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メールで次のような質問を頂きました。高校の地学の授業で、地球から火星に行って火星で過ごした後、地球に帰還するまでの過程を考えるという宿題が出たそうです。 地球を出発してホーマン軌道を通り、火星に到着した後、火星を出発して再びホーマン軌道を通って地球に帰還するまでの日数を求めよ。 地球も火星も円軌道を描いて公転していると仮定し、火星の平均距離は a=1.523AU(天文単位) 1年=365日として計算せよ。 という問題です。 高校生の問題としてはかなり高度な部類に入ると思いますので、解答を考えてみました。図を見ながら考えましょう。
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図Aで中心の黄色い丸が太陽(S)、内側の青い丸が地球(E)、外側の赤い丸が火星(M)です。 必要な計算をしておきます。 火星の公転周期(T)はケプラーの第3法則(調和の法則)により、T^2=a^3 です。 T=√(a^3) =1.874年 =687日 です。 ホーマン軌道とは、地球と近日点、火星を遠日点とする楕円軌道です。時間はかかりますが最も経済的に火星に到着できる軌道ですから、火星での生活のための大量の荷物の運搬などはホーマン軌道が有利です。図ではピンク色のラインで示されます。 近日点が1AU、遠日点が1.523AUなので 平均距離a=1.2615AU 同じくケプラーの第3法則を用いて =1.417年 =517日 です。 火星への道筋は軌道を半分行くだけで到達できますから、地球を出発してから259日で火星に着きます。 地球がE1の位置にあるとき出発すればM2の位置で火星に到着します。火星の方が地球より公転角速度が遅いので、火星がM1の位置にあるとき出発しなくてはなりません。 E1・S・M1のなす角度が44度のときに出発すればいいことになります。
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宇宙船が火星に到着したとき(M2)、地球は出発時点から259日経っていますからE2の位置にいます。M2・S・E2のなす角度は75度です。 帰還するときは火星と地球の位置関係が良くないとホーマン軌道を通って帰ることはできません。 上で、M2・S・E2のなす角度は75度と書きましたから、今度は地球に到着できるように帰るには火星出発時点の火星の位置より、地球が75度遅れている位置で火星を出発しなければなりません。 75度進んだ位置から75度遅れた位置まで動くには両星位置関係が210度進まねばなりません。(+75度から+285度まで動きます) 地球が1日に動く角速度は ωe=360/365度 火星が1日に動く角速度は ωm=360/687度 です。 この差がR日分積もって210度になるには R(ωe−ωm)=210 R=210÷(360/365−360/687)=447日 かかります。 つまり火星と地球の位置関係が最良になるまで447日火星で過ごさなければなりません。その間に地球は441度公転してE3の位置、火星はM3の位置にいます。 E3・S・M3のなす角度が75度です。
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火星を出発して地球まで帰り着くには、ホーマン軌道で259日かかります。火星がM3の位置で出発し地球がM4の位置にあるとき、地球へ帰還することができます。 出発してから 259+447+259=965日 かかることになります。約2年8ヶ月です。 計算は有効数字3桁でおこないましたので正確にやれば数日異なる結果になるかもしれません。さらに火星軌道も地球軌道も円軌道ではなく楕円軌道なので常に太陽からの距離が同じではありません。概算だと割り切ってください。 実際の火星旅行を考えると、経済的なホーマン軌道を通って建設資材や水・食料などを運ぶ貨物船を何基も飛ばして火星の周回軌道に乗せておき、人間は数ヶで到着できる高速ロケットを使って行くというのが現実的です。 宇宙空間には遮るものが何もないので強い太陽フレア(太陽面の爆発現象)や深宇宙からのガンマ線バーストなど宇宙飛行士の命が危険にさらされる可能性は高いのです。できるだけ短時間で火星に到着してリスクを減らす必要があります。 火星周回軌道上で先に飛ばした資材と合流し、そこで着陸準備をするのが最も安全でしょう。 前に戻る ホームに戻る |