火星をテーマにした映画

 H・G・ウェルズの「宇宙戦争」以来、火星や火星人をテーマにしたSF小説、映画は数知れません。ここでは火星を取り扱った映画の紹介をします。
 1960年頃までは「宇宙」とえいば「月」と「火星」でした。侵略ものの異星人のふるさとは「火星」以外に考えられないような時代だったのです。しかし太陽系がありふれた天体だという認識が広まるにつれ、異星人のふるさとは他の恒星系にある「惑星」へと変わっていきました。「猿の惑星」や「スターウォーズ」を初めとする宇宙もので、火星は忘れ去られた存在となっていました。
 「火星」が映画で復活したのは「トータルリコール」でしょう。この作品では火星は異星人のふるさとではなく開拓されるべき惑星として描かれています。火星は人々の生活の場となるべき新大陸というわけです。

超人対火星人(FLASH GORDON:SPACESHIP TO THE UNKNOWN)
ユニヴァーサル 1936 フレデリック・ステファニ監督 バスター・クラブ主演
 無声映画時代のフラッシュゴードンシリーズの中の第1作、フラッシュゴードンはスーパーマンとならぶ1930年代のアメリカの人気コミックで何度も映画化されている。
 惑星モンゴからの放射能によっておこる怪現象を阻止すべく、科学者達はフットボール選手のゴードンを惑星の送り込んで悪の皇帝ミンに戦いを挑む。火星だかモンゴだかわからないが、異星人=火星人であった時代の映画である。
 この作品は後(1980)にリメイクされているが、その時はファンタジー的な作品に仕上げられ、ミンはモンゴ帝国皇帝として描かれている。クイーンのテーマ音楽もヒットした。
火星地球を攻撃す(FLASH GORDON:THE DEADLY RAY FROM MARS)
ユニヴァーサル 1939 フォード・ビーブ監督 バスター・クラブ主演
 「宇宙レーザー乱戦」というタイトルだったが後に「火星地球を攻撃す」というタイトルで公開された。フラッシュゴードンシリーズ第3作(第2作は日本未公開)
 謎の洪水、地震、ハリケーンが地球を襲う。天文学者の助手として惑星モンゴへ調査に向かうフラッシュ・ゴードンは、火星から発射されたニトロン光線で地球の大気を吸い取っている悪人と対決するという話。手塚治虫もこの映画に触発されたそうである。
 写真は1980年(日本公開1981)のフラッシュゴードンのチラシである。
火星探検(ROCKETSHIP X-M)
東宝配給 1950 カート・ニューマン監督 ロイド・ブリッジス主演
 月を目指して飛行していた宇宙船が航路をそれて火星に着陸した。そこはかつて高度文明を誇った火星人が、核戦争の末荒廃した生活を送っている世界だった。松竹配給の「月世界征服」(1950)に対抗して作られた作品。

凸凹火星探検(ABBOTT AND COSTELLO GO TO MARS)
ユニヴァーサル 1953 チャールズ・ラモント監督 バット・アボット、ルー・コステロ主演
 当時の人気コメディアン、アボットとコステロのコンビが登場する。火星探検に出発したものの操作を誤ってニューオーリンズの片田舎に着陸してしまったり、金星で美女に大もてするなどのドタバタ喜劇映画。
惑星アドベンチャー
IP 1953 ウィリアム・キャメロン監督 ジミー・ハント主演
 少年がUFOを目撃するが大人達は誰もその話を信じようとはしない。そのうち火星からの侵略者によって街の人たちが次々にコントロールされていく。日本では1979年に日本語吹き替え版のみが公開された。後に「スペース・インベーダー」(1986)としてリメイクされた。
 「盗まれた街」(1956 後にリメイクされ「SFボディスナッチャー」(1978))や「光る眼」(1960 後にリメイク(1995))、「ゼイリブ」(1988)、「アライバル」(1996)などの侵略ものの古典とされる。
 写真は1979年日本公開のときのポスターである。
宇宙戦争(THE WAR OF THE WORLD)
パラマウント 1953 バイロン・ハスキン監督 ジーン・バリー主演
 酸素の欠乏に悩む火星人が緑あふれる地球を侵略してきた。火星人の円盤が放つ熱光線で地球は壊滅状態になるが、地球のバクテリアに対する抵抗力が無かったため自滅してしまう。
 H・G・ウェルズの宇宙戦争の映画化作品。「インディペンデンスデイ」(1996)は「宇宙戦争」のリメイクと考えることもできる。


