とある英霊と夜の戦争

 

 

 

 橋を渡ると、凛は郊外へと進んでいく。

 新都と言えば駅前のオフィス街しか頭に浮かばないが、駅から外れれば昔ながらの町並みが残っている。

 郊外はその中でも最たるものだ。

 なだらかに続く坂道と、海を望む高台。

 坂道を登っていく程に建物の棟は減っていき、丘の斜面に立てられた外人墓地が目に入ってくる。

「この上が教会よ。衛宮君も一度ぐらいは行った事があるんじゃない?」

「いや、ない。あそこが孤児院だったって事ぐらいは知っているけど」

「そう、なら今日が初めてか。じゃ、少し気を引き締めた方がいいわ。あそこの神父は一筋縄じゃいかないから」

 凛とアーチャーを先頭に坂を上がっていく。

 見上げれば、坂の上には建物らしき影が見えた。

「うわー、すごいな、これ」

 教会は豪華なものだった。

 高台のほとんどを敷地にしており、坂を上がりきった途端、まったいらな広場が広が出迎えてくれる。

 その奥に立てられた教会は、そう大きくないというのに、聳えるように来た者を威圧していた。

「ここじゃなければ、結婚式を挙げたいと思う場所なんですけどね」

 ライダーが、誰ともなしにぼやく。

「あら、わたしは教会より神前がいいなー。あのツノカクシってのを着てみたいな」

 軽口を叩き合うサーヴァントに、誰かが注意の声を上げようとした瞬間だった。

「こ、これはっ!」

「危ない! 凛!」

「シロウ! 下がって!」

 突然、アーチャーと二人のセイバーが己のマスターの前に出る。

「ちょっと!」

 凛が抗議の声を上げようとした、その瞬間だった。

 

 視界の全てが純白に染まる。

 

 世界の音の全てが消え去る。

 

 否、信じられないほどの光と爆音で五感が麻痺しているのだと、凛は理解する。

 音も色も無い純白の世界で、赤い背中がやけに大きく見える。

 

 やがて、閃光と音が消えた、再び夜の闇が辺りを包む。

 そして、そこには……。

 

「嘘……、教会が──消えた!?」

 そう、彼らの前に存在していたあの教会は消えて無くなっていた。

 白い尖塔も、シンボルたる十字架も既に彼らの目の前には無い。

 爆発は瓦礫すらも残る事を許さなかった。ただ、鉢状に抉られた教会の跡地が存在するだけだ。

「アーチャー!」

 凛は慌てて己が従者の名前を叫ぶ。自分たちを狙ったわけではないとはいえ、これだけの威力の攻撃から凛を庇ったのだ。果たして無事なのかと心配をする。

「大丈夫だ……、少し前髪が焦げてしまったがな」

「ば、馬鹿っ!」

 口では軽口を開くアーチャーであったが、とてもではないが無事とは言い難い姿だった。元々抗魔力が低いアーチャーだ。皮膚が所々焼け焦げ、衣服の端々がボロボロになっている。口の端からは血がにじみ出ていた。

「いや、本当に大丈夫だ、見た目ほど酷くは無い。薄皮が一枚焦げただけだ」

 そう言うと同時に、アーチャーの傷があっという間に消えていく。たしかに、傷の修復をしているのにもかかわらず凛の魔力はさほど減ってはいない。やせ我慢ではなく、本当にダメージは低いのだろう。

「限定的な範囲攻撃だったのだろう。これほどの威力でありながら周囲に対する被害はほとんど無いな……」

「なら、なんであんた焦げているのよ」

「範囲設定をした者の摘めが甘かったのだろう、結界に小さな穴があったようだ。結果論にはなってしまうが、この程度の威力なら庇わなかったとしてもたいした怪我は無かったかもしれん」

