The Manufacture
シャンパンの製法



シャンパンが一般のワインと製法上大きく異なる点は、アサンブラージュ(調合)によって、Cuveeと呼ばれるワインを造り、毎年均一な香味を維持させることと、瓶内二次発酵によって炭酸ガスを発生させ、これがワインに溶け込んで発泡性を帯びさせることにあります。

なお、シャンパンの製法については以下の規定があります。

  (1) フランスのシャンパーニュ地方で造られている

  (2) 瓶内2次発酵されており、炭酸ガスを注入してはいけない
  (3) 法的熟成期間は1年以上、通常は3年〜4年以上

また、シャンパンの製造では、原材料に使用することがが認められている葡萄の品種が規定されており、以下の3種類に限定されています。

  (1) ピノ・ノワール(Pinot Noir) : 黒葡萄品種で、骨格の力強さと芳醇なブーケを生みます。
  (2) ピノ・ムニエ(Pinot Meunier) : 黒葡萄品種で、熟成が早いワインを生みます。
  (3) シャルドネ(Chardonnay) : 白葡萄品種で、エレガントな繊細さと軽快さをもたらします。


これらの規定の下、実際のシャンパンの製造工程は以下のように進められて行きます。

(1)収穫(Vendange / ヴァンダンジュ)
シャンパンに使用される葡萄は、糖度が低く、酸の強い、比較的早い時期に摘み取られたものを使用します。通常9月中旬〜10月初旬頃にかけて、葡萄を全て手摘みで収穫します。
(2)選果(Epluchage)
シャンパンを作るには、まず黒と白の各葡萄品種から白ワインを作ります。収穫された黒と白の葡萄は、秋にスティル・ワイン同様に醸造されます。ちなみに、「ピンク」または「ロゼ」のシャンパンの場合は、初めの醸造の際に、黒葡萄の果皮を微かに色付けのために与えた後に取り出すか、または出来上がった製品に非発泡性の赤ワインを添加することで作られます。
(3)圧搾(Pressurage / プレシュラージュ)
葡萄が傷まないように、短時間で圧搾所に運び、この地方独特の浅く広い圧搾機で、黒葡萄の皮の色がつかないように静かに搾ります。4,000kgの葡萄から、初めに最初の10樽分(=2,050L)搾汁を得ます。これは「Cuvee / キュヴェ(一番搾り)」と呼ばれ、果実風味が豊で最も澄明な果汁です。その後、500L分の搾汁を得ます。これは「Premiere Taille / プルミエール・タイユ」と呼ばれています。
(4)一次発酵(Fermentation alcoolique / フェルマンタシオン・アルコーリック)
通常の白ワインと同様に発酵させます。畑ごと、葡萄品種ごとに、別々に樽やタンクで10〜15日間程度発酵させます。熟成過程で樽やタンク毎の味わいの個性をつかむことで、その後のブレンド比率を決定して行きます。
(5)調合(Assemblage / アッサンブラージュ)
翌2月頃、最初のオリ引き後に、Vins de Reserve(前年あるいは前々年収穫のワイン)を含め、第一次発酵で得た、年度、畑、種類の違うワイン(原酒)を30〜50種類ほど各メーカーのブランドイメージに沿って混合し、味わいを均一化させます。この際、通常は年月を経たワインに新しいワインをブレンドするため、収穫年を表示しない(ノン・ビンテージ)シャンパンとなりますが、葡萄の出来の良い年には、その年のワインのみをブレンドして、ビンテージ・シャンパンとして収穫年を表示します。
(6)瓶詰(Tirage / ティラージュ)
ブレンド比率が決定したら、少量のシャンパン酵母と蔗糖を混ぜた液体(リキュール・ド・ティラージュ liqueur de tirageと呼ばれます)を加え、瓶詰し、発酵のために瓶の首を下にしながら、ワインの貯蔵室(カーブ)で熟成させます(Sejour en Cave / セジュール・アン・カーヴ)。
(7)瓶内二次発酵(Deuxieme Fermentation / ドゥジェム・フェルマンタシオン)
カーブにねかせたワインは、瓶内でゆっくり発酵し、蔗糖が酵母の働きでアルコールと炭酸ガスに分解され、炭酸ガスは瓶内でワイン内に溶けて行きます。
(8)滓と熟成(Vieillissement sur lie / ヴィエイスマン・シュル・リー)
滓と共に寝かせることによって、酵母が分解作用で取り込んだ旨味がワインに徐々に戻されますが、2年で70%、6年で100%還元されるといわれています。こうして1〜2年で微妙で繊細な泡となりますが、その後も、ノン・ヴィンテージで瓶詰から最低15ヶ月、ヴィンテージで3年、プレスティージで5年ほど熟成が行われ、更に独特の風味とキメ細かい泡が形成されて行きます。
(8)動瓶(Remuage / ルミュアージュ)
第2次発酵後、瓶の側面に沈積した滓(酵母)を瓶口に集める作業です。二次発酵で作られた滓は、5〜6週間に渡り毎日瓶を1/8ずつ回転させながら下向きに立てられ、最終的には倒立させ、瓶口に集められて行きます。
(9)滓抜き(Degorgement / デゴルジュマン)
滓が瓶口に完全に集まったら、冷凍槽に瓶口部分のみを浸し、オリ部分を凍らせ抜栓すると、中のガス圧で凍った部分だけが飛び出して来て、滓を除去出来ます。ちなみにこの手法はクリコ夫人によって編み出されたと言われています。
(10)リキュール添加(Dosage / ドザージュ)
オリを除去して減少した瓶内の不足分だけ、酵母が糖分を完全に分解してしまい糖分がなくなった瓶内に、甘みのあるリキュール(同タイプのシャンパン原酒の古酒、蔗糖、コニャック等を混ぜたもの)を加えます。この時の蔗糖の量によってシャンパンのタイプが決まります。なお、この時添加する液体はリキュール・デグスペディション(liqueur d'expedition)(=「門出のリキュール」の意)と呼ばれています。
(11)打栓(Bouchage / ブシャージュ)
ドザージュが終わったシャンパンの瓶にコルクが打たれ、圧力でコルクが飛び出さないように針金で締められます。さらに豪華さと、デゴルジュマンによって飛び出したワインの量を隠すために、化粧フォイルが瓶の首にすっぽりとかけられます。
(12)ラベル貼り(Habillage / アビヤージュ)
瓶にラベルが貼られて完成です。ラベル下部には必ずシャンパーニュ委員会が交付した業者登録番号が記されています。