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スルースボックスの紹介と使い方1
CopyRight2002 T.Nomura
 
●スルースボックス
日本名は、一応「樋流し」、および「板ネコ」。川の水の流れを利用した砂金
の採集設備や道具をさす。カリフォルニアのゴールドラッシュ時代に実用化さ
れた当初は、3〜5mの長さの物をいくつも繋ぎあわせて、全長数十m以上で
使用していた。これは川の水を樋に流し、川底を干上げて掘るためでもある。
一方で初期のスルースボックスには、単純な角材の横木がブロックリッフルと
して用いられていたので、細かい砂金の回収率が低く、長い全長が要求された
事も事実である。ある本によると、初期のスルースボックスは長さ200フィート
で砂金回収率は80%という。(Methods of Placer Mining, by Garnet Basque,
p.60)その後、ハンガリアンリッフル、エキスパンドメタル、マットの導入に
より、近代のスルースボックスは生まれ変わった。



 
現在、アメリカで「スルースボックス」と言えば、全長1m程度のものをさす。
砂金回収率は最初の6インチ(15cm)で90%あると言う。もちろん一人で川の流れ
に漬けて使うものである。ところが明治30年代に日本に入ってきた時のスルース
ボックスは、非常に長かった。これに日本人は「樋流し」という訳を付けた。そ
の後スルースボックスは日本で独自に進化して、それまでの「藁ネコ」に取って
代わる「板ネコ」が生まれ、流し掘りで使われるようになった。全長1m程度の
ものである。以上の経緯により、砂金に関する日本の多くの文献が「樋流し」と
「板ネコ」を区別しているが、英語では区別はできない。どちらも「Sluice」で
ある。現代のアメリカにおいては、1mほどの短い物を指すことは覚えておいて
いただきたい。(なお、スルースボックスの少し前に「トング・トム」という物
があったが、これは後日説明する。)
 
 

 さて、近代のスルースボックスであるが、市販品の多くはアルミで本体が作
られている。木製より浮きにくい。(アルミ以外の材質として全プラスチック
製がある。)

 

また多くの製品が、上流側に水を左右から集める「受け口」を持
ち、少ない水量の時でも使えるように工夫してある。リッフルは「ハンガリア
ンリッフル」という独特の形状の物が使われ、砂金の回収率を上げている。



 
 
 

リッフルの下流側に渦(Back eddy)が生じ、低圧域に重鉱物がトラップされる
という原理は、昔からのブロックリッフルと同じであるが、ハンガリアンリッ
フルでは、低圧域の圧力差が大きく、砂金が逃げる確率が大変低い。

 
 

また、小石がリッフルを越えて流れ易いのも利点である。市販品のリッフルを比べてみ
ると、ハンガリアンリッフルと言っても形状はバラエティーに富んでいる。



 
 
 
 

 次に「エキスパンドメタル」を説明する。実は、これは日本語。正確な英語
は「expanded metal」である。金属板に互い違いの切れ目を多数入れてから強
い力で引っ張ると、穴が菱形になって、全長が数倍に延びる。これがエキスパ
ンドメタルである。工事現場のキャットウォークなどに使われている、軽量な
割に曲げに強い材料である。この金属の網の微妙な傾きが、一面の細かいハン
ガリアンリッフルになっている。使用上の注意は「逆向きに使用しないこと!」
である。金網が下流側に倒れかかった様な向きに使用する。大きなリッフルを
設置せずに、エキスパンドメタルとマットだけで細かい砂金を回収する地域も
あるそうな。
 最後に「マット」。昔はシュロや椰子の実の線維、毛布などが用いられたと
書かれている。近代では「ノーマッドマット」が最適とされる。太さ1mm位の
プラスチ線を絡み合わせたマットで、ビルの入り口によく置かれている「泥落
とし」である。砂金の回収率、溜め込む量、洗い出し易さ、全ての面で理想的
である。ただ、このマット、非常に値段が高い。次にお奨めなのが「アストロ
ターフ」。線維が「Ω」字状に付けてあり、列の間に砂金が溜まる。回収率は
ノーマッドマットと変わらないが、溜め込む量と洗い出し易さで、やや負ける。
マットを使用する注意点は、完全に砂金を洗い出さないと、次に使用するとき、
砂金が紛れ込むことである。「サンプリングポリューション」と言う。「砂金
産地の新発見!」と喜んだら、実はよその砂金が紛れ込んでいた!!という悲
劇になりかねない。
 なお、先ほど触れた、「全プラスチック製スルース」は、マットを用いない
ので、サンプル汚染が紛れ込むことがない。
したの写真で、左側がノーマッドマット、右側がアストロターフである。
 

ハイバンカーは給鉱口で大きな石をふるい分ける。金網や格子を使う。



 
 
 
 

簡単な装置とスルースを組み合わせて、ハイバンカーを自作できる。



 
 
 
 

ドレッジやハイバンカーに使う「サクションノズル」です。
これで砂ごと水を吸い上げます。
 

これはドレッジに使われている「パワージェット」です。
「サクションノズル」と同じ原理で働きます。

 
 

これはハイバンカーで使われているリッフルの固定法法です。
ワンタッチで外せ、溜まった砂を集められます。

 

 
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