宇宙征服(CONQUEST OF SPACE)
パラマウント 1954 バイロン・ハスキン監督 ウォルター・ブルックス主演
 地球軌道を回る人工衛星から火星を目指して発進した宇宙船が太陽系探査の緒についた。劇中では「宇宙征服は神への冒涜である」というセリフが今では陳腐に聞こえる。
大宇宙基地
配給ヘラルド 1959 エム・カリューコフ監督 イー・ペレウエルゼフ主演
 秘かに火星を目指しているソ連の宇宙船が、遭難した某国(アメリカ?)の宇宙船を救出したため燃料不足になり小惑星に不時着し窮地に陥る。ソ連の国威発揚映画。
火星着陸第1号(ROBINSON CLUSOE ON MARS)
パラマウント 1964 バイロン・ハスキン監督 ポール・マンティ主演
 火星に不時着した主人公の海軍中佐がひとりぼっちでサバイバル、飛行士クリストファーは砂時計を作り、酸素を生む水晶を発見し、サツマイモみたいな水中植物の実をかじって飢えをしのぐ。そこで遭遇した宇宙人とともに極地をめざしていくというストーリー。原題が示すとおりSF版「ロビンソン漂流記」である。後に似たコンセプトで「第五惑星」(1985)がつくられた。
彗星に乗って(On The Comet)
ケイブルホーグ 1970 カレル・セマン監督 エミル・フォーバス主演
 彗星の接近によって地球の表面の一部が人間ごと彗星に吸い上げられてしまう。人々は彗星の上で生活しなければならない。やがて彗星は火星に接近していく。
 ジュール・ヴェルヌの空想小説をもとにチェコで映画化された作品である。東欧の作品らしいポスターが面白い。
宇宙戦艦ヤマト
ウエストケープコープレーション 1977 舛田利雄監督 声:富山 敬、麻上洋子
 ガミラスの遊星爆弾で汚染された地球を救うために、コスモクリーナーを受け取りにイスカンダルに向かう宇宙戦艦ヤマト。最初の接触シーンの舞台が火星である。
 ところで、松本零士はいつ宇宙戦艦ヤマトを考えたのだろう? 初期の作品「電光オズマ」(1965年頃?)で「宇宙戦艦ヤマト」の巻というのがあった、もっともその時のヤマトはラグビーボールみたいな形だったが、そのころから構想を暖めてたのかもしれない。1974年からのTVシリーズを抜き出してそのまま映画化した安手の作品。しかしヤマト復活でファンは狂喜・・・好評だったため以後ヤマトシリーズが続々登場した。
カプリコン・1
アソシエイテッド・ゼネラル・フィルムズ/ITC 東宝東和 1977 ピーター・ハイアムズ監督 ジェームズ・ブローリン、エリオット・グールド
 初の有人火星探査船「カプリコン1」に乗り込んだ3人の飛行士は発射直前に「カプリコン・1の生命維持装置に故障が発見された。だが、国内世論の宇宙計画の無関心ぶりを、アポロ11号の月面着陸当時の興奮を再燃させるためにも、カプリコン・1を火星に着陸させねばならない!」と言われ、火星に行かず地球のスタジオで火星着陸を演技させられた。
 しかし実際の帰還船が地球到達直前に失われ、飛行士3人は死んだことにされてしまう。
 当時からあった「アポロは月着陸していない」という説を元ネタに作られた作品。
マック(M.A.C.)
日本ヘラルド 1988 スチュワート・ラフィル監督 ジェイド・カレゴリー主演
 地球から打ち上げられた無人探査船に紛れて珍妙な火星人の親子がNASAの研究所へやってくる。家族とはぐれた火星人の子供と地球人の少年エリックとのあいだに友情が芽生える。マクドナルドとコカ・コーラの全面タイアップでつくられた作品。
トータルリコール(TOTAL RECALL)
東宝東和 1990 ポール・バーホーベン監督 アーノルド・シュワルツネッガー主演
 フィリップ・K・ディック原作の「追憶売ります」の映画化作品。地球の植民星として鉱石採掘場となっている火星の支配者を倒すために記憶を取り戻した主人公(シュワちゃん)が活躍する。火星空港での変装を解くシーンが有名。


 
マーズアタック(MARS ATTACKS !)
ワーナーブラザーズ 1997 ティム・バートン監督 ピアース・ブロスナン主演
 無数の円盤が火星から地球を侵略してくる。火星人はアメリカ大統領をチビッコ光線で縮小して踏みつぶすなどの乱暴狼藉をはたらく、ラジオから流れる音楽を聴いて脳ミソがパンクしてしまう。1950年代を思わせる脳ミソお化けの火星人のコミカルな動きが楽しいコメディタッチの作品。


 
レッド・プラネット(RED PLANET)
ワーナーブラザーズ 2000 アントニー・ホフマン監督 バル・キルマー、キャリー・アン・モス主演
 2050年、テラフォーミング中の火星に不時着した6人の宇宙飛行士。火星はすでに呼吸ができる程度の酸素でおおわれていた。地球へ戻るための脱出ロケットへ急ぐ飛行士にロボットや線虫などの危機が次々に襲ってくる。


 
ミッショントゥマーズ(Mission to Mars)
ワーナーブラザーズ 2000 ブライアン・デ・パルマ監督 ゲイリー・シニーズ主演
 連絡が途絶えた探検隊を救出するため火星に到着した宇宙飛行士達を不思議な現象が襲う。暗号を解読した一行は古代火星人の残した人面岩から地球人と火星人のルーツを知ることになる。「未知との遭遇」の火星版ともいえる内容。