「そ、そう……」

「まぁ、女性の顔に傷がつくと大変だからな。それに、この程度の怪我なら問題無い」

「なっ……、からかってるの!?」

「いや、本心だ」

 そう言うとアーチャーは口の端を吊り上げた。その笑みに、凛の顔が真っ赤になる。

「なっ、なっ、なっ!」

「アーチャー、少しはこっちも心配してくださいよー!」

「そうよそうよ、リンばっかり不公平よ!」

 そんな様子に、爆風で吹き飛ばされていたライダーとバーサーカーが抗議の声を上げた。ライダーもバーサーカーも、何故だか街路樹に引っかかっている。

「自業自得だ。少し気を抜きすぎではないのかね」

「ひどいー!」

「横暴ですね。既にお手つきの女性には冷たく当たるのですか?」

 子供っぽく両手を上げて抗議するバーサーカーと、とんでもない事を口走るライダーにアーチャーは眉をひそめる。

「人聞きの悪い事を言うなっ!」

「そうなのですか、アーチャー」

 不意に、アーチャーの背後からおどろおどろしい声がする。

 其処には、金色に輝く聖剣を握る騎士王の姿があった。

「ちょ、ちょっとまて、セイバー! ご、誤解だ!」

「ふふふふふ、やはり一度教育しなおす必要がありそうですね」

「まて、君はそういうキャラじゃないだろう!」

「問答無用! その性根を叩きなおします!」

 毎度のように始まるサーヴァント達のドタバタを、凛はぼんやり眺める。

 そしてふと、この場で発言の無い二人の存在に気がつく。

「ちょっと! 士郎と二号(仮名)はっ!」

 そうして、視線を二人のいる位置に向け……、凛の表情が笑顔で固まる。

 二人は勿論無事だった。セイバーの抗魔力はAランクだ。アーチャーですらかすり傷の攻撃に、セイバーが傷つくはずは無い。そして、そのセイバー二人に庇われた士郎も同様だ。

 ただ、庇い方が問題だった。背後でアーチャーとドタバタを繰り広げているセイバー一号(仮名)は単純に前に立ち壁となっただけなのだろう、思い出せば先ほど視界の隅に仁王立ちするセイバーがあった気がする。

 問題は、二号(仮名)の方だ。

 彼女も、無論士郎を庇っていた。ただ、庇い方が一号(仮名)と違っていた。

 己が全身を使い、士郎に覆い被さっていた。

 端的に言うと、セイバー二号(仮名)が抱きついていた。

 さらに、士郎もセイバー二号(仮名)を庇おうとしたのか、腕を背中に回している。

 熱烈なハグ状態だった。

「二号(仮名)、やるわねー」と、バーサーカーが感心し、

「しまった、その手がありましたか」と、ライダーが口惜しがり、

「私の時よりフラグが立つのが早いですね」と、セイバー一号(仮名)が驚き、

「ふん」と、一人歩きながらアーチャーが殺気のこもった視線を向ける。

 そして……。

「ちょっといいかしら、衛宮君、セイバー二号(仮名)」

 凛が、爽やかな笑顔で声をかける。

「リンも無事でしたか……」

「遠坂、大丈夫だったか」 

 二号(仮名)と士郎がほっとした溜息をもらす。

「ええ、おかげさまで。ところで、貴方達は何をしているのかしら?」

 その一言に、セイバー二号(仮名)と士郎は己が抱きしめている存在に気がつき。

 音を立てて二人の顔が真っ赤になる。

「こ、こ、こ、これはシロウを庇おうとした結果で……」

「い、いや条件反射でセイバーを庇おうと……」

「ふーん、それで爆発が終わったとも抱きしめあってたんだ」

「い、いえ、それは……決してやましい気持ちがあったわけでもなく……」

「じゃあ、一体どんな気持ちだったの」

 爽やかな笑顔で二人を追及する凛。はっきり言ってかなり怖い。

 さすがに見かねたのか、一人すり鉢状になった地面を見に行っていたアーチャーが声をかける。

「凛、その未熟者への追求は後回しにして、これからどうする? ……ふむ、地面の一部が硝子状になっているな」

「それもそうね。忘れてたけど生存者は居そう?」

「これで生存できる人間はそうはいないと思うぞ。確かこの教会の神父は君の後見人だったと記憶しているが、案外平気そうだな」

「ふん、あいつが死んだところで喜ぶ理由はあれど、悲しむ理由なんてないわ」

 そう言うと、凛は町を振り返る。

 夜の町のあちこちに明かりが灯り、サイレンの音が遠くから聞こえてくる。

「さすがに、この規模の爆発が起きたら一般人でも気がつくか」

「そうですね、外に漏らさないように結界を張ったつもりだったんでしょうけど……」

「いいかげんな結界ね。まるで誰かみたい」

「どうする。この場は立ち去るべきだと思うが。ざっと見た限り、根こそぎ消滅してるな……」

 確かに、この場は離れるべきだろう。

 調べたいのは山々だが、ここに一般人の警察や消防が来た場合、この面子では言い訳が出来ない。魔術で誤魔化すにしても、限界がある。

「調べるのは明日にしましょう。この場は離れるわよ」

 

