★★★
-今年のクリスマスは、静かにすごそうね。
七面鳥買ってな。
-ジョンのビールもたくさん買ってね。
お前にはノンアルコールのシャンパンだな。
-ツリーも飾ろうよ。
そうだな、オーナメントも買いに行かないと。
ふたりで過ごせるなら、特別な物なんて無くていい。
そう約束していたのに。
「ジョン〜、メリークリスマス!」
叫ぶ声は聞こえても、姿は見えない。
それもそのはず、ジェリコは大量の荷物を抱え、前も見えない状態だった。
「早くドア開けてよ、荷物落としちゃうだろ!寒いんだから、早く!!」
人にものを頼むにしては横柄な言い方だが、
ブラッドショーは慣れきっているのか諦めているのか、彼の命令に従った。
「はいはい、おかえり。寒かっただろ、ご苦労さん。今ココア煎れてやるから。」
「うん、マシュマロ浮かべてよね。」
部屋の中は暖かく、ツリーが組み立て終わっている。
完璧なクリスマスだ。
寒さで頬をピンク色に染めたジェリコは、満足そうに鼻を鳴らしてそれを眺めた。
「料理は冷蔵庫に入れちゃうからね。先にツリー飾るだろ?あとは…そうそう」
とっておきの秘密を明かす子供のように、
ジェリコはコートのポケットへと手を忍ばせ、小さな箱を取り出した。
一通りの荷物を物色していたブラッドショーが、小首を傾げて彼の様子を伺う。
「これね、通りがかりの店で見つけたの。クリスマス前に、一つだけプレゼント」
「ありがとう。開けていいか?」
満足そうに頷くジェリコを見て、つい微笑んでしまう。
彼はいつも、自分を喜ばせようと必死になってくれるのだと思いながら。
リボンをほどき、包装紙を乱暴に破り箱を開ける。
中身は眩しい程に輝く時計だった。
「お前こんな…高かっただろ?」
驚きの余り言葉も出ないブラッドショーを見て、ジェリコは自慢げに腕を組んだ。
「黒い髪に黒い服、絶対シルバーが良いと思ったんだよな。
すっごいだろ?クリスマス限定品なんだって。
それ見た瞬間、絶対ジョンに似合うと思って。運命的ってヤツ?それで機能はさ。」
いつまでも続きそうな講釈に、ブラッドショーはつい口を挟んだ。
「おいクリス、これ一体幾らしたんだよ?」
その一言を聞いたジェリコは、やや機嫌を損ねたように膨れる。
「なんだよ、値段なんかいいじゃないか。それとも気に入らないの?」
「違う、そんなんじゃない。ただ今年は慎ましく過ごすもんだとばっかり…」
そこまで言いかけるブラッドショーの声を、ジェリコが大声で遮った。
「だってどうしてもプレゼントしたかったんだよ、何でそんなに気にするの?ジョンの馬鹿!
