奇抜なタイトルで詩を書こう!!



甘井サブレさんが始めたこの企画。
落合朱美さんの主催で、第2回も行われました。
面白すぎるこの企画、なんともチャレンジャーな
『勇者への道』を辿る人は更に増えてしまいました。 超笑



第2回   〜落合朱美様 主催〜

お相手 さちのタイトル お相手のタイトル
落合朱美様・・・主催者 跳び箱の内側から 二子山部屋入門
甘井サブレ様・・・勇者 かさぶたからチューリップ 空飛ぶ社長と咆哮ドジョウ
絵都 様・・・勇者 不味いラーメン屋の魅力 えっと、ぴ




   <跳び箱の内側から>

                落合朱美


 走ってくるのは陽子ちゃん
 踏切板の前でちょっとぐずついて
 おしとやかに飛び越える
 好きだったんだ陽子ちゃん
 いつも泣いてる僕を
 悲しそうに見つめながら
 時々こっそりハンカチを差し出した

 次に来るのは真平くん
 踏切板の前で止まっちゃうこと3度
 4回めにやっと飛んだと思ったら
 頭の上にドンとお尻が乗っかった
 ごめんね真平くん
 気の弱い君をひとり取り残して
 僕だけが先に逃げてしまった

 自信満々で走ってくるのは健太だ
 5段なんか軽々と飛んでしまうんだろうな
 転べ転べ転べと念じてやる
 アイツのせいなんだ
 アイツのせいで僕はこうして
 薄暗く狭い跳び箱の中に
 魂だけが住み着いている


   <二子山部屋入門>

                    さち


 ここに来れば
 強くなれるって聞いたんですが・・・

 もっと体格がよくないと
 だめですか?

 今はまだ
 小さいけれど
 頑張って食べますから


 学校で
 ボクをバカにした奴等
 アッと言わせてやりたいんです

 本当に
 もし力士になれたら
 きっとあいつらなんて
 相手にしなくなるだろうけど

 今のボクには
 この想いがすべて

 どうか
 強くしてください




          「二子山部屋入門」〜番外編〜

          モグモグモグ...
          どんなに食べても
          太っても
          大丈夫 大丈夫

          二子山部屋があるもん

          もはや時代は
          モンゴルだって
          若乃花も貴乃花も
          もういないけど

          だけど
          大丈夫 大丈夫
          二子山部屋に入って
          新しい時代を作るから

          いっぱい食べて大きくなる
          大きくなって強くなる

          番付上がって
          人気も出たら
          TVに映って
          有名人

          もう ただの おデブじゃないぞ
          懸賞金もガッポガポ

          ただ
          残る問題は
          胸はどうやって隠すんだろう・・・

           (お嬢さん 女性は入門できません。
            女性は土俵に上がれません・・・)


   <かさぶたからチューリップ>

                 甘井サブレ

 ワイルドな勾配以外には
 何もない坂道で 転んだ
 ほんのわずかな段差のせいで
 右の膝と脛をやられた

 どっこす坂の 夕日どき
 血まみれのオレは へたりこみ
 脛をタラタラと滑り降りる血の赤に
 ちょっと クラッとした

 いっこうに止まらぬ血の滝を
 着ているシャツで押さえようとして
 今朝着たばかりのシャツだったことに
 気づいて決意は鈍ってた

 そこへヒロセがやって来た
 そこへヒロセがやって来て
 よぉ と片手を上げたから
 ヒロセは あっ、と息を呑んで

 ワイルドな坂を駆けのぼり
 坂の上にある公園で
 ハンカチを濡らして来てくれた

 それは 淡いチューリップ模様で
 そのオレンジ色が綺麗だったから
 思わず訊いていた
 「汚しちまうぜ、いいのかよ?」

 ヒロセはオレを睨みつけ
 傷口を上からぐっと押さえつけた


 それはもの凄い力で

 それは熱い手のひらで


 痛ぇよ、とうめいたら
 すまなそうに ごめん、といった
 そして 続けてこう言った

 「そのハンカチ、返さないでね」

 え、なんでだよ…?