 

 帰り道の一行は、口数が少なかった……。

 

「あ、ライダーずるいー。そのあんまんは私が狙ってたのに」

「おや、私はピザまんを狙っていたはずなんですが……」

 

 それはそうだろう、あれ程の攻撃力を見せ付けられたのだ。

 

「ちゃんと裏のラベルを見ないからだぞ……、やっぱりオーソドックスな肉まんが一番だな」

「ふん、気が合うな未熟者」

 

 あの攻撃力は、普通の人間では再現不能。ならば……。

 

「ふむふむ、これは……ふむふむ」

「はむはむ、これは……なかなか……」

 

「って、あんたらうるさい−!」

 

 一人シリアスに決めていた凛だったが、コンビニで購入した中華まんで大騒ぎをするサーヴァントと同級生に、思わず怒鳴り返す。

「あ、リンは焼豚まんでしたっけ?」

「いらないわよ!」

「夜に食べると太るもんねー」

「そうそう……、って、ちがーう!」

 思わずペースに載せられそうになりながらも、とりあえず軌道修正を図る。

「あんたらね、アレを見てなんでそんなに暢気なの!」

 凛の剣幕に、バーサーカーがあっけからんと答える。

「あれは不意打ちだから効果があるのよ。スゴイ威力だけどね、あんな大雑把な攻撃なら一度見たわたしたちならマスターも含めて十分避けられるわ」

「本当なの?」

「嘘ついてどうするのよ。アサシンかキャスターか知らないけど、あれだけサーヴァントが集まっている所で手の内を見せるとは迂闊ね」

 その言葉に、アーチャーも頷くと補足を入れる。

「ああ、バーサーカーの言う通りだ。威力だけなら私が知る魔術師達の中でも最強クラスの攻撃だったが、タメに時間がかかりすぎだ」

「そうですね。あの攻撃はきっと、性格が悪くてお金に意地汚いナイチチ魔術師の見た目は派手ですが隙だらけのうっかり攻撃に決まっています」

「どんな評価よ……」

 ライダーの微妙に悪意のこもった評価に呆れながら、凛は二人のセイバーに視線を向けた。

 アーチャーはともかく、微妙に信用できるか出来ないか判らない二人の評価よりも、この真面目そうな──二人して中華まんを嬉しそうに頬張る姿はどうかと思うが──剣の騎士の評価なら信頼ができる。

 凛の視線に、一号(仮名)が珈琲ミルクまんを片手に答える。

「はい、私たちサーヴァントには程度の差こそあれ抗魔力が存在します。足止めの小技の魔術は基本的に通用しません。

 ──逆に、最初から大技を狙おうとしても……」

「逃げるか、逆にその隙に撃退できる……か」

「はい。あの攻撃の威力は私にとっても脅威ですが、十分対応できる範囲です。

 ──むしろ気になるのは、魔力の高まりが起きる寸前まで、サーヴァントの気配がまったくしなかった……」

「アサシンって事?」

 気配遮断のスキルを持つのは、アサシンのクラスのみだ。

「いえ、アサシンがあれだけの威力を持つ攻撃はできないはず」

「そっか、低燃費がアサシンのクラスの売りだもんね」

 不意に、黙って話を聞いていた士郎が口を開く。

「なあ、聞きたいんだがあの攻撃にマスターと逃げるだけなら、サーヴァントなら可能なんだよな」

「ええ、その通りです。シロウ」

「なら、アレにもし一般人が巻き込まれたら?」

 それは、士郎が思いついた一つの可能性。

 凛の話なら聖杯戦争の関係者の神父しかあの教会には居なかったという。

 しかし、もしもアレが授業中の学校や、買い物中の商店街で行われたら。10年前の大火災の二の舞になるのではないだろうか。

 士郎の問に、アーチャーが重々しく答える。

「残念ながら、助ける手立ては無いな」

「お前! それでも平気なのかっ!」

 この男は自分の未来の姿だという、ならば衛宮士郎の起源となった十年前の大火災も知っているはず。士郎は怒りを込めてアーチャーを睨みつける。

 士郎の視線をアーチャーは真っ向から受け止めた。

「だから貴様は未熟者だというのだ。これは戦争だ、周囲の被害を考えない者も必ず出る」

「そんなの間違ってる! 聖杯だかなんだか知らないが、こんな事をしてなんになる!」

「さてな、貴様は親父や凛を基準として魔術師を考えているようだが、連中は基本的に私利私欲で動く連中だ。この程度の破壊は序の口だろう」

「そんな・・・・・・」

「ふん、もう一つ言ってやろう。もし、聖杯を手に入れた人間が最悪の人物で、それによって災厄が起きるとしたらどうする?

