帽子
「残光」
恋が終わって
愛が生まれた
夏が終わって
光はのこり
少女の君は
大人になった
ルナク
きゃらめる すくった おひさま
ゆびのさき が あまくて
びん の なか
かくしてた
しおかぜ の ゆめに
ふかれます
ひなたぼっこ の むぎわらぼうし
のうえに のっかって
あかいリボンで つつんだ
えくぼ こぎながら
あおく こわれる なみしぶき
くしゃくしゃになった
きゃらめるの つつみがみに
ちいさく しまっていきます
砂木由宇子
「麦藁帽子」
海猫の翼が太陽へ伸びていき、潮騒を包んでいく。
白いコットンにくるまれた少女が、赤いリボンを結んだ
麦藁帽子を眉深にかぶってて、銀色の波、湧きあがる
雲に濡れた空の袖先を掴んだまま、砂浜の貝殻を拾
わない。終わらない晴朗へまっすぐ伸びる背中。
麦藁の、空と土の、やわらかな乾いた匂い。
榎本 初
あしたあなたに
あえるとおもったら
うれしくって
うれしくって
むぎわらぼうしが
さきにとんでった
むぎわらぼうしだけが
とんでった
ずるいよ ぼうし
さきにあなたに
あえるなんてさ
落合朱美
バイバイ 麦藁帽子
麦藁帽子はいらないんだ
白いドレスも
リボンのサンダルも
短い髪に砂浜色のキャップ
ぐるっとまわして後ろ前にかぶり
足もとは焦げ茶のサンダル
ベン・ハーみたいだ
そうか
そうなんだね
すっかり自分で選びたいんだ
バイバイ 麦藁帽子 ながい髪のむすめ
りうな
帽子
太古から寄せる音
水と陸の境目に
僕と君
空を覆う青と 縁取る白
包む風
撫でる水面
騒ぐのは
潮
それとも
僕の内側
時間の流れない場所にいるような感覚
手を 繋いで
ここから
どこへでもいける と思う
過去へも未来へも
君と繋がる場所ならどこでも
一瞬の
強い風が
僕らを現実に引き戻す
慌てて拾いあげる
砂をはらって
明日は 何処へ行こうか
ほんの短い 夏の 亜空間
全部 まっさらに戻す
明日は 何処へ向かうだろう
未来は 何処へ辿り着くだろう
水と陸の境目に
僕と君
曖昧なふたり
小さな丸い影
渡すふりで
触れる指先
少しだけ
繋がる影ぼうし
湊 かずさ
あなたの唇を
忘れずにいてごめんなさい
あなたの誕生日を
忘れずにいてごめんなさい
あなたの夢を
忘れずにいてごめんなさい
あなたのいた夏を
忘れずにいてごめんなさい
あの夏を
忘れずにいてごめんなさい
もう、大丈夫
海神いさな。
【青に融ける】
白砂の足跡
キラキラ陽に透けて
言霊フワリと遊ぶよ
あのこが飛ばした帽子
空まで飛んで青に融け
波打ち際の雫が笑ってる
日高 響
たぶん
If
君と僕の間
ほんの数ミリ
なにか起こるとしたら、どんな表情を用意しておくとよいでしょう
よかったでしょう
「ぼ」 っとして、像を結ばない、それが勿体ないってことは
なんとなく、解るのだけれど
マリンブルーの、海
ーーーー笑顔、を?
むくれっつら、を?
波に歪む私の像
つられて淀む君の像
言いようも無く
不安が、押し寄せるけれど
マリンブルーの、海
どうとなく、解るのだけれど
If
帽子のその行方に
未来が波の様に打ち寄せるなら
Maybe
たぶん
やさしく、その行方に
君の頬に
熱い掌を、触れることができそうさ
熱燗
嘘をいっぱいついたから
何処かに行っちゃった
あたしの夏
風に飛ばされた帽子と一緒に
何処かに行っちゃった
あたしの夏
ATUKO
麦わら帽子はくれてやる
波が呼んでも 振り返らない
刈り上げた首筋に潮風
ゴメンよ 髪は切っちまった
砂に残した足跡は
悪いけど
消しといて
降りそそぐ光の豪雨
上を向いて
笑ってやる
みすまる
さよならをあなたに
船の上から風にさらわれた帽子
遠ざかる波の上で小さくなっていった
お気に入りだったのにとうつむけば
もっと似合うのを僕が買ってあげるよと
優しいようでとても冷たいあなたの言葉
返事もせずに水平線を見ていた
いつから君はそんなにわがままになったんだ、と
不意にあなたは叩きつけるように言った
髪の長さも好みの色も
気がつけばいつかあなたのものばかり
私らしさが失われてゆくのを
あなたは満足そうにながめていた
あなたが悪いわけじゃない
愛されたくて愚かだっただけ
なくした帽子は私の身代わり
さよならをあなたに、そして私に
一筆