第5話 DEEP MIST、暗躍(1)
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シーン1:ディープミスト
『ディープ・ミスト』と言う組織はつまり、その名の示すように、一寸先も見えぬ濃い霧の中のようなものだ。
超巨大宇宙船『ホイールオブフォーチュン』(本当にここがそうなのか、実は怪しいと思っているのだが、ディープ・ミストの、本拠地と教えられている場所。)の廊下を歩くとき、ルメルダ=デューの頭に思い浮かぶのは、いつもその言葉だ。
真っ黒なコートに身を包み、髪は整髪料でオールバックにしている。
髪も、目も漆黒。
肌の病的な白さが、それらを奇妙に引き立たせている。
とても40を越えているとは思えない整った外見に、道行く女性の中には、振り返って熱い眼差しを贈る者もいた。
そんなルメルダが所属している組織が、ディープ・ミストなのだ。
ディープ・ミストとは殺人は言うに及ばず、麻薬の密売、人身売買、武器密造や横領など、あらゆる犯罪を一手に引き受ける組織の一つである。
近年、こうした犯罪組織や秘密結社というものは、珍しくなくなっているのだが、ディープ・ミストはその中でも特に大きな部類である。
組織の大きさや勢力などを全て足し会わせたとすると、極悪商会に匹敵すると、どこかで聞いたこともある。
ルメルダは、この組織に入って20年にもなる。
野心を持ち、あらゆる障害を排除して、立場もかなり上の方に位置するようになったはずだ。
だが、それでもディープ・ミストの上限も下限も見えてこない。
それどころか、自分が上に進んでいることさえ、疑わしい。
まるで、海の真ん中で溺れているようだ。
「おはよう御座います、ルメルダさん。」
若い男の声が、ルメルダの思考を中断させた。
見ると、見知った男が目の前に立っていた。
「やあ、たしか・・・・・・・。」
「テラスですよ。」
「ああ、そうか。すまないね。」
言いながら、すまないとはこれっぽっちも考えていない。
もっとも、テラスの方もそんなことは気にした風にもないが。
「これから、会議ですね。どうです、ターミナルまでご一緒しませんか?」
「いいだろう。」
ルメルダが頷くと、テラスはルメルダの後を歩いた。
ちなみにターミナルとは、ホイールオブフォーチュンの数カ所に設置された、特殊な部屋のことであり、VR(ヴァーチャルリアリティ)ネットへとダイブするための設備である。
ホイールオブフォーチュンでは、このような仮想空間を、特に機密性の高い会議のために使用している。
そして、重役と呼ばれる人間の部屋には、必ずターミナルが設置されていた。
ルメルダとテラスは、そもそもホイールオブフォーチュンに部屋を持っていないので、わざわざターミナルルームへと足を運んでいるのだ。
ターミナルルームに足を踏み入れ、網膜パターンや指紋などのチェックが終わった後、二人はそれぞれ別々の個室に入室した。
専用の椅子に腰掛けて、ヘッドセットを装着すると、意識が一気にVRネットへと跳躍した。
シーン2:大アルカナ
「我らディープミストも、既に半数近くを失った。」
闇の中。
ルメルダたちがダイブした空間よりも更に下の空間で、その声は密かに響いた。
その声には、仲間を失ったことに対する憂いなど、欠片もない。
ただ、事実をありのままに現す声。
そして、別の声。
「魔術師、恋人、戦車、隠者、正義、逆さの男、死神、月と日、そして審判。」
「失われた我らの代わりは、未だ無し。」
「力が必要。」
「資源が必要。」
ほんの少しの、沈黙。
「増強案を提案。」
また、少しだけの沈黙。
いや、あまりにも短くて、沈黙とは呼べない。
矢継ぎ早に繰り出される話題の、1秒にも満たない空白。
「賛成10、条件付きで賛成2、反対2。」
「可決。」
「条件を提示。」
「賛成14。」
「可決。」
「他意見無し。」
そして、やっと人間の一呼吸に等しい沈黙。
「他組織への襲撃案を実行する。」
その言葉を最後に、彼らの議題は違うものへと移った。
まるで、スイッチを入れ替えたように・・・・・。
シーン3:悪夢
どす黒い、血の色。
噎せ返る、血の匂い。
視界を覆い尽くす、血、血、血。
鼻腔をくすぐる、血、血、血。
しかもそれが一番感じられる場所は、自らの手と口と腹・・・・・。
(・・・・ヤメロ・・・・・。)
身体が、自分の思うとおりに動かない。
まるで、身体を他の誰かに乗っ取られたみたいだ。
と、視界の隅でピクリと何かが動く気配。
「たす・・・・けて・・・・・。」
微かに、少女の声。
まだ、辛うじて生きている人間がいるようだ。
ぐるりと、そちらへ顔を向ける。
「だれ・・・・か・・・・。」
手を、助けを求めて天にかざしている。
腹からは腸が垂れ下がり、既に目は見えていない。
放っておいても、死ぬ。
だが、思い通りにならない自分の身体は、それを放っておくつもりはないらしい。
近付くと、一つ舌なめずりをして大きく口を開けた。
(ヤメロ・・・・ヤメロ・・・・!)
