
MONSTER・・・浦沢直樹
| この作品は、小説ではなく、全18巻の漫画です。お気に入りで紹介しようか、迷ったのですが、とても 深く重い作品でしたので、ミステリーで紹介したいと思います。 若き天才外科医テンマは、自分の出世を棒に振ってまで、瀕死の少年を手術して助けます。 ・・・けれど、その少年は悪の象徴ーモンスターへと成長していき、テンマの人生に関わっていく のです。モンスターを生み出したものは、一体なんだったのか・・・。 話は変わりますが、私がなぜミステリーに惹かれるのか。それは、人の心というものに子供の時から 興味があったからだと思います。私はなぜ私なのか。私の心とはなんなのか。心とはどこにあるのか。 表面上は明るく屈託のない子供でしたが、哲学少女だったかもしれません。(笑) そんなとき。狼少女の話を本で読みました。狼に育てられた赤ん坊は、狼少女に成長していった。 人間から優しい愛情をうけても、「人の心」を完全に取り戻す事は、出来なかった・・・。 この話は、すごくショックなことでした。心は誰にでもあるものではない。人間は高度な知能と適応能力 をもったばかりに、狼にでも、天使にでも、悪魔にも、心のないものにもなれるのです。 さて、このMONSTERですが、心の闇・・・人間の尊厳・・・名前の大切さ・・・絶望的な国家・・・など キーワードがいくつもあり、話自体も複雑で、まるで、一本の長い長い映画を見ているようでした。 そして、人の心に対する私の疑問に答えてくれるシーンがあります。ある登場人物のセリフです。 「人間は感情を無くす事はできない。感情は、どこかわからないところに迷い込んでいた・・・。」 心を取り戻したその人はさらに言います。「自分宛に出した手紙が何十年もたって届いたみたいだ。」 「これが本当の悲しみ・・・。本当の幸せ・・・。」 何回読んでも、ここの場面では泣いてしまいます。人の心を育てるのも、潰してしまうのも、同じ人間 なのです。取り戻す事ができなくなってしまった人の心。狼少女の「人の心」も、どこかわからないとこ ろに、迷い込んでしまったのでしょう。また、闇や絶望に捕らわれてしまった心も、「光や希望」の部分 は、迷子になっているのでしょう。闇や絶望に胸をふくらませて生まれてくる赤ちゃんは、いないのです。 本当の怪物ーMONSTERとは、なんだったのか。このお話のラストには、驚くべき結末が待っています。 私は漫画のラストシーンNO.1は、あしたのジョーだと思っていますが(笑)、MONSTERのラストシーン も、本当にすごいです!!下手なミステリー小説読むより、よっぽどいい。もう、久々に、漫画に燃えさせ てくれた、これは絶対お買い得な名作だと思います!! |