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高野 喜久雄

(たかの・きくお)


その1: いのち

その2: 独楽(こま)

その3: 鏡

narato's what's new

詩人インデクス


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          いのち
       

      いのちとは ただ
        待ちぼうけの ことではないか
        来るはずのない 何か
        巨(おお)きすぎるものを 切なく
        待ちわびる ことではないか
        水すましは その眩暈(めまい)
        ジラフは頸(くび)で 薔薇(ばら)は棘(とげ)
        人は言葉
        向日葵(ひまわり)は芯で
         ただ 待ちわびる ことではないか

            (角川文庫『現代詩人全集』第10巻より)
 

 ◇◆◇◆◇ 


          独楽(こま)
     

      如何なる慈愛
      如何なる孤独によっても
      お前は立ちつくすことが出来ぬ
      お前が立つのは
      お前がむなしく
      お前のまわりを回っている時だ
 
      しかし
      お前がむなしく そのまわりを 回り
      如何なるめまい
      如何なるお前の vie を追い越したことか
      そして
      更に今もなお
      それによって 誰が
      そのあり余る無聊(ぶりょう)を耐えていることか

                    (詩集「独楽」から)
 

 ◇◆◇◆◇ 


          
     

      何という かなしいものを
      人は 創ったことだろう
      その前に立つものは
      悉(ことごと)く己(おのれ)の前に立ち
      その前で問うものは
      そのまま 問われるものとなる
      しかも なお
      その奧処へと進み入るため
      人は更に 逆にしりぞかねばならぬとは

                (角川文庫『現代詩人全集』第10巻より)
 


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更新 03/01/01