第4話 BROTHER、誕生(中)



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四:突如、闇は本性を現す

「ふぅ。」
タオルを絞り、ファーサの額に乗せてやるりる。
ファーサは一命を取り留めたものの、傷のせいか熱を出して寝込んでしまった。
りるは、それを休まずに看病している。
レイアス達が看病の交代を申し出ても、全て断ったのだ。
あたしがやりたいから、と。
ファーサの傷は、思ったよりも浅かったが、治るまではリテイナーに乗ることも出来ないだろう。
そこへ、レイアスが現れた。
「りるさん、ファーサさんの具合は?」
「さっきまではうなされてたみたいだけど、もう大丈夫みたい。」
りるは、疲れきっている筈の顔に、無理矢理笑顔を浮かべて見せた。
「もうすぐ街だそうです。りるさんも少しは休んで下さい。」
「有り難う。だけど、今はいいわ。何だか、まだ眠れそうにないから。」
そう言われると、レイアスは何も言葉を続けられなかった。
「そんな悲しい顔、しないしない。ファーサだって、望んでないよ。」
りるは、努めて明るくそう言った。
「そうですね。じゃあ、俺達はブリッジにいます。」
「わかったにゃ。」
レイアスは、その部屋を出た。


医務室から出て、廊下を歩いていたその時、レイアスの個人用の通信機が音を立てた。
「こちら、レイアス。」
「レイアス、前方で戦闘が発生してるわ。」
「なんだって!何処の所属だ?」
「ミノフスキー粒子の濃度が異常に高くて分からないけど、1機は銀龍技術開発研究所のリテイナーみたいよ。」
レイアスの記憶では、MHKと銀龍技術開発研究所は互いに技術提供をしあうほどの、友好的な関係だ。
味方になりこそすれ、敵になることはあるまいと、即座に判断するレイアス。
「わかった。俺は白炎で出る。りるさんにも伝えておいてくれ。」
言うが早いか、レイアスの足はリテイナー格納庫に向かって走り出していた。
医務室から格納庫までの距離はあまりなく、すぐにレイアスは白炎のコクピットに、飛び込むようにして乗り込んだ。
「白炎、出るぜ!」
白炎は、落ちるように下部ハッチから飛び出すと、ブースター全開で一直線に戦場へと向かった。


