大誘拐・・・天藤 真

自分の直感を信じてミステリー本を買う・・・と言っておきながら、新人作家の情報を得るために、年に2冊ほど
評論関係の雑誌を買います。そのうちの一つが、年末に発売される週刊文春。年間ミステリーベスト10をだし
てくれるので、ほんの少し参考にします。(笑) その文春の20世紀最終特大号で、20世紀を代表するミステ
リーベスト10を特集して、見事1位に輝いたのが、この作品。・・・ここまで言われちゃあ、買いました。(笑)

3人の男が誘拐したのは、大金持ちの小さなおばあちゃん。このおばあちゃん、なんと自分の都合のいいよう
に犯人達を操縦していく。身代金は100億円!!犯人達は振り回されていくものの、次第に心を開いていく。
前代未聞の100億円の受け渡し!いったいどうなる・・・?

いやぁ、評論もたまには本当の事を書く。(笑) すごく面白い作品でした。読んだあとにはちょっぴり泣けて、
爽やかで、読後感が最高にいい。しみじみと、幸せさえ感じるミステリーなんて、そうありません。

私は三文安いと言われるおばあちゃんっ子で、おばあちゃんキャラには、とっても弱い。母が亡くなってから
伯父宅に身を寄せていた祖母を、結婚と同時に引き取って、最期を看取りました。私の新婚生活は、祖母との
3人生活。(笑) 夫の両親との同居をすんなり同意したのも、そのときの恩があるからかなぁ。(笑)

おばあちゃんキャラも最高ですが、犯人達が悪から善へと変貌していく様も、とても面白い。人間は一人でも
自分の事を見つめて、諭してくれる人がいたら、悪い道には行かないし、行っても立ち直れるんだ、と思います。
私も、それが祖母でした。放任の固まりの様な両親のもと、グレずにすんだのは、祖母のおかげです。
・・・どうも、犯人達と自分が重なってしまって、読んでて何度も泣きましたねー。(笑)

作家の天藤さんは、もうお亡くなりになりましたが、蚊も殺せなかったほど、心優しい方だったとか。大学の先生
もなさっていて、本当に穏やかな方のようです。こんなに読後感の爽やかなミステリーは、そうそう書けるもの
じゃありません。人をどんどん殺してしまうようなお話しか、書こうとしなかった私ですが(笑)、このお話では、
誰も死んだりしないんです。最高のおばあちゃんキャラを生み出したこの作品、いつまでも読んだ人の心に、
生きつづけてほしいですね〜。


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