野球少年賛歌

 孫のヒロくんが、天気が良い土曜日と日曜日の朝8時前に自転車に乗って出かけて行く。

自分の白いボディカラーの自転車にまたがって。

ある日は彼の父さんか母さんの車で送ってもらうこともある。

野球のユニフォームにヘルメットを被り、バットの入った袋を肩に掛けている。彼は小学校5年生になってから、友達の縁があって少年野球チームに入ったらしい。

野球をやるフツーの子は、4年生になる前にチームに加わっているから、出だしに既にハンディキャップがあるのだろう。短時間に追いつくのに励んでいるようだ。

 一度、ある夏の日に小学校校庭で、少年野球の練習風景に出くわしたことがある。彼はノックの球拾いで駆け回っていた。集合の合図が監督さんから出ると、遠くに居た彼は一足遅れて集合場所に集まったようだった。

監督さんが一言二言彼に命令すると、彼は頷いて元居た場所に戻り、そこから駆け足で集合場所に戻ってきた。

自分の行動が、監督さんの要求に合わなかったのを、自分で悟ったのであろう。素直に集合しなおした。

日ごろ、わがままで育っているのではないかと心配なジジイの僕には嬉しかった。

 多分、監督さんは野球が好きなればこそ、家庭の事情を犠牲にして、自分の時間の大半を少年野球につぎ込んでおられるだろう。頭が下がる。

 自分は僕を頭に男ばかりの5人兄弟だったが、スポーツが得意な兄弟は一人も居なかったので、チームワークに慣れていなくて孫のヒロくんの素直な行動にも驚きと感動を覚えた。

 休みの日も書斎の窓から朝早くからユニフォームで出かけ、暗くなるまで帰ってこないのが分かる。

暗くなってへとへとになって帰ってくるなり、玄関に座り込んでしばらく動かないのをそれとなく見ていると、可哀そうな気がする。

「もう止めた!」と弱音を吐くんじゃあないだろうか、と心配だ。しかし、孫の心配をするあまりジジが口出することも無用である。せめて明日の日曜日くらいは雨が降ってくれないかなあと、天に祈るのである。

しかし、天は無常、ここのところ土日に雨が降ることは滅多に無かった。

 年が代って冬休みの1月2日、驚いたことに野球の召集が掛っていた。

従弟たちが集まって年に一度の正月をしようという日に、野球の練習である。

ヒロくんが暗くなって帰ってきたときには、もう従兄弟たちは帰ってしまった後だった。大声でぷんぷん怒っている声が聞こえて、ジジババも遣る瀬無いことこの上ない。

 1月5日、6日も天気が良くて、1月12日、13日も天気が良くて野球練習が続く。

せめて3連休くらいはヒロくんのために雨になったらよいと、ジジババの祈りが通じたのか、14日朝は霙だった。

本降りだった雨が9時頃雪に変わった。珍しく午後になっても雪は間断なく降り続き、積雪20cmになろうかと思った。案の定、耐寒服に身を固めた孫の姉弟二人が2階から降りてきた。

庭で大はしゃぎの雪だるま作りだ。瞬く間に雪達磨が出来て、目鼻の材料を物色していたが、うらなり金柑の実が木に残っているのを見つけて様になった。雪だるまというよりスノウマンである。

雪は、ヒロくんに、アス姉さんに何よりの贈り物!
 Hurray Hurray (フレーフレー) 少年野球! 雪にも万歳! ジジババも嬉しいよ!