 十年前のあの火災に等しい……いや、それ以上の災厄が起きたらどうする」

「ま、まさか!」

 不意に、アーチャーは己が衛宮士郎だった頃に会った、あの神父を思い出す。

 まさか、自分があの神父の代わりに衛宮士郎に問い掛けるとは、思っても見なかった。

「アーチャー! いや、シロウ!」

 不意に、セイバー一号(仮名)が静止の声を上げる。

 だが、いかに愛しい人の言葉といえども、止めるわけにはいかなかった。なぜならこの少年もまた、衛宮士郎なのだ。どうせ止めて止まるような男ではない。

「さてな。どのみちやり直しなど望むわけでもない過去のことだ。私が聞いているのはこれからの事だ。聖杯戦争に興味が無いのなら令呪を破棄するがいい。セイバーは……、そうだな、凛とでも契約すればいい。

 魔術師以前の未熟者など他のマスターも興味を示さないだろう。まぁ、最悪の場合は私が力を貸してやる」

 抗議の声を上げるかと思った凛も、黙って二人のやり取りを黙って見つめていた。

「どうする、衛宮士郎。ここが貴様の分かれ道だ。私と同じ愚かな道を歩むか、まったく別の人生を歩むか・・・・・・だ。」

 どちらを選ぶか、男にはわかっていた。

 できれば選んで欲しくは無い。だが、どうせこいつもあの道を選ぶのだろう。

「──マスターとして戦う。

 十年前の火事の原因が聖杯戦争だって言うのなら俺は、あんな出来事を二度も起こさせる訳にはいかない」

「そうか、ならば貴様はマスターとして聖杯戦争に参加するのだな」

 その言葉に、セイバー一号(仮名)がアーチャーを睨み、二号(仮名)が士郎を見つめる。

「ああ、俺に勤まるかどうかわからないけど、マスターとして戦うって決めた。

 半人前な男で悪いんだけど、俺がマスターって事に納得してくれるか、セイバー」

「シロウ、貴方がそう望むなら私は貴方の剣としてこの聖杯戦争を戦いましょう」

「納得するも何もありません。貴方は初めから私のマスターです。この身は、貴方の剣になると誓ったではないですか」

 一号(仮名)が悲しそうな笑顔を、二号(仮名)は嬉しそうな、対照的な笑顔を浮かべる。

「それじゃ握手しよう。これからよろしく、セイバー」

 そう言うと士郎は右手を差し出す。

「──」

「──」

「あれ?セイバー達って、握手はダメか?」

「──いえ、そんな事はありません。ただ突然だったので、驚きました」

「私は……、アーチャーの時はこんな事をしなかったもので」

 びっくりとした様子の二号(仮名)と、真横のアーチャーをジロリと睨む一号(仮名)。

 アーチャーは一瞬だけ苦笑いを浮かべると、再び士郎に向き直る。

 

「──忘れるな、衛宮士郎。貴様の願いは決して叶わない」

 

「なっ、どういう意味だ!」

 アーチャーの言葉に、士郎が叫びをあげる。

 だが、アーチャーは士郎には何も答えなかった。

 

 

