイフが一本刺さっていた。

「肩身だっつってんだろが!」

そう叫びながら一人の青年がその女に向かって、長い棒をブンと振り回した。プールだった。

「離れたとこからあの銃を狙ったの。へぇ。すごじゃない!」 ダンッ

「すごいじゃない」と言ったと同時に女は棒をガードしてつかみ、背負い投げのようにプールを棒ごと地面に叩き付けた。プールは背中を強く打ったがすぐに立ち上がって、地面に棒を立てて乗り、女の上を飛び越えて後方に回った。女は振りかえりざまに回し蹴りをして、何度も拳で攻撃してきた。
プールはそれを棒と腕でことごとく防いでいったが、ものすごい力だった。とても重く女性の力とは思えないぐらいだった。

「あんたもすごい力だねェ。オバサン。」
「あらっ これでもまだ20代よー」
「あっそ。でも俺から見たらオバサンだよっ!と。」 ガッ

女はさっき飛ばされた銃を拾おうとしたので、プールはそれを蹴飛ばした。女は ちっ、と舌打ちをして再び構えた。

「ちょっと坊ちゃんあんたーやること言うこと腹立つわね!」
「なんだよいくらなんでも銃はずるいだろ銃は!」
「あらー勝負ってもんはずるいも何もないのよ。子供だからって手加減はしないんだから!」

そう言って女は手を上の方にあげて何やら力を集中させはじめ、「何か」を放った。その「何か」はプールの方へものすごい速さで向かってきた。

ドン! 「うわ!」

プールは吹っ飛ばされた。その「何か」は、あの細い路地で両目の色の違う猫に攻撃された時のものと似ていた。だが今度は腕に痛みはなかった。

地面を滑ってやっと立ち上がろうとしたその時、女は拾った銃をプールに向けていた。

「なんだよ…ナイフ刺さってんじゃんよ…」
「ざーんねん。これをそこいらの銃と一緒にしないでくれる?」

プールは息も絶え絶えだった。

「プール!」

ずっと端の方で見守っていたチアが叫んだ。
女はフンッと鼻で笑って撃とうとした。すると、

「仕事中は人を殺すなと言っただろうが。」

背の高い一人の男が横から声をかけた。



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