自分の身体だというのに、全く言うことを聞かない。
だんだんと、少女の顔が近付く。
少女の顔には、恐怖と苦痛しか映っていない。
もう少しすれば、その表情さえ消えるだろう。
だが、自分の身体はそんなことを許そうとはしていない。
更に、近付いていく。
接吻のためではない。
捕食するために・・・・・。
シーン4:日常
「うわあああああぁぁぁ!?」
「うるさい。」
ごん、べしゃ
全身汗まみれで、叫びながら起きあがった赤髪少年は、同じく赤髪の青年の一撃で、再びトレーニングルームの床の上に突っ伏した。
一撃を喰らわしたほうの名は、レイアス。
中の上に位置するその容貌で、唯一腰まである燃えるような赤髪がアクセントとなっている。
身体には無駄な筋肉が付いておらず、下手をすると細身だと思われかねない。
が、袖をまくり上げたジャンパーから覗く二の腕は、鍛え上げられた鋼のそれだ。
元傭兵のMHK(ミノフスキー兵器研究所)所員で、リテイナー(汎用人型ロボット)の中でもCK(Cosmic's Knight)を中心に兵器のテストをする、リテイナーパイロットだ。
それに、いざとなれば外敵駆除や、護衛などの傭兵のような仕事もする。
対して、床の上に突っ伏している少年の名は、ゼロアス。
ゼロと言う愛称で呼ばれていて、レイアスとは兄弟と言うことになっているが、その詳細は限られたごく一部の人間しか知らない。
彼も兵器テスト用のリテイナーパイロットで、主に担当する機種は、GF(God's Fighter)。
ちなみに、先程出てきたMHKとは、いわゆる一つの兵器研究所の一つで、多数の天才達が日夜技術研究を行う施設である。
本拠は地球の富士のすそ野に位置し、世に数多くの新技術を提供している。
また、有事の際は地球連邦軍との共同作戦にも参加し、あらゆる地球を狙う外敵と戦う任務も負っている。
これは、MHKに集ったテストパイロット達の実戦経験の豊富さや、腕の良さを物語っているといえよう。
さらに、何が原因なのか、どこよりも数多くのトラブルに巻き込まれる組織としても、有名である。
レイアスとゼロアスの二人は、そのMHKのトレーニングルームで、格闘技の鍛錬中だったのだ。
何故、格闘技?と思う人も居るかもしれないが、リテイナーパイロットにも体力は必要なのである。
「ったく、失神したと思ったらうなされてるし、起きあがったと思ったら絶叫するし。大丈夫か、ゼロ?」
「・・・あ?」
「あ?じゃねぇよ。打ち所でも悪かったのかと思って、心配したぞ。」
「えーっと・・・・・。」
起きあがり、身体の各所を点検する、ゼロ。
背中と頭がジンジンするが、どちらもレイアスによるものだし、深刻なものでもない。
「うん、大丈夫みたい。」
ぴょこんと起きあがるゼロ。
「変な夢を見たけどね。」
「夢?」
「うん。自分が怪物になって、人を食べるっていう夢。何だか、怖い夢・・・・・。」
オーバーアクションで、ぷるぷると全身を震わせるゼロアス。
無理に明るく振る舞って、心配ないと思いこもうとしているのだろうが、レイアスはゼロアスの不安を敏感に感じ取った。
それに、レイアスにはその悪夢に十分に心当たりがあった。
だが、レイアスはそれに気が付いて無いかのように、組んでいた腕を解き、再び構えを取りながら言った。
「夢は夢だ。それよりも組み手の続き、行くか!」
「おう!」
だからこそ、レイアスはゼロアスの不安に触れぬよう、不安を消し去るように、そう声をかけた。
安っぽい現実逃避。
だが、誰だって子供のうちは、悩み続ければいい。
答えは、自分が自分の思うとおりに行動できるようになれば、必ず見つかるのだから。
まだその日は、騒動の一つでさえ起こる気配はなかった。