そんな分からず屋とは一緒にクリスマス過ごしてやんないぞ!いいのか!?」
さすがに驚いたのか、ブラッドショーはしばらく言葉を失い、
ただただジェリコと時計を代わる代わる見つめていた。
「あー…でもやっぱり…」
どうにか口を開いた所で、ジェリコの投げたマフラーが顔へ、抜群のコントロールで命中した。
「もうジョンなんて知るか!」
顔からマフラーが落ちる頃には、ジェリコは姿を消していた。
「この寒い中、一体どこへ行く気なんだ?」
怒りの矛先が自分へ向いていたとしても、あくまでジェリコが心配だった。
窓から外を見れば、雪が舞い降りてきている。
白い息を吐き、満面の笑みに真っ赤な頬をした愛しい人は、もうここには居ない。
ブラッドショーは時計を丁寧に箱に戻し、コートを羽織ると急いで車を走らせた。
ショッピングセンター、公園、それらのある大通りを流しながら探すも、彼の姿は見あたらない。
今日はジェリコを迎えに行き、彼は自分の車を使って買い物に出た。
という事はそう遠くへは行ってない筈なのに。
店という店を周り、知り合いの店員に尋ね、ブラッドショーは疲労を感じていた。
どれくらい歩いただろう、何度携帯電話に着信を入れても応答せず、無機質な電子音だけが返ってくる。「
ほんとに帰っちまったのかな、あいつは。全く…。」
トボトボと家路につくと、玄関の前に落とされた不自然な影が目に入る。
「クリス?クリスか?」
うつむいていた影は顔を上げ、頬ばかりか鼻まで真っ赤にしたジェリコの顔が情けなそうに歪んだ。
「どこ行ってたんだよ、散々探しまわったのに。寒かっただろ?早く入れ。」
金髪に点々と散らばった雪を手で払い落としながら、急いで鍵を開ける。
震えるジェリコの肩を抱いてヒーターの前に座らせると、彼はやっと口を開いた。
「車は家に置きっぱなしだったし、財布も携帯も忘れて…」
確かにテーブルの上に、財布と携帯電話が他の荷物に混ざって乱雑に置かれていた。
ここで笑ってはならないと耐えるが、重苦しい空気に耐えかねブラッドショーが口を開いた。
「俺も、プレゼントあるんだけど。」
ちらりと顔を上げるジェリコを見て、まずまずの反応と判断した彼は、
大儀そうに立ち上がるとツリーの影から大きな箱を運んで来て差し出した。
箱を見つめて動こうとしないクリスにしびれを切らしたブラッドショーは、
ついぶっきらぼうな口調になってしまう。
「早く、開けろよ。」
言われるがままに包みをほどくジェリコの目は、次第に見開かれていった。
「ジョン、これって…」
黒い長髪をかき上げ、彼は照れくさそうに頷く。
「お前が欲しがってたギターだよ。前に一緒に楽器屋行っただろ?
あの時は使わないから要らないって言ってたけど。」
相変わらず感情を包み隠さず表に出す彼に戸惑い、一端言葉を切る。
「知ってたんだよ。カタログ眺めてたり、インターネットで色々調べたりしてたの。だから」
機嫌を損ねないよう、あれこれ考えながらの台詞もここで遮られる。
突如、首にジェリコが抱きついてきたからだ。
「ジョンの馬鹿。ごめんね。愛してるよ。」
胸元で色々言われ、混乱しつつもブラッドショーは猫背になって彼を抱きしめた。
「俺が先に驚かせたかったんだ。上手く言えなくて悪かった。」
ふたりはそうしてしばらくお互いの温もりを味わった後、
どちらからともなく離れてクリスマスの準備を始めた。
「電球取ってよ。」「ん、てっぺんの星。」「電源入れるよ?」
美しく飾り付けされたツリーの下には、たくさんのプレゼントが並んでいる。
ふたりのクリスマスは、これから始まろうとしていた。
END
★★★
あああ!もう本当ありがとうございます、ゆきえさん!
皆様、ゆきえさんの作品第2弾ですよ!
ラブラブクリスマスですよ!
チャットでね、またゴーインオネダリをしたんす。
そしたらゆきえさん優しいから、なんと次の日に届けてくださったの。
嬉しくて嬉しくて。
チョッピリ涙でたよう。(ホント。)
大感謝です。ホント、クリスマス気分、復活!
あ〜も〜!ラブラブっすよ!ホワイトクリスマスっすよ!
どうしよう!(オマエはどーでもいいって)
ヌクヌクだあ〜〜!
どきどきしちゃいますね!いいなあ〜〜!(だからオマエは…)
何ってさ!じょんがプレゼント開けるのチョット催促口調になるとこ!
そう!こんな感じっすよね!絶対!
紳士なんだけど、ちょっとコウこーゆー部分がね!
私、読みます!ゆきえさんの作品読みたいですから!
ホントに、最高のクリスマスプレゼントをありがとうございました!
21/12/2002ゆきえさんに連絡を頂きました。
この元の話しはチャットで生まれた話しということで、
にこさんの協力があったことを付け加えたいと思います。
ほんっとありがとうございました。
我侭ばっかりいって書いていただいてありがとうございます!!!!
ホントに大感謝です!
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