「ここでお別れね、衛宮君」

 やがて住宅地に入り、十字路に差し掛かる。

 右に行けば士郎の家。左に行けば凛の家だ。

「お別れって?」

「義理は果たしたとは言いがたいけど、貴方もこれで聖杯戦争の事がわかったでしょう

 これ以上一緒にいると何かと面倒でしょ。きっぱり分かれて、明日からは敵同士にならないと」

 その言葉に、セイバー一号(仮名)とアーチャーの二人が微妙な笑みを浮かべる。

「えっ? あんたらはいいのか? 一号(仮名)とアーチャーって恋人同士なんだろ?」

 そこまで言って、不意に何かを思いついて士郎の顔が赤くなる。

 アーチャーと一号(仮名)が恋人ってことは……、自分と二号(仮名)がいずれ恋人になるという事に、今更ながら気が付いたのだ。

「どうしたのですか、シロウ?」

 二号(仮名)がキョトンとした表情でこちらを覗き込んでくる。

「い、いや、なんでもない……、って、遠坂!?」

 何かを察したのか、凛が本日見た中ではもっともイイ笑顔でこちらを見つめていた。

「衛宮君、自分のサーヴァントととっても仲がよろしくなったのですね」

「なんか、日本語が変だぞ!」

「誰が変ですって!」

「い、いや、なんでも無い。でも、本当に良いのか? 二人とも?」

 とりあえず、話題を変える為にも話題を二人にふる。

「こうなった以上、仕方ありませんね」

「ふん、こちらの心配より貴様自身の心配をしたらどうだ」

「でも……」

「あ、それならセイバー一号(仮名)をウチにくれない。代わりにバーサーカーとライダーあげるから」

「何、無茶を言っているのですか、リン」

「リン、人身売買は犯罪よ」

「それ以前に、私たちは凛のサーヴァントではないのですが……」

 次々に抗議の声を上げるサーヴァントに、凛はぺろりと舌を出しておどけてみせる。

「ごめんごめん。でも、これ以上一緒にいると情が移りそうだしね」

 そんな凛の態度に、シロウは素直に思ったことを口にする。

「なんだ。遠坂っていいヤツなんだな」

「は? なによ突然。おだてたって手は抜かないわよ」

 そんな事はシロウにだって判っている。

 凛は手を抜かないからこそ、情が移ると面倒だと言い切っているのだ。

「知ってる。けど出来れば敵同士にはなりたくない。俺、おまえみたいなヤツは好きだ」

「な──」

「うわー、シロウったら大胆ね」

「って、そ、そんな意味じゃないぞ!」

 思わず茶化すバーサーカーに、士郎は耳まで真っ赤にして反論する。

 ちょっぴり、横にいるセイバー二号(仮名)が睨んでいるような気がして怖い。てか、何故だかアーチャーの気持ちが少し理解できた気がする。

「と、とにかく! 明日からは敵同士だから覚悟しておきなさい!」

 凛も耳まで真っ赤だった。彼女は誤魔化すように、二人のおとぼけサーヴァントに声をかける。

「ライダー! バーサーカー! あんたら二人はこれからどうするの!」

「私は、もうしばらく凛の家に御厄介になるつもりですが」

 士郎の家には、できれば今の段階では出会いたくない人が出入りしている。彼女もできれば会いたがらないだろう。

「バーサーカーは?」

「うーん、わたしはどうしようかなー」

 バーサーカーは、凛に振り向き小首をかしげる。

 20過ぎの女性なのに、何故だかそんな彼女は幼くそして可愛く見えた。

 

 その瞬間だった。

 

 それまで夜道を照らしていた月明かりが不意に消える。

 

 周囲の音という音の全てが停止する。

 

 空気が重苦しくなる。

 

 それは、死の匂い。圧倒的な暴力の象徴。

 

「う、うそ……」

 

 バーサーカーの、美しい柳眉が驚愕に歪む。

 瞳孔が開き、四肢は硬直する。

 その表情は驚愕、恐怖……、そして憧憬。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■っ!」

 

 それは死と破壊の権化。

 鉛色の巨人が、夜の町に咆哮する。

 

 夜明けには、まだ時間がかかりそうだった。

 

 

 

 続い……ちゃったりして。

 

 

 

おまけ劇場4 「その頃の志○さん」

 

死徒A「うぎゃー!(ばた)」

志○「よわっ!」

シ○ル「早く仕事が終わりましたね。さっ、帰ってカレーを食べましょう」

○貴「ええっ!? 思わせぶりに複線を張った意味はっ!?」

シエ○「気にしなくてもいいですよ。登場予定キャラが増えすぎたので、月姫組はリストラらしいですから」

琥○「元々実力も無いのにあっちこっち手を出すのがいけないんですよ、あはー」

志○「って、なんで○珀さんがここに!?」

翡○「○貴さま、私もいます」

志○「○翠までっ! と、いうことは!?」

秋○「兄さん、私に無断でこんなところで何をしているのですか?」

志○「ナイチチ!?」

○葉「誰がナイチチですかっ!」

○貴「うぎゃー!」

 

アル○ェイド「出遅れちゃった……」

宝○爺「なお本当に出番があるかどうかは不明だ。どうせ行き当たりばったりで書いているからな」