ゼロアスには、もっと悩む時間がまだあるはずだと、レイアスに思わせたほどに。
シーン5:VRディスカッションルーム
「・・・・と言うわけで、今回の報告は以上です。」
没個性極まる黒服の男達の『会議前の報告』が、今終わりを告げた。
その真ん中でわだかまる暗闇の中から、巨大な目が一つ、ルメルダのほうを瞬きもせずに凝視していた。
と言っても、この巨眼は誰が見てもこちらを向いているように見えるよう、作られたものだから、今さらルメルダ一人を凝視しているというわけではない。
この闇のことを、ルメルダたちは、一応この組織の頭と見立てることにしている。
何故なら、全ての指示はこの闇がたった今考えたかのように発せられるからであり、感じ取ることの出来る最高権力を持つモノが、この闇だからだ。
「デハ、指示ヲ出ス。」
機械音声のような声で――――恐らく、わざとそうしているのだろうと、ルメルダは考えている――――その声は告げた。
いつもこうだ。
『会議』と銘打っておきながら、その実この『会議』で何かを話し合った覚えは、少なくともルメルダにはない。
報告、指示、そして、数回に一度の粛正。
この会議で行われるのは、たったそれだけである。
だが、ルメルダの内心の愚痴をよそに、次々に指示が下されていく。
最後に、ルメルダとテラスが残った。
「るめるだ及ビてらす両名ハ、MHKヲ侵略セヨ。コノ任務ニ、失敗ハ許サレナイ。」
「な・・・!?」
思わず、ルメルダは驚愕の声を発してしまった。
隣でテラスも同じ様な顔をしている。
「尚、ぷらんハ、こーど060330ヲ参照セヨ。以上デ、コノ会議ヲ終了スル。」
ブツン・・・・・。
そして、唐突に『会議』は終了した。
未だ駒でしかない自分たちは、如何に無茶なことであろうとも、指示に従わなければならない。
指示に従わなくとも、指示に添えなくとも、自分に待っているのは死か、それよりも辛い生かの、どちらか二つしかないのだ。
憂鬱な溜息を一つつくと、ルメルダとテラスの二人は、情報を集めるために奔走しなければならなくなった。
シーン6:極悪商会
「ふぉっふぉっふぉ。よいではないか、よいではないか!」
「あ〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜。」
見るからに渋めの悪役面の男が、芸者(そこそこ美女)の帯を引っ張り、くるくると回している。
時代劇などで見られる、お約束のアレである。
何処とも知れぬ和室で、極悪商会のトップを張るお代官は自らの趣味を全開にしていた。
男は、芸者Aの帯を解き終わると、芸者Bの帯をむんずと引っ張り・・・・・。
「よいではないか、よいではないか!」
「あ〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜。」
その間に、芸者Aはいそいそと帯を巻き直している。
一人で帯を巻き直せる辺り、このねーちゃんたちはただ者ではないのかも知れない・・・・・・・。
以下繰り返し。
・・・・・・これでは話が始まらないので、そこへ使いがやってくる。
薄い障子越しに、薄い影を映した使いが報告を口にする。
「お代官様、ディープミストの者が、協定を結びたいと申し出ております。」
「協定とな。内容は何ぞ?」
「は、今しがた届きました書状によりますれば、この度そちらの領域である地球圏はMHKに襲撃いたします。手伝えとはもうしませんが、お代官殿の許可を戴きたい。とのことでありました。」
「むぅ・・・・。」
お代官は、少し考える仕草をした。
だが、あまり時間をかけずに答えた。
「許可する、と伝えよ。」
「は。」
