朝からステーキ
思い起こせば、自分の血糖値が高くなったのに気付いたのは、確か2000年の春先、新しい北海道工場に赴任後4ヶ月あまり経った、初めての社内健康検診の時でした。
自分の健康に異常があるとは全く気づかず、単身赴任の気楽さをイイことに、毎夜街に繰り出しては、北の海の幸・山の幸に舌鼓を打って、飲んでいたころでした。
会社での、いつもの春の健診と同じように、紙カップに取った尿に試験紙を入れて紙の色の変化をサンプルと比較する検査で、異常が見つかり恵み野病院(北海道・恵庭市)での精密検査を宣告されました。
精密検査の結果は「血糖値500以上、即入院」という思いもかけないものでした。
恵み野病院は、我々の新しい工場の指定医療機関になってもらうお願いに行ったばかりだったし、わたしが単身赴任で健康管理ができていないことを読み取られての入院命令であったと思われます。
初めての入院は、毎食病院食だけを食べること、昼間は会社に行って勤務してよいが昼食も病院に帰って摂ること、の外目には結構な条件付きでした。
勿論、禁酒、夜の外出も駄目、しかし、夕方は運動も血糖値コントロールに大切なので、病院隣のスポーツセンタープールに泳ぎに行って良いとのお許しは得たのが唯一の慰めでしたが、すぐ治るのだと安易に考えていたのも事実でした。

この時以来、病院も転々と変わり、延々と薬を飲み、カロリー制限食を摂り、血糖値に一喜一憂の日々、終には脳梗塞に罹ってしまいましたが、生活の本質は変わらないでいます。
その間に世の中に「生活習慣病」なる言葉をはじめ、「スリム」「メタボ」「ダイエット」などなどが生まれ、言わば自分が自慢にならない先駆者になってしまいました。
「生活習慣病」とはよく言ったもので、生活習慣を変えることは自分で出来そうに見えて、なかなか難しい。
「雀百まで踊りを忘れず」です。ダメですねえ。
入院中は出来ても、退院すると戻ってしまう。これの繰り返しに陥るのです。
最近は、以前ほど食前食後の変化が大きい「血糖値」はそれほど注目されず、医師は「HbA1c」または略して「A1c」の値を注意するようになりました。
これは血液中の赤血球の中のヘモグロビンというタンパク質が、血液中のブドウ糖と結合して出来るグリコヘモグロビン(HbA1c)の量を%で表すのです。この量は、日々の変化量が大きい血糖値より、ここ1,2箇月に積算された結果を示すことから、生活習慣がわかることが注目されているのです。
先週のNHKテレビ番組「ためしてガッテン」を視ていて、血糖値コントロールの全く新しい着眼点に瞠目した人も多いのではないかと思いますが、わたしも目を見張りました。
毎食を食べる順番が「野菜」が先か「米やパンなど糖質」が先かで、食後の血糖値上昇の度合いが大きく変わることが分かったというのです。これは大発見だと思います。
もちろんこれを自分で測定するのも大変な上に、食べる順番に依る着想がわたしにはありませんでした。
第一、野菜を先に食べると良いのかア、と思って自分の食事を見直すと、良いも悪いも、先に食べるほどの野菜らしいものは食べていないことに気がつきました。
そこで、自分で追試(本当かどうか試験を自分でやってみること)をやってみることにしました。しかも、愉しくやらなくてはつまらないので、今が旬の春キャベツを使う山男料理風を思いつきました。キャベツを生でかじるのも悪くありませんが、入れ歯にはチョット無理です。
ロールキャベツやキャベツ煮など普通の料理は料理の手間がかかります。
そこで、10分足らずで出来る「キャベツ・ステーキ」を作ってみました。
それは適当な大きさの丸キャベツを、厚さを2〜3cmの輪切りにし(実は片麻痺の自分には利かぬ右手に包丁を持たせる、最も危険な包丁作業ですが)、その姿のままフライパンに入れ、好みの塩コショウをし、50ccほどの水を加え、蓋をして7,8分コンロ加熱するだけです。
わたしは割った卵一個を最初からキャベツの上に乗せますが、ハムでもベーコンでもいいでしょう。
半熟卵が欲しい時には、割卵をキャベツの上に置くタイミングを後にずらします。(これも利かぬ右手でフタを取り、卵を左手で卵を割り入れる片麻痺者の離れ業です)
最初にオリーブ油を適当に垂らしておくのも乙なものです。しかし、バターも旨いかと思いますが、主旨に反するのでお薦めしません。
先ずこの3日間、朝食と昼食はまずコーヒーの前に、このステーキを嬉々として食べます。
簡単な山男料理というか山賊料理ですが、あまりの美味しさに、春キャベツが旬を過ぎたらどうなるのだろうと心配です。
このステーキを1個平らげると、もうお腹がある程度足りて、ごはんもパンもなくてもいい気になります。
せいぜい、甘くない小さなビスケットを1,2枚食べてコーヒー1杯でこと足ります。
しかし、まだまだ、どこまで続くかわかりませんし、結果も出たわけでもありませんが、ここのところのズボンのサイズの隙間が多くなってきたのと、身が軽くなったような感触から言って、過去にはなかった実感です。
月末の横浜市南部病院での定期検査で、HbA1cの数値が今の8%台から6%台に改善されるか(標準値は5.8%以下と言われている)、あるいは、それ以下になるか、取らぬ狸の皮算用、検査通院の結果が楽しみになります。