 それを確かめる暇もなく
 ヒロセは じゃ、と立ち上がり
 どっこす坂をのぼって見えなくなった

 家でハンカチを洗おうとしたら
 妹がグーで横腹を ねじ込んで来た
 ツッコミ上手は こういう手口で
 難なくネタを集めやがる

 「ははん、その人ふられたね…」
 「モト彼のプレゼントってトコかな?」
 …ツッコミブスめ、とつぶやいた
 ……二度目のグーは容赦がなかった


 しかし 推理は的中してた
 ヒロセのダチに
 例のハンカチをみせるなり
 最低ヤローの罵詈雑言 だ

 オレの血はもう止まったのに
 ヒロセの中のその傷は
 よっぽど重症らしかった

 あのときの傷が癒えた
 黒紫のかさぶたから
 芽が伸びて チューリップが
 咲いてしまいそうだから

 柄でもないけど 声をかけよう


 その傷の痛みが
 少しだけ 晴れるなら


 隣町のハーブ園でも誘ってみよう



    <空飛ぶ社長と咆哮ドジョウ>

                     さち

 泥んこの ハナタレ小僧
 今や やり手の社長様
 マーケットは 全世界
 扱うものも 多種多様

                あああ〜
                見上げたもんだよ

 洗濯バサミ一個から
 家電製品、ソーセージ
 家に、車に、柔軟剤
 映画、雑巾、潜水艦
 果ては 宇宙衛星まで

                売ってろよ!そうやって!
                なんでもかんでも儲けろよ!

 社長は毎日空を飛ぶ
 今日はロンドン
 明日はシドニー
 自家用ジェットはフル回転
 社長に出来ないことは無い

                そいつぁ すげぇや
                おどれぇた
                時代の最先端ってかぁ

 そんなに凄いお方でも
 生れは とある片田舎
 故郷に帰ることなんて
 10年に一度 あるかしら

                泥くせぇ
                昔のことは 忘れたろうよ

 久々、帰った生れ故郷
 時代の波に取り残されて
 広がる景色は 田んぼと畑
 空は広く 山は高く
 澄んだ空気と 美味しい水

 「ウム。これも売れそうだ。」

                ちょっと待てェ
                勝手に故郷忘れるのは
                オイラは全然 構わねぇ
                けど、なにか?
                「これも売る」って
                空気か?水か?
                山も田んぼも畑もか?
                ぶっとい道路引っぱって
                ここいら潰して通園地?

                オイラの棲家はどうなるよ!!
                オメエの生家も潰すって?
                冗談じゃねえ
                馬鹿言うんじゃねえ
                泥んこ仲間だったじゃねえか

                オメエ、社長になる為に
                人の心を捨てたのか!!

 はたしてドジョウのこの声は
 社長の耳に届くのか
 今日も社長は空の上



   <不味いラーメン屋の魅力>

                    絵都


     「 あちゃ〜 」

     「 のびてますよ 」

     「 のびてますね 」

     「 どうします? 」

     「 そっとしておきましょう 」


     まただ

     カツンカツン甲高い音を立てて

     また誰かが俺のアタマを過ぎてゆく

     それにしても

     この独特の臭いはなんだ

     たぎる血か?

     なんて
     そんなもんはとうに
     うすまっちまったっけ


     しかしちっぽけな空だな
     ガラガラじゃねぇか


     ぬりーぜ


      どうしてもっと打ちのめしてくれない!


     渦巻いたキザキザの太陽も
     白くて黄色い楕円の月も

     ずいぶんくたびれやがって
     ひたひたじゃねぇか


     「 かかってこいよ! 」


     なんてさ
     不味いよな
     いつまでこんなことしてんだろ


     あ 飛行機雲みっけ

     寂びた空もたまにはいいな



   <えっと、ぴ>

                   さち


  少し緊張する

  ぴ

    「ぴ」っと 背筋を伸ばす

  ぴ

    「ぴ」っと 紙が破ける

  ぴ

    「ぴ」っと 指差される

  ぴ
  えっと、ぴ 

    「ぴあにか」 上手く吹けなくて
    音楽のテスト 腹 痛くなった

  ぴ
  えっと、ぴ

    「ぴんち」になって交代する
    ピッチャーの身にもなってくれ

  ぴ
  えっと、えっと、ぴ

  やっぱり 緊張する
  「ぴ」の
  音のせいかな
  やっぱり
  ただの きのせいかな