お代官の簡潔な答えを聞くと、使いはすぐに立ち去った。
この話、極悪商会側に損はない。
MHKがそうやすやすと落ちるとも思えないが、もしも落ちれば障害が一つ、消えて無くなる。
もしも落ちなくとも、MHKだけでなく、ディープミストの側にまでつけ込める隙がいくらでも出来てくるはずだ。
芸者二人がひそひそと話し合っているのをバックに、お代官は、不敵な笑みをその顔に浮かべた。
シーン7:MHK第3搬入口
「オーライ、オーライ!」
慌ただしく整備員が駆け回るここは、MHKの搬入口の一つだ。
弾薬や装甲板などは言うに及ばず、相互に提携している他の研究所からの荷物などでここはいつもごった返している。
と、そこへ少々冷たい感じのする長い黒髪の美女が歩いてきた。
オーラ艦の副長に始まり、怪しい博士付きの秘書や異世界の女王など、何かと美人に不自由しないMHKだが、悲しいかなその場にいるのは、ほとんどが男。ついつい振り向く者も、少なくはなかった。
彼女の名はキュラー。レイアスの相棒である。
彼女は普通の人間ではなく、リテイナー戦闘用のコンピューターとして脳の中を改造された者、ファティマと呼ばれるモノの一種だ。
もっとも、人型は違法であり、珍しいを通り越しているのだが・・・・。
「あ、キュラーさん、荷物が届いてますよ。」
整備員の一人がキュラーに声をかけた。
「ええ、聞いてるわ。どれがそうかしら?」
「そこの小さな・・・・・・・。」
キキキキキッ、バキッ!!
整備員の男が何かを言おうとしたのを、唐突に騒音が掻き消した。
思わず、その場の全員の視線が、その騒音の元へ注がれた。
その視線の先には、かなり大型のトラックが一台、長いブレーキマークを引きずって、壁に突っ込んでいた。
皆一様に呆然としていたが、すぐに気を取り直すと何人かがトラックに向かい、数人が上に知らせに走った。
「おい、このトラック、誰も乗ってねぇぞ!?」
「おっかしいなぁ。何処から来たんだ?このトラック。」
座席に誰も居ないと分かると、数人は後ろの荷物へと向かった。
一人が、意を決して扉を開けようと手をかける。
その瞬間、キュラーの頭を嫌な予感が走り抜けた。
「みんな、ふせて!」
言いながら、一番手近にいる人間数人を引きずり倒して伏せるキュラー。
これで反応しろと言う方が、無理なことだろう。
キュラーだからこそ、大の男数人を引きずり倒しつつ自分も伏せるなどという芸当が出来たのだ。
だが、キュラーの嫌な予感は現実となった。
眩いばかりの光が、目の前を真横に切り裂いた。
一瞬、整備員達は、自分の身に何が起こったのか、察することが出来なかった。
気が付けば、自分の身体が宙に舞っていて、自分の足が地面に立っているのが見えた。
それきり彼らは、何も見なくなった。
そして、切り裂かれたトラックの扉から、大の大人3人分はあろうかと思われる鋼鉄の腕が覗く。
「高出力レーザー兵器搭載の、小型無人兵器・・・・・最新鋭の兵器じゃない!?」
闇の中から、感情を写すことのない赤い瞳が獲物を求めて彷徨う。
それが、その事件の序曲となった。
シーン8:東雲工廠所属輸送機
「・・・・はう・・・・。」
東雲リテイナー工廠のエーステストパイロット、ユーニス=ガーランド=クルスは、今日56度目の溜息を漏らした。
短く切った髪とボーイッシュな顔立ちをしているが、身体の凹凸がそこはかとなく女性だという事をアピールしている。
その瑞々しい身体が全身汗まみれで、見ている方としてはなかなかに良い眺めだ。が、本人はにとっては単なる生き地獄でしかない。
原因は、今乗っているテストリテイナーに、エアコンの設備がないからである。
しかも、今日は早めの真夏日和にみまれている。
