7.もう一度

その狭い部屋の中には、機械やら工具やら、さびかけた物まで、いろんな物が積み込んであった。端の方に積めるだけ積んだとゆう感じで、今にも倒れてきそうだった。
その部屋には一つ、ガラスの無い開いたままの窓があった。そこからは外が一望できた。もうすっかり夜になり外は一面闇だった。

部屋の真ん中には大きな機械があり、コンピューターがいくつもくっついていた。その大きな機械の前に、一人の人間が椅子に腰掛けてモニタ画面を覗きながらなにやら作業をしていた。

「アロエ、ウォメ、トライン、え〜…ケタン、…と、リオウ。おっし、全員!」

彼はシグマという名の中年の男で、あごにはそのおおざっぱな性格が丸出しのように、触ると痛そうな不精ヒゲが生えていた。髪はさっぱりと短く、襟が上に立っている服を着ていた。

シグマはコンピューターのキーボードを叩き始めた。

「はい、はい。ただ今3000m〜3、2、1」
ドドドド…!

窓のすぐ下の外の壁からは数本の太いホースが出ていて、それらは下に向かって伸びていた。
シグマのカウントが終わると同時に、そのホースにつながれた4人(と一匹)の人間が下からものすごい速さで引っ張られてきた。
彼らが窓の近くまで飛んでくると自動的にホースが外れ、彼らはくるっと一回転して部屋に入ってきた。

「はーいおかえりんさい!」

シグマはうるさいぐらい元気に言った。帰ってきた4人と一匹はああ、とかタダイマ、とか言った。そしてシグマは待ちきれんと言わんばかりに聞いた。

「よぅよぅ!今日の収穫は!?」
『カエル46匹。』
「ぼろも合わせて布17枚。」
缶詰11個。
「金品9点。」

「上」に住む人々は資源が何もないので「下」にいって調達して(盗んで)きていた。
彼らは先ほどの街(フレイムブリッド)の襲撃で手に入れた物をどさっと床に置いていった。ただ、ウォメだけは後ろの方で武器の入った箱やライトなどの入った引き出しを探っていた。まるでまた襲撃に行くかのようなそぶりだった。

「おい、ウォメさんよ、何やってんだ?まさかまたに行くなんてこたーねーよな?俺らカディラの今日の仕事は終わりだぞ。」

シグマが不思議に思って尋ねた。するとウォメはまだごぞごぞやりながら言った。

「ああ、そのまさかだ。もう一度行く。下じゃないがな。」
「下じゃないって…どこに行くのよ。」
『ってゆーか何しに行くんだー?忘れもんでもしたのかー?』
「アマラ族と思われる少年がリデリアに連れ去られた。幹部の手に渡ってしまっては事だ。連れ出してくる。」
「…!!」

ウォメがそう言った瞬間周りの皆の顔が引きつった。皆言葉を無くし、辺りは静まってしまった。部屋には、ウォメが引き出しを開けたりする音しかなかった。その静けさを我慢できずシグマが叫んだ。

「おおぉおいまっままままままじかよ!!!」
「嘘ではない。俺はあの腕の傷をこの目で見た。リデリアが連れ去るのもだ。」
「ねぇ、あんた一人でだいじょぶな訳?」

ケタンはいつもながら皮肉たっぷりで言ったが、ウォメは一人の方が目立たなくていいし今回は複数で行くほど手強い所ではない、とだけ言って窓の方に歩き始めた。

「あっそ。」
お、おい気をつけろよ。まぁリーダーなら平気だと思うけどさぁ…。

オレンジ頭のトラインは本当に心配そうに言った。そしてウォメは腰に、帰る時にホースをさし込むための機械をつけ、窓のサンに乗った。

「行ってくる。」

そう言って窓から飛び降りた。

外は一面闇だった。



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