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国木田 独歩

(くにきだ・どっぽ)


その1: 再会

その2: 菫(すみれ)

その3: 高峰(たかね)の雲よ

その4: 山林に自由存す

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詩人インデクス


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        再会


      この世にまた
      君と遇ふことあらんとも
      思はざりしに
      忘れねばこそ面影の
      早くも君を見つけぬる哉
      浮世の巷に遇ひみれば
      君はをさな子背に負ひて
      よき母親となられたり。

      君と別れてはや四とせ
      四とせが間
      世のうきふしに遇ふ毎に
      別れし君を思ひ出でける。
      我は昔にかはらねど
      君は母御(ははご)となりにけり。

      我は都に
      別れし君を思いつつ
      世のうきふしに
      浮世のちまたにさすらはん
      この世にまた
      君と遇ふことあらんかも。
      
                (詩集「独歩詩集」から)


 

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        菫(すみれ)


      野辺の小路に咲き出でし
      菫の花は今日もまた
      君がかざしとなりにけり。

      胸の思いを如何にせむ
      歌ひてもらす術(すべ)もがな
      君が奏(かな)ずる琴の音の
      調べは合はす由もがな。

      ただ歌人を憐れみて
      暫時(しばし)は君も聞けよかし。

      
                (詩集「独歩詩集」から)


 

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        高峰(たかね)の雲よ


      高峰の雲よ心あらば
      乗せてもゆき此(この)我を
      大海原(おおうなばら)のただ中の
      人無き島に送れかし
      斯(か)くて此身は浮世より
      消え失すとても此われは
      天地(あめつち)ひろき間にて
      人として生きむ。しばしだに。

      
                (詩集「独歩詩集」から)


 

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       山林に自由存す


      山林に自由存す
      われ此句を吟じて血のわくを覚ゆ
      嗚呼(ああ)山林に自由存す
      いかなればわれ山林を見すてし。

      あくがれて虚栄の途にのぼりしより
      十年の月日塵のうちに過ぎぬ。
      ふりさけ見れば自由の里は
      すでに雲山千里の外にある心地す。

      眦(まなじり)を決して天外をのぞめば
      をちかたの高峰の雪の朝日影
      嗚呼山林に自由存す
      われ此句を吟じて血のわくを覚ゆ。
      
      なつかしきわが故郷は何処ぞや
      彼処にわれは山林の児なりき
      顧みれば千里江村
      自由の郷は雲底に没せんとす。
       
                   

      
                  (詩集「独歩詩集」から)

 
                


 


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更新 03/01/01