ただでさえ日本の夏は暑苦しいというのに、エアコンの無いリテイナーの中ともなると、もう最悪である。
室内温度計はとっくに壊れていたし、あっても見る気はしない。
「・・・・はぁ・・・・・。」
57度目。
「あんた、いい加減に溜息やめな。アタシの方が気分が滅入ってくるわ。」
通信機から、これも若い女性の声が入る。
東雲リテイナー工廠のメカニックであり、ユーニスと同等のリテイナー乗りの腕を持つ、東雲花梨である。
花梨は、今ユーニスが乗っているリテイナーの横を悠々と飛行している輸送機を操縦している。
20歳にまだ届かないという若さで、東雲工廠の二代目代表である花梨が、輸送機のパイロットをしているのは、単に自分の作ったメカを自分で見届けるという執念のせいである。
ちなみに、輸送機の方はクーラーがバリバリにかかっている。
二人は、MHKに研究資材の交換に向かうところだ。
MHKと東雲工廠は互いに意見交換をしている仲であり、今回もその意見交換に向かっているところだ。
「そんなこと言ったって、ボクがこのリテイナーに乗って、もう2時間はたつよ?まだ終わっちゃいけないの〜?」
「じゃんけんに負けたんだから、文句なし。それに、わざわざMHKまでで一番時間かかるコース取って完熟飛行してるのよ。あと1時間くらいとばさなきゃ、終わらないわ。」
「うぇ〜〜・・・・・。」
愚痴を言いながらも、ユーニスの身体はこのリテイナーを最大限に効率よく動かす為に、様々な計器を一瞬にして読みとり、フットバーやレバーを操作している。
今日初めて乗ったにしては、少々馴れすぎている感もあるが、これもパイロットの腕が良いから成せる技である。
「でも、ジュースぐらい・・・・・あら?」
その時、唐突に異変が起こった。
テストリテイナーだから、あまり良いものは使ってないとは言え、通信機が突然通じなくなっているのだ。
砂が流れるようなノイズばかりで、ウンともスンとも言わない。
「ジャマーが入ってるの?でも、何で・・・・?」
とりあえず、リテイナーを輸送機に近づけ、接触回線を開く。
「もしもーし、聞こえますか〜?」
「聞こえてるわ。なんだか、おかしな事に・・・・・。」
そして、これも唐突に。空の上で、何かが閃いたのを、ユーニスと花梨の二人は同時に気付いた。
「何!?」
「ヤバ・・・・・!」
衛星軌道上からの、高出力のビーム攻撃。
そこまで考えが及んだ時、二人の姿は目を焼くばかりの光の中に消失した。
シーン9:地球防衛軍司令室
「状況報告をしろ!何が起こっている?」
地球防衛軍司令室。
地球防衛軍司令、タニー=ヴァレイの声が響く中、モニターというモニターは赤い文字で埋め尽くされている。
いずれも、危険なことを指す単語ばかりだ。
「タニー司令!先程の衛星砲の暴走により、日本にある地球防衛軍の基地が、機能のほぼ全てを停止。それぞれの基地を防衛するくらいはまだ出来そうですが、出撃などは出来そうにありません!!」
「現在日本上空を飛行していた物体のほとんどが、その衛星砲によって撃破されました。」
「暴走した衛星砲は、他の衛星砲で撃破確認。」
「ほぼ日本規模のジャマーは、消滅。雑音源、不明です!」
矢継ぎ早に繰り出される報告。
それらに、適切な指示をてきぱきと与えていくタニー。
タニーの指示は、その場において最も適切なモノばかりであったが、それでもレッドランプが一気に経るようなことは、絶対にない。
当たり前のことではあるのだが、歯痒い。
「くそ・・・・何が起こっている。何が目的なんだ・・・・。」
タニーのぼやきは、喧噪の中に消えていった。
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