「もう、いやだよぉ。」
「く、これまでか・・・・・。」
シェラル=草薙のシューティングスターと、ゾアメルグスターのフィーリアン。
2機とも、表面的にはまだまだ戦えるように見えた。
だが、シューティングスターの方は既にナックルの弾を切らしていたし、フィーリアンの方も、機体に無理な動きをさせ続けたので、膝関節の駆動系がすこしぐらついている。
それになにより、何時間も戦ってきたせいで、体の方が悲鳴を上げていた。
何本もの触手を倒したと思ったのに、次々に復活して来てきりがない。
地上から逃げようと思えば退路を完全に塞がれるし、空中に逃げようとするとその隙をついて攻撃してくる。
まるで、弄ばれているかのようだ。
ガキンッ
「うわっ。」
遂に、フィーリアンの右足の関節が限界に達したらしい。
そのまま、前のめりに倒れ込んでしまう、フィーリアン。
ここぞとばかりに殺到する触手の群れ。
「こないでよ!」
シェラルが切羽詰まった叫び声をあげるが、たかだかナイフ一本では、虚仮威しにもならないらしい。
絶体絶命。
二人とも、そう思った。
どががががががが
だが、唐突に、周りを囲んでいた触手の群れが、一気に消し飛んだ。
「こちら、MHKのレイアス。助けに来たぜ。」
「同じく、りる。見参にゃ。」
見上げると、そこには銀色のフィールドに包まれたCKと、猫のようなリテイナーとが浮かんでいた。
先程の爆発は、このCKが放ったミサイルポッドだ。
もちろん、CKの方は白炎。猫のような機体の方は、NW(にゃいんどうぉーりあー)だ。
「でも、さっきのにやられてたの?見たところ、腕は良さそうに見えるんだけどにゃ。」
嘲りとか、そういう感情は一切入っていない。
りるは、純粋に不思議がっているのだ。
実際、ミサイルポッド1発1発の威力は小さいのだ。
「あ、こちらはG研のシェラル。油断しちゃダメ!すぐに再生しちゃうから!」
シェラルが言っているそばから、ぼこぼこと次々に生えてくる触手。
「あ、なーる。」
「どうにかなりますか、りるさん?」
「多分こいつら、末端の組織なんだよ。だから、本体さえ倒せれば。」
一見、の〜天気な風に見えて、りるは実は頭がよい。
こちらの知能テストで、IQ350を叩き出したと言う話は、一部では有名である。
しかし。
「本体って言っても・・・。」
360度ぐるりと見渡しても、それらしいものは見えない。
そうこうしている間にも、触手の群れはじわじわとこちらを包囲しようとしてくる。
「レイアス、真下!」
と、これは輸送機から、キュラーだ。
キュラーは、少し遠くの輸送機に乗っている。
「解った。」
レイアスは、深く考えずにそれに従った。
すなわち、真下に向けてバスターライフルを連射したのだ。
超が付くほど強力なビームの光が、地面を大きく抉る。
3発ほど撃ったところで、触手の動きが止まった。
氷が溶けるように、地面に潜り込んでいく触手。
「やった・・・・ようには見えないな。」
ゾアメルの言うとおりだ。
レイアスの穿った穴から、何か邪悪な気配がせり上がってくる。
ゾアメル以外の全員が、その穴に向かって構えを取る。
果たして穴から出てきたのは、1機の赤黒い――――そう、例えて言うならば、それは血のような――――色のリテイナーらしきものだった。
「何・・・・こいつ・・・・・。」
シェラルが、吐き気を堪えて呟く。
そいつは、真っ黒い大きな翼を広げ、ねじくれた角を生やし、腰から下は先程の触手を小さくしたようなのを何本もぶら下げている。
その表面は、先程のバスターライフルの連射にも関わらず、傷一つ、煤一つ付いていなかった。
シェラル以外のその場の全員も、その姿に不快感をもよおした。
だが、その前にレイアスは引き金を引くことが出来なかった。
「この・・・雰囲気は・・・・ま・・・さか・・・・。」
「良く、解ったね。」
そいつはぐるりと、レイアスの方を振り向いた。
ガパッと、人間であれば恐らく、顔に当たるであろう部分が十字に開く。
そこには、レイアスの良く知った顔があった。
紛れもなく、それは自分の顔だった。
瓜二つの。
それでも全く違う顔。
1、2年前に恒星の炎の中に叩き込んだ、忌まわしい記憶。
「初めまして、かな?僕はそっちのことを良く知ってるから、変な気分だけどね。」
そいつは、無邪気に笑って見せた。
自分より、幼く見える。
それ以外は、全く同じに見えた。
表面上は。
「レイアスお兄さん。」
本当に、そいつは子供のように無邪気に、笑って見せた。
「僕の名は、そうだね。ゼロアスとでも呼んでもらおうか。」
「うわああああああ!!!」
バシュッ!
気が付くと、レイアスはバスターライフルの引き金を引いていた。
バシュッ、バシュッ、バシュッ・・・・・・・カチ、カチ・・・・
だが、バスターライフルの放つ強烈な光は、ゼロアスと名乗ったものの目の前でことごとく掻き消えてしまった。
「Iフィールドなの?こんな強力なものが・・・・。」
しかもゼロアスは、りるの方に完全に後ろを見せているというのに、一片の隙さえも見せなかった。
「嘘だ。全部、炎の中に沈んだはずだ。」
「生き残ったのさ。ぼくが、A=Sシリーズの最終形態だからね。完璧なものが残るって、当たり前のことだろう?」
よく見ると、ゼロアスの上半身は裸で、下半身はその不気味な機体と完全に同化しているようだ。
恐らく、この機体からしてゼロアスの身体なのだろう。
「それじゃあ、何でこんな所に居るんだ!」
「あれ、気付かなかったの?アーカムズラボのあった所から、一番近い人の住んでる惑星が、この星だったんだよ。」
じりっと少しだけ近付く、ゼロアス。
「そんなに怖がらなくていいよ。」
ゆっくりと、レイアスの方に近付いてくる。
「君と僕は、そう。兄弟なんだから。」
ぞっとするような、艶やかな笑み。
「一緒になろう。僕がオリジナルになるためにも。」
ゼロアスが、両手を広げる。
レイアスの方に向かって。
だが。
ヒュギィン
