
現代の人間は、自らが作り出した人工的なものに囲まれて、人工的なものを食べて生活している。それは少しずつ社会をゆがめ、社会問題を引き起こしている原因となっている。早川司寿乃はこのような文学的な面から現代を見据えているが、主人公まいは、この社会においてまっすぐ立とうとしている存在である。
「魔女」と呼ばれているまいのおばあちゃんの家では、そういった超自然的なものは出てこない。虚像の世界に脅かされながらも実像を保ち続けようとするまい。現代の毒気に当てられながらも、おばあちゃんはまいの中にある「虚像のまい」を、自然の中に溶け込ませることで「実像の舞」へと戻す。なぞかけのようなおばあちゃんの言葉はちゃんと真理を突いており、読む者を虚像から開放する。これこそがこの物語の「ファンタジー性」である。