我が写歴 : 目の快感の発見そしてテクニックへの目覚め
水中写真を撮り始めてから、それをきっかけにして、写真を撮って鑑賞することに目覚めた。そしてそれを一番推し進めたのはポジフィルムであった。
記憶をたどると、水中写真期より前はネガフィルムばかり使っていた。その頃は風景写真も撮ってはいたのだが、あがってくるプリントの色は目で見た記憶にある物とは程遠く、くすんだものばかりであった。光にきらめく緑、目にも鮮やかな黄色、といったものはすべて輝きを失っていて、いつもプリントを見てはがっかりしていた。今にして思えばこれはすべてオートプリンターマシンの性能とネガの色コントラストが低いという特徴のせいであった。
何度風景を撮っても、自分の記憶とは程遠いプリントのくすんだ色に嫌気がさし、次第に学友の記念写真ばかり撮るようになっていったというわけである。
話は戻って、水中写真期。水中写真の入門書には、使用フィルムにはポジフィルムがいいぞと書かれていた。海の青、空の青、サカナの原色を再現するのには、自分で撮った色がそのまま再現されるリバーサルの方が良いよ、ということである。
入門書に従いリバーサルフィルムなるものを使ってみた。上がってきたフィルムを見てビックリ!なんと、自分が見た色...いやそれ以上の鮮やかな色彩がそこにあるではないか。
ちょうどこの頃はフジフィルムからベルビア(RVP)が発売された頃であった。ベルビアは今でも賛否両論の鮮やかすぎる発色のフィルムである。特に青と緑。これが海の写真に向かないわけがない。という事で、ベルビアで撮った水中写真は私の目に付いていたウロコをポロポロと落してくれ、同時にポジフィルムを光に透かして見た時の目の快感にも目覚めさせてくれたわけである。
これ以降は、写真の基本である絞りとシャッター速度について考えざるをえなくなった。
ポジフィルムは露出の設定がダイレクトに現れる。アンダー露光、オーバー露光の失敗写真は当然ながら目の快感を呼び起こしてはくれないので、適性露出と言うものに神経を使うようになった。また、当時撮っていた水中写真は、基本的にデイライトシンクロというストロボ光と自然光のバランスを考えねばならない撮影であり、そこで光のバランスというものを憶えるに至った。さらにチョロチョロ動くサカナには一発必写を余儀なくされ、小さな生物のマクロ撮影は被写界深度の知識とシビアなピント合わせを強要させられた。
今にして思えば、私の今のテクニックや知識のベースは、ほとんど全てこの水中写真期に身に付いていったのである。
水中写真期であらかたのテクニックを身につけた私は、相変わらず目の快感に飢えていた。
さすがに毎週毎週水に潜りに行くほどのガッツはなかったので、陸上写真も撮り始めた。ネガ時代とは違い、ポジで見る風景は写真を撮った時の記憶にある風景とほとんど同じである。喜んで陸上風景も撮りまくっていた。
そうこうしているうちに、ご多分にもれずというかなんというか、ポートレート写真への興味もわいて来た。きっかけはフジフィルムのベルビア発売記念大撮影会かなんかだったと思う。いつも行ってるカメラ屋のチラシでそれを見て応募し参加した。
いや、これにはハマッタ。やはり私も男である。綺麗なオネイチャンがポジスライドに写っている。ポジから来る目の快感と被写体から来る目の快感のダブルパンチである。以降、相当の期間、モデル撮影会に通いまくるのであった。
そして、平行して、四季折々の風景写真や水中写真も続け、現在に至るのである。