次の瞬間、白炎の右腕にしっかりと握られたビームサイズが、閃いてゼロアスの両腕を切断していた。
「オリジナルとか何とか、関係ない。俺は、俺だ。」
ゼロアスの機体の腕が両方とも、やけに生々しい音を立てて地面に転がる。
「・・・・・・。」
不思議そうに、綺麗に切断されてしまった腕を見つめるゼロアス。
「く、くくく・・・。」
笑み。
艶やかだが、全てを凍らせる笑み。
「そうか、あんたも俺を拒絶するんだな・・・・・・。」
「あんたもって、どういうこと?」
りるが、疑問をすぐに口にする。
「生みの親、アーカムも拒絶したんだ。彼は、僕のことを封印したんだよ。酷いと思わないかい?封印が解けたら、真っ先に殺してやろうと思ったのに、先に誰かに殺された後だってね。」
大きく腕を振ると、切断された筈の腕がもう再生している。
「みんな僕を拒絶するから、僕を受け入れるのに抵抗するから、痛い目にあうんだよ!」
突然、大地が鳴動を始めた。
まるで、ゼロアスの声に呼応するかのように。
「この揺れは、不味い!一旦逃げた方がよさそうだよ!」
そう言いながら、既にシェラルはフィーリアンを担いで逃げる体制に入っていた。
「無駄だよ!無理矢理にでも、一つになってもらうんだから!!」
ゼロアスの体が、だんだんとぶれていく。
「く、これは!?」
次の瞬間には、周りを数十体のゼロアスによって囲まれていた。
「これは、魔法?こんな大がかりな魔法なんて、あり得るはずがないにゃ!!」
「へぇ、流石はウルサー人。この星の人間は、MW乗りの素質があるみたいだからね。」
そこで、レイアスははっと気付いた。
狩りの跡、食い散らかされたかのような、人の死体。
「人を・・・・捕食した、のか?」
知らず、レイアスの声は震えていた。
「くくく、言ったでしょう?一つに、なろうってね!」
ばきっと音を立てて、肩アーマーが避ける。
そこから覗いているのは、巨大で醜悪な口。
「非剣、猫旋風っ!!」
だが、それと同時に、りるも動いていた。
空中に飛び上がると同時に、体を横に回転させながら、りるお得意のレッグリッパーを放ったのだ。
いつものように足を狙った撃ち方ではなく、完全にばらけるように。
その小さな無数の刃も、ほとんどがゼロアスの姿をすり抜けて地面に刺さる。
ただ数本ゼロアスに命中した刃も、一本一本の威力の小ささのため、全く刃が通っていない。
「奴が本体にゃ。」
「ちぃ!」
初めから、りるはこれが幻術だと見抜いていた。
伊達にMW乗り(NWだが)を名乗っていないと言ったところか。
そして、一気に間合いを詰めるレイアス。
レイアスの光の大鎌と、ゼロアスの肩の大口がぶつかり、火花を撒き散らす。
そのまま押し合う二機。
「シェラルって言ったっけ?早く逃げろ!」
「逃げるって、何処へよ?」
「向こうの方に輸送機が浮かんでるはずにゃ。」
シューティングスターの横を疾風のように通り抜けながら、りる。
「俺達も、すぐに行く!」
「・・・わかったわ。それじゃ、先に行くよ!」
「ああ、ちょっと。おいてかないで。」
「分かってるって。」
レイアスは、シューティングスターがフィーリアンを担いで飛び去るのを確認してから、ゼロアスと距離を取った。
そして、また距離を詰めながら、鋭い斬撃。
相手の反撃を許さず、すぐにりるがレイアスを飛び越えて斬りかかる。
だが、ゼロアスの動きは半端ではなかった。
ともすれば、余裕を持っているかのように見えるほど軽々と、レイアスとりるの斬撃を避けきってみせる。
「ははは!そんなものかい、オリジナルの力は!」
「あっ!」
触手の一撃に、レイアスの大鎌を打ち払われてしまう。
ざすっ、と音を立てて柄の部分が 白炎には、他は低威力のバルカンしか積んでいない。
実質的に、武器はもう残っていないと言うのと同じだ。
1対1になったとたんに、力のバランスはあっさりと傾く。
「きゃっ!」
触手を同時に4本もさばいたりるだったが、それと同時に襲いかかってきた大口によって吹き飛ばされてしまう。
「ジ・エンドだよ!!」
二つの大口が、一気に襲いかかってくる。
「まだだ!」
ガギギン!
「何!?」
だが、大口は二つとも、狙いを大きく外して背後の土に突き刺さった。
ひゅるるる・・・・・・・ぱし
白炎が、ゼロアスに攻撃した物を右手で受け取る。
それは、先程地面に突き刺さっていた筈のビームサイズだった。
MHKで試験的に開発された兵器の一つで、サイコミュを内蔵した近接武器だ。
「姑息な真似を!」
「レイアス、逃げるが勝ちにゃ。」
「了解!」
空中に飛び上がる、白炎とNW。
だが、完全にゼロアスの不意をつくというわけには、どうやらいかなかったようだ。
「逃がさないって、言ったろう!!」
咄嗟に逃げようとするが、空中でそんなに激しい動きが出来るわけがない。
身軽なりるはそれでも何とかかわしたが、レイアスは足を触手に絡まれてしまった。
「しまったっ!」
叫ぶが、もう遅い。
バーニアで支えきれない分、じりじりと引き込まれていく。
(これまでか。)
レイアスは、そう覚悟して目を閉じた。
ドグアッ!!
だが、次の瞬間、レイアスは衝撃と共に投げ出されていた。
思わず目を開けると、触手に見覚えのある脱出用の小型艇が突き刺さっていた。
「・・・・早く・・・・・逃げて、・・・・レイアス・・・・。」
「その声は、キュラー!?」
その小型艇からの通信は、間違いなく、キュラーの声だった。
「キュラー!」
小型艇へと手を伸ばそうとするレイアスだが、触手に阻まれて出来ない。
「レイアス、ダメにゃ!」
「離してくれ、りるさん!キュラーが、キュラーが!!」
「このままだと、レイアスも捕まっちゃうよ!」
「キュラーーーーー!!!」
りるに引っ張られながら、レイアスの絶叫が響いた。
もう、届くことはないと知りつつも・・・・・。
「レイアス・・・・。」
キュラーの目を、知らず涙が伝う。
そして、逃走するレイアスとりるは、とんでもない物を目撃する。
それは、ゼロアスを中心に空中にゆっくりと持ち上がる、巨大な大地の姿だった。


