使用器材:Nikon F3 , Nikkor 18mmF3.5 , IKELITE housing
 Location:西表島ヨナラ水道

 このマンタに出会ったのは、水深15mのところでした。この日はなぜか潜る時から会えるような予感がしていました。マンタウォッチングはこの時が初めてではありません。しかし、これまでは全て空振りでした。相手は自然界の生き物です。意思の疎通すら叶う訳が無いのです。いくら会いたいと願っても会えない事の方がほとんど。でも、この日はなぜか会えそうな予感がしてました。
 水中に入ってからも、予感は続いていました。何度も何度もカメラの絞りとストロボの光量設定を確かめました。めったに会えるものでは無い。そう思うと、カメラマンとして失敗は許されません。来たるべき時に備え、何度も何度もカメラの設定をチェックしました。当然、周りに気を配りながら。
 それからほんの少しでその時が来ました。彼女はふわりと、しかしかなり速い速度でやって来ました。嬉しかった。興奮した。しかしカメラを手にした私は興奮してばかりもいられないのです。
 それからはもう夢中でシャッターを押しました。夢中で追いかけました。しかし、近づきすぎて触ってはいけないと、気も使いました。それでも今思えば相当近づいてしまったように思います。
 とにかく今思い出しても興奮する一時でした。マンタを見送って気がついた時には水深30mにも達していました。かなり危険な水深です。興奮の真っ只中、ゆっくりと水上へと上がっていきました。でも、水上に上がるあいだも、その興奮は冷める事はありませんでした。
 水上に上がってから気が付いたのですが、シャッター速度が1/15秒になっていました。興奮していてダイヤルが回ったのも気が付かなかった様です。1/15秒といえば陸上で落ちついて撮っても手ブレするであろう速度です。泳ぎながらの撮影、ましてや興奮状態。予測される結果は絶望的でした。
 しかし、写っていました。ひどいブレもなく。広角だったおかげなのか、それともダイヤルは撮影が済んだ後に回ったのでしょうか。今となっては判りません。でも結果は満足の行くものでした。ただただ、ラッキーでした。