うたを忘れた牡蠣の詩・・・なんでもかんでも

H9(1997)〜H13(2001)の句作一覧

今まで適当に作ってきましたので整理をするのは面倒です。メモの積もりで収録しました。2006/12/22

あららぎてふ一位の実もて北を去る

大雪に左義長日延べの電話あり

梅の香を帯びて佛の胎内に入る

寺の鐘野猿並びおる彼岸

彼岸会や米寿の祝いは正午から

アネモネの黒蘂だけが揺らがざる

青蔦の湯滝に打たる日なりけり

梅を干す今年の梅雨は未だ明けぬ

十六夜やピエロの顔の白き歌

バシー海峡飛び魚とび果つ水漬く屍

籠となりなお樹下にある山葡萄

六地蔵ひとり赤帽所在無し

茶の花を詠みにし母の懐かしき

春愁や山岡久乃のような人

葉桜や雨の岬のとろまんじゅう

安房の海布袋の如くに山笑う

スケッチ会無花果画材食うて終え

去来忌や1人月下の猿に擬す

敬老日千円調髪みうらの湯

信玄の三分わけ水花野かな

流れ星つと掌引く女

春の雪葉たざるや蕗の薹

枯れ野来て出会うて戻る狐かな

蜩やアンジェラスの響きあり

空蝉を出ですぐとらわる身の嘆き

宇宙船三寒四温も鳥瞰図

豆まきや豆の行方を朝追う子

虎杖や摩周の湖の暮れなずむ

豆のさやババに見せよと皆摘む孫

浴衣帯下駄一式や吊られおり

アオサ買う祖母掻くらむ母掻くらむ

そらまめや敗戦どきの父の指

花冷えや子のシャボン玉重く落つ

托鉢の僧の心や青き踏む

春雨や爾例霊の山に音もなく

くるまひとひとばしゃくるま街春雨


畑借りて芋植う頃や父母はなし

端居して一寸先も見えていず

心もて手にもて蝉の輪廻愛ず

ひまわりや今一輪の燃え尽きる

空路架橋海路混然埠頭夏

秋海棠もつれし糸を梳くうなじ

甘藷南瓜泥手で神棚に供えけり

鬼灯の赤きによぎる昭和かな

朝顔や留守の孫と花数え

萩見てもこころの揺れぬ日はかなし

世紀果てるすすきの波の行きどころ

ナナカマドハイセイコーの黒き尻

鮭半身アルゼンチンの肌の色

こぶし白花紅くして小諸なる

山うどや山うばと食う味噌のぬた

竹の子や青きをなごを剥く心地

筍や剥いて剥いても句にならじ

こぶし連れ佐久に咲いたかさくらはな

晩秋と殊更言うは気恥ずかし

夕電車チロルハットのすすきかな

庭みかん野鳥にやれず光ディスク

画家作家故郷を語るやみんな秋

秋冥菊赤は根付かんなんでやん




2006・7・30収録 中国東北部(旧満州)2001

春雨や爾霊の山に音もなく       旅順

汽笛霧湧き上がり来る谷の底     撫順

くるまひとひとばしゃくるま街の雨    長春
 
9・18巨岩に彫られ立夏かな      瀋陽

松花江黄砂吹き抜く和庭園     ハルビン

「畑」 2004・7 一時帰宅を許されて(1)

茄子の花思わるほどのうす紫

茄子の花咲き終えし頃退院す

韮の花杖に頼らず立てた朝

葉唐辛子去年は借畑(はたけ)で作りけり

鷺草やブート忘れたコンピュータ

鷺草や舞うかに見えて風を待ち

2006/6/7
「庭の蕗」 一時帰宅を許されて(2)

庭の蕗にて食う朝や足るを知り

庭の蕗おかか油揚げうす醤油

明日の分余して煮るや庭の蕗

今日もまた庭蕗食うて小粋がり

2006/6/7



著莪(しゃが)の花
公園の階段のほとり シャガは 今年も静かに群れる



著莪の花胡蝶花(しゃが)とも呼ばれつつましく

手摺なき階段きつし著莪の花

著莪咲いて一寸の虫生き返り

2006・5・18
入院の頃 やっと一句という気になって

「竜胆」


竜胆に若き挫折の匂いあり

行き暮れて竜胆色の悔いのこり

竜胆やか細くなりぬ萎えた腕

2004・7・31日記より

2006・6・7


短歌     2006.4.2

展覧会


今年また 展覧会は 無事終わり 絵を描く数の 少なさを恥じおり

絵を描くに まさる楽しみ 文を書く 楽しみ教えた 人懐かしむ

いくたびか 絵を描くたびに 迫りくる 池の樹を描く ひたむきなこころ
俳句   2006・3・19

ひごろ


啓蟄や 杖突男も 空仰ぎ

春嵐 落第告げる 夢の人
短歌      2006.3.19

思い


  ともかくも 生かされて来し わが命 花見むしろか 孫らの馬か

今日もまた ホームページに 語りおり わが語る友 顔見えなくに
短歌      2005.11

生活


みととせも 過ぎゆき日日を 懐かしむ 同窓会の 誘いも空し

階段を 杖を頼りに 降りてゆく ただ一杯の ワイン待つ店

ある日より 利かぬ体の 連れづれに 半合酒の 道草覚えぬ
短歌    2005.11

庭先

ちらちらと 藤棚柱に 映ゆ夕日 風にそよぐ葉 描いてみせる

あしたばの 花とも見えぬ 緑かげ 秋冥菊の 白き花一つ

近詠10句