ゼロアスとともに浮かび上がった大陸は、数分で変貌を遂げた。
まるで、触手の塊のようなその姿は、それだけで見る人々に吐き気と嫌悪感をもたらした。
そしてその1時間後、それはゴルダリアのあらゆる都市へと無差別に攻撃を開始したのだった。
まるで、葉を食い散らす芋虫の如く、それの通った後には何も残らなかった。
力もない人々はただ、恐怖するしかなかった。


五:希望は人の手に

「ここはやはり、グラナリアの軍隊に先陣を切ってもらって・・・・・。」
ここヴェリルでは、ゼロアスに危機を感じ、各国の上層部の人間が集まっていた。
すなわち、『ゴルダリア防衛軍』の発足である。
早い話が、全世界が戦争をしている場合ではなくなってしまったというわけだ。
だが、今まで戦争をしていた国同士が、突然仲良くなれるはずもない。
「ナンセンスだ!さては貴公、この機に乗じて我が国を壊滅させる気だな!」
「何を戯言を言っておられるのかな?だが、少なくとも我が国の軍はだせんな。あれがどういった攻撃を仕掛けてくるかわからん以上は。」
「ふん、そう言えば貴公の軍は先頃の戦争で既に壊滅状態なので御座ったな。出す軍が無いのなら無いと、初めから申されれば良かったモノを。」
「まあまあ、仲間内で言い争っている場合ではありませんぞ。ここは各国の持てる力を一度に出さねばなりますまい。」
「では、我が国が指揮を取ろう。伝統と格式から言えば・・・・。」
「何を言う!我が軍の方が戦い慣れしておる!」
「成り上がりが何を寝言を!!」
だが、言い争いはいつ果てるともなく、続いていた。
惑星ゴルダリアを防衛するために立ち上がった筈の上層部の人間も、これではどうしようもない。
バンッ!
騒然とした会議室に、突如若い男が乱入した。
男はゾクッとするほどの美形だったが、肌の白さが、色白を通り越して白かった。
しかも背が高くてクールなので、妙な威圧感がある。
「何者だ!」
「俺の名はエルリック。べつに、怪しいもんじゃないさ。一応連邦の人間だしな。」
「ええい、衛兵は何をしておるのだ?こんなわけのわからん奴を通しおって。」
「衛兵ってのは、こいつのことか?これじゃ、衛兵の意味はないな。」
エルリックの指さした先には、だらしなく伸びた衛兵の姿があった。
言い争いに夢中になっていたとは言え、物音一つさせずに――――加えて、息も乱さずに――――衛兵を倒したというのだ。
ただ者ではない。
「で、では、その連邦の人間がこんな所に何の用で来たというのだ?」
「知れたこと。」
エルリックと名乗った男は、懐から煙草を取り出し、火を付けた。
「今から、この星の全軍は連邦の指揮に入ってもらう。あのデカ物を攻撃するのに、協力してもらうためにな。」
「な!?連邦は我らを見殺しにするつもりか!」
「本当は連邦艦隊の一つや二つ持ってくるつもりだったんだがな。大がかりな船団を送り込む時間はなかったんだよ。」
「我らに死ねと言うのか?あんなの相手に闇雲に攻撃したところで、勝てるわけがない!!」
「ふん、お前等はせいぜい時間を稼いでくれればいいさ。次元砲の発動までな。」
次元砲とは、D兵器、つまり次元兵器の一種である。
MHKが主な開発元とされる、超絶破壊力の超兵器だ。
次元そのものを切断したり、歪めたりするその兵器に対し、理論上、防ぐ手段は全くないはずだ。
こうして、ゴルダリア全惑星軍の、ゼロアスに対する総攻撃が決定したのだった。
次元砲に、全ての望みをかけて。


