レッスルマニア前日、クリス・ジェリコはジョン・ブラッドショー・レイフィールドの部屋に転がり込み
まるで自分の部屋だと言わんばかりにリラックスした顔で、大きく欠伸をした。
「今夜はどこにも出掛けないの、ジョン?」
眠たそうな顔でちょこんとベッドに座り、首を傾げるジェリコの姿に、ジョンは愛おしそうに目を細める。
「揃って休めるのは珍しいからな。外に出るより、ここでゆっくりしたいと思うんだが。」
備え付けの椅子にゆったりと腰掛け、やや上目遣いにジェリコを見る。
「そうだな、大舞台を控えてるし。万全の体調で臨まないと。メインを控えてるヤツがいるしな。」
「ああ、危険なラダーマッチを控えてるヤツだっているんだ。」
−去年の今頃にAPAの解散が決まり、真っ暗な気分で日々を過ごしていた。
今年のレッスルマニアでブラッドショーがメインを張ると、誰が予想し得ただろうか。
「男二人で長い事やってきたけど…今はさすがにむさ苦しいな。」
今現在自分を取り囲むメンツを思い描き、ジョンは思わず苦笑する。
「彼女辞めちまったからな。ジョンの悪ふざけ、慣れればどうってこと無いのに。」
ジェリコは事も無げに言ったが、ジョンは黙って首を振った。
悪い事をした、とでも言いたそうな顔で。
−日本公演がついこの間の事のように思える。
あの時はまだまだ先だと笑っていた大イベントが、気が付けば目前。
そのプレッシャーに、いつも押しつぶされそうになる。
「いっそシャノン・ムーアを入れてみるってのは…」
「却下、ほんとにジョンはシャノンが好きだねぇ。」
ジョンの言葉を遮って、ジェリコは枕を投げつける。
「だってオマエがこっち来てくれないんだもん。打開策としてだな、真剣に考えてんだよ、と。」
飛んできた枕を投げ返し、彼は屈託無く笑った。
「…いっそ…そっちに行った方が良いのかな、俺。」
手元に帰ってきた枕を抱え、ジェリコは体を揺らしながら小さな声で呟いた。
−初めてベルトを獲った日、あの日の事は今でも、いや一生忘れないだろう。
今は王座に執着はしてないが、欲しくないと言えば嘘になる。
いつだってあいつを腰に巻いているのは気分が良い、けれど今は無理だから。
ジョンはゆっくりと立ち上がり、そっとジェリコの横へ腰を下ろすとその肩に腕を回した。
「らしくねぇな、しっかりしてくれよ。いつも俺のケツを蹴飛ばし続けてくれないと困る。」
ジェリコは体の力を抜き、安心しきったようにベッドへと寝転んだ。
それにつられるようにジョンもベッドへ倒れ込み、しっかりとジェリコを抱え込む。
「明日、ロンに会えるかな?」
ジョンの腕の中で、ジェリコが呟く。
「会えるともさ、是非ともベルトを防衛してみせないとな。」
手近な所からシーツを引っ張り上げ、自分とジェリコをくるみながら彼は頷いた。
ジェリコもまた、シーツを掴むと自分の方へ引き寄せた。
ベッドは男二人には…しかも常人よりも大きな二人には狭いが、それは身を寄せ合う口実になる。
「ジョンが誰よりも働くチャンプになるなら、俺は誰よりも闘うロックスターになるんだ。」
今にも溶けてしまいそうな、眠そうな声で話すジェリコに、ジョンはやはり眠そうな声で答えた。
「『誰よりも歌えるレスラー』にしろよ、そっちが本業だろ。」
ふわふわのブロンドに口付けると、ジェリコは幸せそうな笑みを浮かべ、ジョンは幸せのため息をつく。
大舞台を目前に、戦士達はそれぞれ束の間の休息をとる。
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うわーい!ゆきえさんに誕生日プレゼントFICを頂きました!うーれしーいよー!
こちらは「ふたりのへや」編。「リーガルキューピッド♥編」も好きだけど、こっちも好きです。
ってねー、もう、痒いところに手が届く、切なーいふたりの心境の表現。
いろいろ微妙なふたりですものね。
あったかーいけど、切ない…。ウンウン。そうなのよ。
そしてお決まりのように突っ込みどころを作ってくれるゆきえさん。
シャノン…シャノン…。笑っちゃうじゃないのよ!(笑)
ホントは閣僚にしたいくらいなんでしょ、そうなんでしょう?なあ、じょんさんよ?!
(シャノン君の一刻も早い復活を祈っております…。)
ゆきえさんありがとうございましたー!おいしく頂きました〜〜!!
2005.04.19 od 04.23.
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