
◇◆◇◆◇ かなしみ あの青い空の波の音が聞こえるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまったらしい 透明な過去の駅で 遺失物係の前に立ったら 僕は余計に悲しくなってしまった (詩集『二十億光年の孤独』より)
◇◆◇◆◇ 子供と線路 子供はその日も忙しかった 線路を書くのに忙しかった 通一杯にどこまでも続く線路を 子供は毎日忙しかった 道はどこまでも続いていたので 白いチョークの二本の線路は いつまでたっても終点がなかった 子供は毎日忙しかった その間 愛なしでまた愛ありで 人々は本当の電車を乗り降りした 子供が線路を書いている間 人々は垣根によっかかって 笑っていたまた泣いていた 愛なしで愛ありで そして或る日 子供が電車に轢かれた時 夕陽はまるで終点のように 白いチョークの線路の向こうにかかっていた (詩集『絵本』より)