「何から何まで、有り難うございました、ネモさん。」
オーラシップ、ガラオンのハンガーデッキ。
白炎、NW、シューティングスター、フィーリアンの4機が発進準備を進めていた。
ちなみに、白炎はMHKの開発兵器、ウェポンマウントを装備して、いつもの3倍もの武器を装備している。
他の3機も、それぞれに開発中の新兵器を装備している。
これらは全て、ネモが運んできてくれた物だ。
「これくらい、どうってことないさ。」
レイアスが今話している相手こそが、この船の艦長にしてMHKきってのエースパイロットの一人、ネモその人である。
ネモは、ゴルダリアに派遣されたMHK職員の回収の任務を負っていた。
その途中で、レイアス達の乗る輸送船をキャッチしたというわけだ。
本当は、他にも何艦かいたのだが、長距離の足が一番速いネモしか、この戦場に間に合うことは出来なかったのだ。
「お前以外にもしぶとい奴はいるんだな。あの恒星の中から抜け出してくる奴が、他にもいるとは。」
「ええ。ですが、アーカムの研究目的は、何処でも、どういう風にでも戦える戦士を作ることでしたから。ゼロアスは、ある意味完成品だったんでしょう。」
「命令さえ聞けば、か。しかし、気を付けろよ。連邦軍がD兵器の発動を宣言したからな。」
「わかってます。でも、この決着は俺が付けないと。」
「本当は俺も行きたいところだが、俺には俺で仕事があるからな。気を付けて、行って来い!」
「はい!」
レイアスがネモと話している間、りるも他の人間と話をしていた。
こちらの話し相手は猫耳猫尻尾と、ウルサー人の基本的な特徴を持った小さな女の子だ。
「りるおねーさま、行ってらっしゃい。」
「える、ファーサを頼んだわよ。」
「はいです!」
えると呼ばれた少女は、元気に返事をした。
「じゃ、行って来るね。」
「ここはまっかせて。ネモのおじちゃんが居なくてなっても、えるが立派に守ってみせるから!」
えるは、小さい胸を精一杯張って見せた。
「ネモさんはそんな歳じゃないわよ。」
りるは、小さくても、この上なく頼もしいえるに、苦笑を漏らした。
一方、ゾアメルグスターとシェラルも、互いに話し合っていた。
「あなたも残ったの・・・どうして?」
「別に良いじゃないか。そっちこそ、何でさ?」
「それは・・・キュラーさんのこともあるし・・・。」
「あれはしょうがなかったよ。俺達、満身創痍だったしね。止めることが出来なかったからって、悔やむ事じゃないと思うよ。」
「うん、でも・・・・。」
「こんな時に、ろくな理由なんて要らないって。一緒に行きたいから、一緒に行く。それでいいじゃん。」
「・・・・そう、そうだよね。」
「これ以上考えたって、仕方ないよ。そんなに頭良くないんだから。」
「何ですって!?」
「あ、いや。無し、今の無し!!」
「後で覚えてなさいよ。」
「ううう・・・・。」
どうやら、「口は災いのもと」と言う格言は彼のためにあるようだ。
そうこうしている内に、4機とも準備が整う。
「よぉっし、一暴れするにゃ!」
「後ろのことは、心配しなくていいよ。」
「STS-2Sv シューティングスター、発進します!」
「見せてやる。赤い炎よりも熱い炎があるって事。」
4機は、それぞれ一気に加速して、ガラオンから発進していく。
それぞれが、戦場に射す一条の光となって。

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