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谷川 俊太郎

(たにがわ・しゅんたろう)


その1: かなしみ

その2: 子供と線路

narato's what's new

詩人インデクス


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          かなしみ
    

      あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
      何かとんでもないおとし物を
      僕はしてきてしまったらしい

      透明な過去の駅で
      遺失物係の前に立ったら
      僕は余計に悲しくなってしまった

            (詩集『二十億光年の孤独』より)
 

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          子供と線路
     

      子供はその日も忙しかった
      線路を書くのに忙しかった
      通一杯にどこまでも続く線路を

      子供は毎日忙しかった
      道はどこまでも続いていたので
      白いチョークの二本の線路は
      いつまでたっても終点がなかった

      子供は毎日忙しかった
      その間
      愛なしでまた愛ありで
      人々は本当の電車を乗り降りした

      子供が線路を書いている間
      人々は垣根によっかかって
      笑っていたまた泣いていた
      愛なしで愛ありで

      そして或る日
      子供が電車に轢かれた時
      夕陽はまるで終点のように
      白いチョークの線路の向こうにかかっていた

                  (詩集『絵本』より)
 


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更新 03/01/01